【Yudai.S】
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放課後、部活がない日の体育館。
ずっと練習してる側転に納得がいかなくて、自主練をさせてもらうことにした。
1人でマットを引っ張り出し、適当な角度にスマホをセットして、動画を撮影しながら練習を重ねる。
自分の側転をスロー再生させてみるけど、美しくないんだよなあ。
「んー!なんか違う!」
誰もいないのをいいことに、叫んでみた。
無駄に響くのが余計空しくなる。
もう1回動画を確認しようと起き上がると、スマホが通知を示した。
“おすだい:今まだ学校おるー?”
“おすだい:俺いま掃除終わったで”
掃除終わるの遅くない?
なんて単純な疑問は、まあどうせふざけつつ真面目にやったんだろうな、なんて偏見に満ちた想像で解決。
誰かに会いたくなった私は素直に雄大に居場所を伝えることにした。
“今体育館で練習してる”
“まじ!昨日言ってた側転か!”
“絶対そっち行くわ!!”
昨日の夜にLINEしてたときに、側転に苦戦してるって言ったもんなあ。
そういえば、俺めっちゃ得意やから!ってイキってたかも。
「へへ、楽しみだなあ」
自然に声に出てて、口角も上がってて、自分で自分の単純さにびっくりする。
ついさっきまで寂しいなって思ってたのに、連絡1ターンでこんなに楽しくなってる。
雄大のパワーにまた助けてもらったなあって思いながらした側転は、今日イチの出来だった気がした。
……うっかりスマホ放置してたせいで、撮影できてなかったのが惜しいくらい。
もう1回、とまたマットのへりに立つと、ガタガタ音を立てながら体育館のドアが開いた。
「みにー!お待たせ!」
「……え?なんで雄大もジャージなの」
「そりゃ制服にしわ付けたらお母さんに怒られるやろ」
ジャージ姿で登場し謎のドヤ顔をかます雄大に、つい吹き出してしまった。
どれだけ、私を元気づける才能に満ち溢れてるんだろう。
それが才能なのか、優しさなのか、努力なのか、まだ私にはわからないけれど。
「んじゃ、側転かましたるかあ」
「気合い入ってるね」
「やー久しぶりやからドキドキするわあ」
「あ、久しぶりなんだ」
「逆に頻繁にやってたらやばいやろ。どんな奴やと思われてるん俺」
ちょっと、休み時間に廊下で側転してる雄大は想像に容易かったから、中学校のときそうだったとかかな、って思ったけど。
不満げに口を尖らせていたから、言わないことにした。
「じゃ、いきまーすっ」
「ファイト―!」
体操選手よろしく腕をピンと伸ばす雄大に、体操部式の声掛けを送る。
真剣な顔してるから、こっちも真剣に見よう……と思ってたんだけど。
「待ってなにその足!」
お手本とかけ離れたガニ股が、宙を横に移動する。
その様子がなんかのキャラクターみたいで、自分がフォームの修正に悩んでるのがちょっと馬鹿らしくなった。
「何って、俺の素晴らしいフォームやん?」
「それ女子の方だとめちゃくちゃ減点されるやつだよ」
「あはは!……え?」
「待って、ねえ、なにその表情」
笑い飛ばした後に我に返ったようなあほ面をしてるから、笑いが止まらなくなる。
何しに来たんだ、この人。
「えー俺結構自信あったんやけど」
「いやできてる!できてるけど、女子側だと美しくないってだけ」
「それ俺の側転が汚いって言ってるようなもんやん」
「そこまで言ってない!」
今度は体育座りになっていじけだしたから、また面白くなっちゃう。
こんなにコロコロ表情が変わるの、素敵なところだけど見てて元気になれる。
「でもね、回転に入る勢いはすっごい真似したいと思った」
「え、ほんま!?」
「うん。綺麗だったもん。私ちょっと怖気づいちゃってたのかも」
緊張なんて言ってたくせに、躊躇なく腕が床に向いてるのがスムーズで、綺麗で。
そこは私が目指さなきゃって思う部分だった。
「よし、やってみよ」
「お、俺見てていいん?」
「うん。私も雄大の見てたし」
