【Rihito.I】
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どこ行こうとしたって
「みにどこ行くん!?」
「や、ちょっと水買いに……」
「俺も行くに決まってる」
ってピッタリと横に並んで着いてきて、
誰かに声をかけられたと思ったら
「あの、みにさん」
「はい」
「何か用っすか」
私の前にすぐに立ちはだかってきて、
MINIから付いたあだ名は、“みに姫の番犬”。
「えーっと……そんなあだ名でいいの?理人」
「めっちゃ嬉しい」
しかも本人は、何故かそこに誇りを持ってる。
私は理人の時間とか注意とかを拘束してるんじゃないかって怖くて、心配で、申し訳ないと思ってるんだけど。
それを知ってるメンバーだって、そんな理人をニコニコ見守ってたり、いじったり。
うちのぽや系イケメンは「みに、りーくんって呼んでみてよ」とか、最年長は「やべ、みにの番犬に威嚇された」とか、普通に言ってくるんだから。
MINIちゃんさえ「みに、番犬の頭撫でてみて!」とか、「みにちゃん、番犬くんにお手してみて!」って言うんだ。
それに戸惑ったり照れたりしてるのは、こっちだけで。
理人は満足げに笑ってたり、しっぽをぶんぶん振ってるみたいにこっちを見たり、する。
だから、言われるがままにするしかないから。
「……り、りーくん」
「っす!かわいい〜!」
「もう呼ばない」
「なんで!」
「理人、洸人にガルガルしないの」
「へへ、すんません」
「……よしよし」
「わ、まじで俺髪洗わねえ」
「それはやだ」
「5回は洗います」
「え……お手」
「ん!」
差し出した右手の手のひらに優しく手が重なる。
と思ったら次の瞬間、手が握られて、ぐいっと引っ張られて。
「わっ」
「みにがちゃんと躾けとかないと」
ぎゅっていきなり抱きしめられたと思ったら、そんなことを言われる。
メンバーの池﨑理人は、罪な男である。
こんなに特別扱いをしてきて、心を振り回して、満足そうにふにゃりと笑って。
私たちに結ばれる運命なんてないって分かりきってるのに、好きにさせるんだもん。
「みに、次着替えとメイクやって〜」
「わかった、ありがと」
「俺が部屋の前に立って見張っとこうか?」
「それは番犬すぎるから辞めな?好きなことしてなって」
なんでもない顔して、こんなこと言ってくる。
それに何回だって胸がキュンと鳴って、すぐに我に返る自分が、どうしようもないくらい馬鹿なんだろうな。
よほど理人の“番犬”加減が世に轟いてしまったのか、今日の女性誌の撮影は理人とふたりきり。
“姫と番犬”ケミ、相当人気らしい。理人には“りひろむ”もあるくせに。
さっきの理人、黒スーツで髪もかきあげてバッチリ決めてて、正直目を合わせられなくて。
こんなんで撮影大丈夫だろうかと身を案じながら部屋に入ると、スタイリストさんがワクワクが溢れた顔で待ち構えていた。
「みにさん、お願いします!今日のコンセプトは“姫と番犬”そのものなので、衣装コチラになります」
ふわふわのプリンセスラインが可愛らしい、紺のドレスだった。
「わあ……」
「やっぱりINIさんってバチバチの曲が多いから、みにさんのパンツスタイルもお似合いで大好きなんですけど、今日はこちらのみにさんをお届けしたくて。絶対お似合いです!」
熱弁してくださってる言葉も頭を通過するくらい、ぽーっと見惚れてしまうような、素敵なドレスだった。
私の表情を見て満足げな彼女は、そこから数人のアシスタントさんを呼んで、すいすいと仕事を始める。
シンデレラが魔法にかけられるみたいに短い時間で、鏡には紺のドレスに身を包んで髪も顔も綺麗にセットされた自分が映っていた。
「すご」
声が漏れてしまうくらい、見慣れない姿。
でも関わってくださった皆さんも「美しすぎます」って褒めてくださって、気恥ずかしさと嬉しさが混じる。
「やっぱりみにさんには紺が映えますね、行きましょ」
これで理人の前に行くの、なんて言ってくれるか不安だけど、お仕事だから。
「理人は私の衣装知ってるんですか?」
「言ってないです。サプライズです」
そう言って開いてくださった扉の先に、見慣れた後ろ姿があって。
音に反応して振り向いた理人は、目を見開いた。
「見張らなくていいよって言ったのに」
何も言ってくれないのが気まずくて、早口に言葉が飛び出してしまう。
理人はしばらくそうしてから、思わず漏れてしまったみたいに、呟いた。
「……綺麗」
いつもみたいにハイテンションで「かわいい!かわいすぎ!国宝!」って褒めるんじゃなくて、逆にガチっぽいの、本当にやめてほしい。
今私の胸がぎゅってなったの、どうせ気づいてないんでしょ。
カタリと革靴が音を立てて、理人が近づいてくる。
「本当に綺麗すぎるから、俺が守らんとね」
そう言って、自然な動作でエスコートするように手をとられた。
だからまた、恋しちゃうんだよ。
ゆっくり歩いて向かったスタジオで、カメラマンさんの指示を仰ぎながら撮影が進む。
ソファに座る私と地べたに鎮座する理人、並んで座って私の太ももに頭を預ける理人、跪いて私の手のひらにキスする理人……
全部のシチュエーションが緊張しかなくて、理人もそうなのか今日は口数がめっきり少ない。
あまりにカッコよくて目を合わせられないし。
撮影が一段落して、スタッフさんたちが最終チェックに奔走して取り残されている間、理人がボソッと言うのを、耳が拾ってしまった。
「出会い方が違ったら、前撮りこんな感じやったんかな」
……それって、結婚式の?
