【Hiroto.N】
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1番好きな場所は?なんて質問、たまにあるけど。
私には即答で言える場所があった。
図書館。
学校の図書室は知り合いがいたり勉強している人がいたりで、落ち着かなくて。
来てみた地域の図書館。
これが、正解だった。
周りには年齢層がばらばらの人たちがいて、近くに住んでいるんだろうけどお互いに知らない人しかいないから、気にも留めない。
無関心さが心地よくて、最近は学校帰りとか休日とか、頻繁に寄るようになった。
今日は、好きな作家さんの作品でまだ読んだことがなかったのを読もうと意気込んで来た。
ホームページで本があることを確認して、資料番号をメモしたから間違いない。
るんるんで棚に来ると、しかめっ面の男の子がひとり。
見たことない顔だな、制服を見る限り隣の男子校かな。
そのくらい考えたけどもう意識は本に向かってて、番号を頭でなぞりながら場所を当てる。
宝探ししてるようなこの時間も大好きなんだよなって思ってると、どうやら宝は簡単に手に入らないことが判明した。
……高すぎない?
手を伸ばしても届きそうもない場所に見つけて、踏み台を探そうと思っても誰かが持って行ってしまっているのか、見当たらなくて。
途方に暮れながら本を見つめていると、あの、と少し低い声が隣から聞こえた。
あれ、私に話しかけてる?
「あの!」
「わ、ごめんなさい。はい」
「本、取りましょうか?」
思いがけない申し出に、自分でも顔がぱっと輝いたのがわかった。
「いいんですか?」
「どれっすか?」
当たり前のように頷いて、顔を棚に向けるその人。
端正な顔立ちだな……なんて見惚れてから、あ、言わなきゃって思い直す。
「左から3番目の、『---』って本です」
「お、これか」
ひょいと腕を伸ばして本を簡単に取り、差し出してくれた。
「ありがとうございます!」
「あ、いえ」
じゃ、と言い残して足早に去っていったその人。
お礼とかしたかったんだけど、呼び止めるのもおかしいかな、って思い直してやめた。
本を持ってお気に入りの閲覧席に行ってみたけど、なんだかさっきの恩人がずっと頭に残って集中できなくて、結局貸出手続きをしてもらってから家に帰った。
「……待って、私、やばい?」
傍から見て「あーあの人、上の方の本取りたいんだな」って分かりやすかったってことじゃん。
そんな恥ずかしい事実に気づいて、しかもイケメンだったことも思い出して、ちょっと立ち直れなかった。
次の日、みんな無関心で居心地が良いとか思ってたくせに、「あの人いないかな」って思いながら図書館に行く。
同じような時間帯に同じ棚に向かっちゃって、どんだけ気になってるんだ、ってちょっと自分に引いた。
まあ当たり前にあの人はいなくて、落胆しながら本を探す。
思い返せば思い返すほどに、好きな恋愛小説のイメージとそっくりだった。
そう思った途端に読みたくなっちゃって、踵を返してその本がありそうな場所に移動する。
あ、あった。
その本を読み返し終わったときにはかなり時間が経ってることに気が付いて、急いで本を戻す。
小走りで出入口を通過しようとしたら、探してた人がちょうど入ってきてた。
どうしよ、いざ目の前にしたら、どうしていいかわかんない。
目が合って、やっぱりイケメンすぎて直視できなくて、謎に会釈してから、また小走りになって図書館を出た。
絶対やらかした?いやでも、これが限界。
バクバク言う心臓を抑えて、赤くなった頬が収まるように祈りながら走った。
それから、図書館に行く頻度を増やしたし、最初にあの本棚を目指すようになった。
決して話しかけられないけど、たまに見かけては、勝手に会釈しちゃう。
彼も会釈し返してくれて、ちょっとフォーマルなよっ友みたい。
どんな本読むんだろう、見かけるときは一冊も持ってないこと多いけど。
勝手にそんな想像して、普段からも考えちゃうことが増えた。
そんなことしてたら寝坊した朝。
いつもより2本遅い電車に揺られてると、近くの男子高校生の会話が不思議と耳に入ってきた。
「え、お前……本とか読むっけ?」
「失礼だなーおもろいよ、これ」
「いや否定はしないけど、現文の模試で『字多い』とか言ってたヒロトが急に読み出すのはさすがに違和感ある」
「え」
「はい顔に出たー」