もう1回立って、息を吸う。
絶対勘違いだけど、雄大の柔らかな香りが鼻腔をくすぐったような気がして、リラックスできた。
「えー!めっちゃ綺麗やん!」
……うまくなったけど、まだ完璧じゃない。
着地してから、雄大の大きな拍手を聞きつつももう1回リベンジしたい気持ちに駆られた。
「いや、まだいけるんだよねきっと」
「ストイックやなあ。応援するで」
もう何回目かもわからないけど、また背筋を正して立つ。
回ろうとして、……視界がふにゃふにゃして、あれ?って思う。
ふらついて、もうだめだあってぎゅっと目を瞑ったけど、体に軽い衝突と圧迫感しか来なかった。
「あっぶな……!みに、大丈夫!?」
雄大が横から強烈に抱き留めてくれて、その場で倒れることは免れた。
されるがままに寝かされて、雄大のジャージの上着がかけられて。
しゅんと眉が下がった雄大に、髪を撫でられていた。
「みには頑張り屋さんやな。俺がいて良かったあ」
「……折角練習付き合ってもらってたのに、ごめん」
「え!?いやいや、謝らんといて。俺が来ただけやし」
さっきまであんなにおちゃらけてたのに、こういうときだけとびっきり優しくてかっこいい顔するんだから、本当にずるい。
この顔は私に対してだけがいいって思っちゃうから。
「俺としては、あ、彼氏の佐野雄大としてはな、みににはもっとみにを大事にしてほしいなって思うけど」
「ごめん」
「へへ、でもストイックなのもみにのいいところやし、す、好きやし」
照れながら、でも私の顔を覗き込んで話すから、こっちはもっと照れてしまう。
「やから、俺がみにの専門家になる」
「……はあ?」
「え、ちょ、そこきゅんポイントやったんやけど」
本人的にはかっこつけて言ったみたいだけど、私にはさっぱり理解できなくて怪訝そうな声が漏れただけ。
それが想定外だったらしい雄大は、焦りながらもぺらぺらと話してくれた。
「今日はもうキャパ超えてんちゃうかなとか、笑いたいんちゃうかな、とか。そういうのに気づいて、叶えるのが俺の役割ってこと。上手く言えてへんかもやけどお」
「……うん、伝わったよ」
どう受け止めていいのかわかんないくらい、すごいこと言ってるのは分かった。
そんな愛に溢れたようなことを好きな人に言ってもらえるって、どんなに幸せなんだろう。
「俺めっちゃみにのこと見てるけど、これからもっと見るから。舐めんといてな」
「どういう予告?」
「いやほんまに。みにがビビるくらい」
「それは遠慮したいかも」
「みにに拒否権ないでーす」
無邪気にピースしてから、「一応今日は送ってくな」って決定事項のように言って頬を撫でるから、もうギャップについていけなくなる。
「ありがと、いろいろ」
「んー?もう大丈夫なん?」
「うん」
心配そうに見つめられるから、すんなり起き上がってみせる。
安心したように微笑んだ雄大にジャージを返すと、「みにの側転、めっちゃ綺麗やったで」って欲しい言葉をくれるから、本当に専門家なのかもって思ってしまった。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「側転が上手くできない体操部の彼女に、側転を教えてあげる側転彼氏佐野」
読んだ瞬間めちゃくちゃ笑いました。発想が素敵すぎる…!
側転彼氏って日本語、とてもいいです笑笑
すごく嬉しかったです、ありがとうございました♡
ずっと練習してる側転に納得がいかなくて、自主練をさせてもらうことにした。
1人でマットを引っ張り出し、適当な角度にスマホをセットして、動画を撮影しながら練習を重ねる。
自分の側転をスロー再生させてみるけど、美しくないんだよなあ。
「んー!なんか違う!」
誰もいないのをいいことに、叫んでみた。
無駄に響くのが余計空しくなる。
もう1回動画を確認しようと起き上がると、スマホが通知を示した。
“おすだい:今まだ学校おるー?”
“おすだい:俺いま掃除終わったで”
掃除終わるの遅くない?