オーディションで戦う仲間として出会って、同じアイドルグループとして切磋琢磨してる世界線が、今で。
普通の一般人として出会ってたら、私たちは、結ばれてたって言うのかな。
それが本心だとしたら、何処までもずるい。
私だって、同じこと考えてるのに。
「すき」
仕返しに、理人に聞こえないはずの声量で、言葉が溢れ出てしまった。
抑えようと頑張っても無理なくらい、好き。
「おれも」
聞こえてたんだ。
でも、理人は、好きって言葉は口にしないんだね。
恐る恐る理人の方を見ると、あまりに甘くて溶けそうに優しくて、それでいて儚さを帯びた視線と目が合った。
それでいて、そっと影になるところで繋がれた手は、恋人繋ぎだった。
「ずるい」
言葉にしないくせに、言葉と態度でこんだけ好意を振りまいて。
両想いなんじゃないかって思わせて、確証だけ避けて。
……でも、理人みたいな覚悟や自制心が足りてない私のほうが、きっと。
「ごめん」
その謝罪に込められてるのは、どんな気持ち?
誰にも聞こえてない会話で、また想いを募らせて、またしんどくなる。
「撮影終了です、お疲れ様でした!」
「「ありがとうございました!」」
でも、あんな会話の後でも直ぐにアイドルとして振る舞えるようになったことが、実は何よりも一番辛いかもしれない。
こうやってまた、気持ちを蹴飛ばして、INIの理人とINIのみにに戻んなきゃいけないんだ。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「胸が苦しくなる系のお話」
失恋もいいなと思ったけど、思いついてしまった番犬りーくんが好きすぎて。
「みにどこ行くん!?」
「や、ちょっと水買いに……」
「俺も行くに決まってる」
ってピッタリと横に並んで着いてきて、
誰かに声をかけられたと思ったら
「あの、みにさん」
「はい」
「何か用っすか」
私の前にすぐに立ちはだかってきて、
MINIから付いたあだ名は、“みに姫の番犬”。
「えーっと……そんなあだ名でいいの?理人」
「めっちゃ嬉しい」
しかも本人は、何故かそこに誇りを持ってる。
私は理人の時間とか注意とかを拘束してるんじゃないかって怖くて、心配で、申し訳ないと思ってるんだけど。
それを知ってるメンバーだって、そんな理人をニコニコ見守ってたり、いじったり。
うちのぽや系イケメンは「みに、りーくんって呼んでみてよ」とか、最年長は「やべ、みにの番犬に威嚇された」とか、普通に言ってくるんだから。
MINIちゃんさえ「みに、番犬の頭撫でてみて!」とか、「みにちゃん、番犬くんにお手してみて!」って言うんだ。
それに戸惑ったり照れたりしてるのは、こっちだけで。
理人は満足げに笑ってたり、しっぽをぶんぶん振ってるみたいにこっちを見たり、する。
だから、言われるがままにするしかないから。
「……り、りーくん」
「っす!かわいい〜!」
「もう呼ばない」
「なんで!」
「理人、洸人にガルガルしないの」
「へへ、すんません」
「……よしよし」
「わ、まじで俺髪洗わねえ」
「それはやだ」
「5回は洗います」
「え……お手」
「ん!」
差し出した右手の手のひらに優しく手が重なる。
と思ったら次の瞬間、手が握られて、ぐいっと引っ張られて。
「わっ」
「みにがちゃんと躾けとかないと」
ぎゅっていきなり抱きしめられたと思ったら、そんなことを言われる。
メンバーの池﨑理人は、罪な男である。
こんなに特別扱いをしてきて、心を振り回して、満足そうにふにゃりと笑って。
私たちに結ばれる運命なんてないって分かりきってるのに、好きにさせるんだもん。
「みに、次着替えとメイクやって〜」
「わかった、ありがと」
「俺が部屋の前に立って見張っとこうか?」
「それは番犬すぎるから辞めな?好きなことしてなって」
なんでもない顔して、こんなこと言ってくる。
それに何回だって胸がキュンと鳴って、すぐに我に返る自分が、どうしようもないくらい馬鹿なんだろうな。
よほど理人の“番犬”加減が世に轟いてしまったのか、今日の女性誌の撮影は理人とふたりきり。
“姫と番犬”ケミ、相当人気らしい。理人には“りひろむ”もあるくせに。
さっきの理人、黒スーツで髪もかきあげてバッチリ決めてて、正直目を合わせられなくて。
こんなんで撮影大丈夫だろうかと身を案じながら部屋に入ると、スタイリストさんがワクワクが溢れた顔で待ち構えていた。