「うわ、なんでお前今日この電車乗ってんの」
「今日は珍しく朝練ねーから。教えろよー」
確かに面白い本に出会えたらすんなり読めちゃうけど、活字苦手な人が読書家になるって結構なきっかけがないと厳しいよね。
納得しながら聞いてると、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
「図書館」
「え?」
「ちょっと前に姉ちゃんに頼まれて図書館行って本借りてやったの。そしたらハマった」
「それだけな訳ないわ。その行ったときになにがあったの」
言わなきゃダメ?ダメ。なんてひと悶着あったあと、片方の子が口を開いた。
「一目ぼれ、した」
超ロマンチックじゃん、って思いながらちらりと視線を寄越すと、え。
耳まで真っ赤にしながら喋っているのは、あの人だった。
私が知ってるのは図書館で出しても怒られない声量のささやき声だけだったから、気付かなかった。
本しか見てなくて、制服にも気づかなかったし。
「ふーん。だから本読む気になったと。図書館も通ってたり?」
「うるさいお前」
「ドンピシャじゃん」
チラ見だけのつもりだったのに、吸い込まれたように目が離せない。
そこまでガン見してれば、絶対おかしいわけで。
しっかりと目が合って、会釈どころじゃなくなった。
だって、今の、表情。
「ヒロト?」
「ちょっとごめん」
お友達を置いて、“ヒロト”はこっちにやって来る。
「あの、聞いてました?」
「すいません……」
あ、謝ったら肯定じゃん。
気付いた時には時すでに遅く、彼はまじか…と少し項垂れてた。
「聞かなかったことにしときます、ごめんなさい」
気まずすぎて、そう言い残して去ろうとすると、手首を掴んで止められる。
「もし、嫌じゃなかったら、なかったことにはしないでほしい、です」
「え」
「嘘じゃ、ないから……」
そんなことを言われたら、これからもっと意識してしまうのに。
目が合わせられなくて、つい下に落とすと、彼が片手で持ってる本は、いつか私が彼に取ってもらった本だと気づいて、もっと動揺してしまう。
精一杯の力を振り絞って頷くと、私の目線に気づいた彼が照れたように笑った。
「それで、好きな本、もっと教えてよ。図書館で待ってる」
私は成り行きで聞いちゃったけど、彼は私の名前も知らないはずなのに。
先に本のことを知りたがるところも、なんか、好きだなって思った。
……“も”、好き?
私って、気になるだけじゃなかったっけ。
自分の気持ちにパニックになってると、電車が私の学校の最寄り駅に停車する。
「ごめん、降りなきゃ!またね、図書館で待ってる」
感情任せに言葉にしてから電車を降りた。
今日はずっと図書館のこと、考えちゃうんだろうな。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「図書館での恋/名前の知らない男女の淡い恋物語」
意外性を狙って、たけちーから本を落札したと思ったら「字多い…」なひろぴーにして、萌えを目指してみました。いかがでしょうか!🦑
違うメンバーを想定されていましたら、また教えてください。ありがとうございました!
私には即答で言える場所があった。
図書館。
学校の図書室は知り合いがいたり勉強している人がいたりで、落ち着かなくて。
来てみた地域の図書館。
これが、正解だった。
周りには年齢層がばらばらの人たちがいて、近くに住んでいるんだろうけどお互いに知らない人しかいないから、気にも留めない。
無関心さが心地よくて、最近は学校帰りとか休日とか、頻繁に寄るようになった。
今日は、好きな作家さんの作品でまだ読んだことがなかったのを読もうと意気込んで来た。
ホームページで本があることを確認して、資料番号をメモしたから間違いない。
るんるんで棚に来ると、しかめっ面の男の子がひとり。
見たことない顔だな、制服を見る限り隣の男子校かな。
そのくらい考えたけどもう意識は本に向かってて、番号を頭でなぞりながら場所を当てる。
宝探ししてるようなこの時間も大好きなんだよなって思ってると、どうやら宝は簡単に手に入らないことが判明した。
……高すぎない?
手を伸ばしても届きそうもない場所に見つけて、踏み台を探そうと思っても誰かが持って行ってしまっているのか、見当たらなくて。
途方に暮れながら本を見つめていると、あの、と少し低い声が隣から聞こえた。
あれ、私に話しかけてる?
「あの!」
「わ、ごめんなさい。はい」
「本、取りましょうか?」
思いがけない申し出に、自分でも顔がぱっと輝いたのがわかった。
「いいんですか?」
「どれっすか?」
当たり前のように頷いて、顔を棚に向けるその人。
端正な顔立ちだな……なんて見惚れてから、あ、言わなきゃって思い直す。
「左から3番目の、『---』って本です」
「お、これか」
ひょいと腕を伸ばして本を簡単に取り、差し出してくれた。
「ありがとうございます!」
「あ、いえ」
じゃ、と言い残して足早に去っていったその人。
お礼とかしたかったんだけど、呼び止めるのもおかしいかな、って思い直してやめた。
本を持ってお気に入りの閲覧席に行ってみたけど、なんだかさっきの恩人がずっと頭に残って集中できなくて、結局貸出手続きをしてもらってから家に帰った。
「……待って、私、やばい?」
傍から見て「あーあの人、上の方の本取りたいんだな」って分かりやすかったってことじゃん。
そんな恥ずかしい事実に気づいて、しかもイケメンだったことも思い出して、ちょっと立ち直れなかった。
次の日、みんな無関心で居心地が良いとか思ってたくせに、「あの人いないかな」って思いながら図書館に行く。
同じような時間帯に同じ棚に向かっちゃって、どんだけ気になってるんだ、ってちょっと自分に引いた。
まあ当たり前にあの人はいなくて、落胆しながら本を探す。
思い返せば思い返すほどに、好きな恋愛小説のイメージとそっくりだった。
そう思った途端に読みたくなっちゃって、踵を返してその本がありそうな場所に移動する。
あ、あった。
その本を読み返し終わったときにはかなり時間が経ってることに気が付いて、急いで本を戻す。
小走りで出入口を通過しようとしたら、探してた人がちょうど入ってきてた。
どうしよ、いざ目の前にしたら、どうしていいかわかんない。
目が合って、やっぱりイケメンすぎて直視できなくて、謎に会釈してから、また小走りになって図書館を出た。
絶対やらかした?いやでも、これが限界。
バクバク言う心臓を抑えて、赤くなった頬が収まるように祈りながら走った。
それから、図書館に行く頻度を増やしたし、最初にあの本棚を目指すようになった。
決して話しかけられないけど、たまに見かけては、勝手に会釈しちゃう。
彼も会釈し返してくれて、ちょっとフォーマルなよっ友みたい。
どんな本読むんだろう、見かけるときは一冊も持ってないこと多いけど。
勝手にそんな想像して、普段からも考えちゃうことが増えた。
そんなことしてたら寝坊した朝。
いつもより2本遅い電車に揺られてると、近くの男子高校生の会話が不思議と耳に入ってきた。
「え、お前……本とか読むっけ?」
「失礼だなーおもろいよ、これ」
「いや否定はしないけど、現文の模試で『字多い』とか言ってたヒロトが急に読み出すのはさすがに違和感ある」
「え」
「はい顔に出たー」
「うわ、なんでお前今日この電車乗ってんの」
「今日は珍しく朝練ねーから。教えろよー」
確かに面白い本に出会えたらすんなり読めちゃうけど、活字苦手な人が読書家になるって結構なきっかけがないと厳しいよね。
納得しながら聞いてると、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
「図書館」
「え?」
「ちょっと前に姉ちゃんに頼まれて図書館行って本借りてやったの。そしたらハマった」
「それだけな訳ないわ。その行ったときになにがあったの」
言わなきゃダメ?ダメ。なんてひと悶着あったあと、片方の子が口を開いた。
「一目ぼれ、した」
超ロマンチックじゃん、って思いながらちらりと視線を寄越すと、え。
耳まで真っ赤にしながら喋っているのは、あの人だった。
私が知ってるのは図書館で出しても怒られない声量のささやき声だけだったから、気付かなかった。
本しか見てなくて、制服にも気づかなかったし。
「ふーん。だから本読む気になったと。図書館も通ってたり?」
「うるさいお前」
「ドンピシャじゃん」
チラ見だけのつもりだったのに、吸い込まれたように目が離せない。
そこまでガン見してれば、絶対おかしいわけで。
しっかりと目が合って、会釈どころじゃなくなった。
だって、今の、表情。
「ヒロト?」
「ちょっとごめん」
お友達を置いて、“ヒロト”はこっちにやって来る。
「あの、聞いてました?」
「すいません……」
あ、謝ったら肯定じゃん。
気付いた時には時すでに遅く、彼はまじか…と少し項垂れてた。
「聞かなかったことにしときます、ごめんなさい」
気まずすぎて、そう言い残して去ろうとすると、手首を掴んで止められる。
「もし、嫌じゃなかったら、なかったことにはしないでほしい、です」
「え」
「嘘じゃ、ないから……」
そんなことを言われたら、これからもっと意識してしまうのに。
目が合わせられなくて、つい下に落とすと、彼が片手で持ってる本は、いつか私が彼に取ってもらった本だと気づいて、もっと動揺してしまう。
精一杯の力を振り絞って頷くと、私の目線に気づいた彼が照れたように笑った。
「それで、好きな本、もっと教えてよ。図書館で待ってる」
私は成り行きで聞いちゃったけど、彼は私の名前も知らないはずなのに。
先に本のことを知りたがるところも、なんか、好きだなって思った。
……“も”、好き?
私って、気になるだけじゃなかったっけ。
自分の気持ちにパニックになってると、電車が私の学校の最寄り駅に停車する。
「ごめん、降りなきゃ!またね、図書館で待ってる」
感情任せに言葉にしてから電車を降りた。
今日はずっと図書館のこと、考えちゃうんだろうな。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「図書館での恋/名前の知らない男女の淡い恋物語」
意外性を狙って、たけちーから本を落札したと思ったら「字多い…」なひろぴーにして、萌えを目指してみました。いかがでしょうか!🦑
違うメンバーを想定されていましたら、また教えてください。ありがとうございました!