「みにさん、お願いします!今日のコンセプトは“姫と番犬”そのものなので、衣装コチラになります」
ふわふわのプリンセスラインが可愛らしい、紺のドレスだった。
「わあ……」
「やっぱりINIさんってバチバチの曲が多いから、みにさんのパンツスタイルもお似合いで大好きなんですけど、今日はこちらのみにさんをお届けしたくて。絶対お似合いです!」
熱弁してくださってる言葉も頭を通過するくらい、ぽーっと見惚れてしまうような、素敵なドレスだった。
私の表情を見て満足げな彼女は、そこから数人のアシスタントさんを呼んで、すいすいと仕事を始める。
シンデレラが魔法にかけられるみたいに短い時間で、鏡には紺のドレスに身を包んで髪も顔も綺麗にセットされた自分が映っていた。
「すご」
声が漏れてしまうくらい、見慣れない姿。
でも関わってくださった皆さんも「美しすぎます」って褒めてくださって、気恥ずかしさと嬉しさが混じる。
「やっぱりみにさんには紺が映えますね、行きましょ」
これで理人の前に行くの、なんて言ってくれるか不安だけど、お仕事だから。
「理人は私の衣装知ってるんですか?」
「言ってないです。サプライズです」
そう言って開いてくださった扉の先に、見慣れた後ろ姿があって。
音に反応して振り向いた理人は、目を見開いた。
「見張らなくていいよって言ったのに」
何も言ってくれないのが気まずくて、早口に言葉が飛び出してしまう。
理人はしばらくそうしてから、思わず漏れてしまったみたいに、呟いた。
「……綺麗」
いつもみたいにハイテンションで「かわいい!かわいすぎ!国宝!」って褒めるんじゃなくて、逆にガチっぽいの、本当にやめてほしい。
今私の胸がぎゅってなったの、どうせ気づいてないんでしょ。
カタリと革靴が音を立てて、理人が近づいてくる。
「本当に綺麗すぎるから、俺が守らんとね」
そう言って、自然な動作でエスコートするように手をとられた。
だからまた、恋しちゃうんだよ。
ゆっくり歩いて向かったスタジオで、カメラマンさんの指示を仰ぎながら撮影が進む。
ソファに座る私と地べたに鎮座する理人、並んで座って私の太ももに頭を預ける理人、跪いて私の手のひらにキスする理人……
全部のシチュエーションが緊張しかなくて、理人もそうなのか今日は口数がめっきり少ない。
あまりにカッコよくて目を合わせられないし。
撮影が一段落して、スタッフさんたちが最終チェックに奔走して取り残されている間、理人がボソッと言うのを、耳が拾ってしまった。
「出会い方が違ったら、前撮りこんな感じやったんかな」
……それって、結婚式の?
オーディションで戦う仲間として出会って、同じアイドルグループとして切磋琢磨してる世界線が、今で。
普通の一般人として出会ってたら、私たちは、結ばれてたって言うのかな。
それが本心だとしたら、何処までもずるい。
私だって、同じこと考えてるのに。
「すき」
仕返しに、理人に聞こえないはずの声量で、言葉が溢れ出てしまった。
抑えようと頑張っても無理なくらい、好き。
「おれも」
聞こえてたんだ。
でも、理人は、好きって言葉は口にしないんだね。
恐る恐る理人の方を見ると、あまりに甘くて溶けそうに優しくて、それでいて儚さを帯びた視線と目が合った。
それでいて、そっと影になるところで繋がれた手は、恋人繋ぎだった。
「ずるい」
言葉にしないくせに、言葉と態度でこんだけ好意を振りまいて。
両想いなんじゃないかって思わせて、確証だけ避けて。
……でも、理人みたいな覚悟や自制心が足りてない私のほうが、きっと。
「ごめん」
その謝罪に込められてるのは、どんな気持ち?
誰にも聞こえてない会話で、また想いを募らせて、またしんどくなる。
「撮影終了です、お疲れ様でした!」
「「ありがとうございました!」」
でも、あんな会話の後でも直ぐにアイドルとして振る舞えるようになったことが、実は何よりも一番辛いかもしれない。
こうやってまた、気持ちを蹴飛ばして、INIの理人とINIのみにに戻んなきゃいけないんだ。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「胸が苦しくなる系のお話」
失恋もいいなと思ったけど、思いついてしまった番犬りーくんが好きすぎて。