なんて単純な疑問は、まあどうせふざけつつ真面目にやったんだろうな、なんて偏見に満ちた想像で解決。
誰かに会いたくなった私は素直に雄大に居場所を伝えることにした。
“今体育館で練習してる”
“まじ!昨日言ってた側転か!”
“絶対そっち行くわ!!”
昨日の夜にLINEしてたときに、側転に苦戦してるって言ったもんなあ。
そういえば、俺めっちゃ得意やから!ってイキってたかも。
「へへ、楽しみだなあ」
自然に声に出てて、口角も上がってて、自分で自分の単純さにびっくりする。
ついさっきまで寂しいなって思ってたのに、連絡1ターンでこんなに楽しくなってる。
雄大のパワーにまた助けてもらったなあって思いながらした側転は、今日イチの出来だった気がした。
……うっかりスマホ放置してたせいで、撮影できてなかったのが惜しいくらい。
もう1回、とまたマットのへりに立つと、ガタガタ音を立てながら体育館のドアが開いた。
「みにー!お待たせ!」
「……え?なんで雄大もジャージなの」
「そりゃ制服にしわ付けたらお母さんに怒られるやろ」
ジャージ姿で登場し謎のドヤ顔をかます雄大に、つい吹き出してしまった。
どれだけ、私を元気づける才能に満ち溢れてるんだろう。
それが才能なのか、優しさなのか、努力なのか、まだ私にはわからないけれど。
「んじゃ、側転かましたるかあ」
「気合い入ってるね」
「やー久しぶりやからドキドキするわあ」
「あ、久しぶりなんだ」
「逆に頻繁にやってたらやばいやろ。どんな奴やと思われてるん俺」
ちょっと、休み時間に廊下で側転してる雄大は想像に容易かったから、中学校のときそうだったとかかな、って思ったけど。
不満げに口を尖らせていたから、言わないことにした。
「じゃ、いきまーすっ」
「ファイト―!」
体操選手よろしく腕をピンと伸ばす雄大に、体操部式の声掛けを送る。
真剣な顔してるから、こっちも真剣に見よう……と思ってたんだけど。
「待ってなにその足!」
お手本とかけ離れたガニ股が、宙を横に移動する。
その様子がなんかのキャラクターみたいで、自分がフォームの修正に悩んでるのがちょっと馬鹿らしくなった。
「何って、俺の素晴らしいフォームやん?」
「それ女子の方だとめちゃくちゃ減点されるやつだよ」
「あはは!……え?」
「待って、ねえ、なにその表情」
笑い飛ばした後に我に返ったようなあほ面をしてるから、笑いが止まらなくなる。
何しに来たんだ、この人。
「えー俺結構自信あったんやけど」
「いやできてる!できてるけど、女子側だと美しくないってだけ」
「それ俺の側転が汚いって言ってるようなもんやん」
「そこまで言ってない!」
今度は体育座りになっていじけだしたから、また面白くなっちゃう。
こんなにコロコロ表情が変わるの、素敵なところだけど見てて元気になれる。
「でもね、回転に入る勢いはすっごい真似したいと思った」
「え、ほんま!?」
「うん。綺麗だったもん。私ちょっと怖気づいちゃってたのかも」
緊張なんて言ってたくせに、躊躇なく腕が床に向いてるのがスムーズで、綺麗で。
そこは私が目指さなきゃって思う部分だった。
「よし、やってみよ」
「お、俺見てていいん?」
「うん。私も雄大の見てたし」
もう1回立って、息を吸う。
絶対勘違いだけど、雄大の柔らかな香りが鼻腔をくすぐったような気がして、リラックスできた。
「えー!めっちゃ綺麗やん!」
……うまくなったけど、まだ完璧じゃない。
着地してから、雄大の大きな拍手を聞きつつももう1回リベンジしたい気持ちに駆られた。
「いや、まだいけるんだよねきっと」
「ストイックやなあ。応援するで」
もう何回目かもわからないけど、また背筋を正して立つ。
回ろうとして、……視界がふにゃふにゃして、あれ?って思う。
ふらついて、もうだめだあってぎゅっと目を瞑ったけど、体に軽い衝突と圧迫感しか来なかった。
「あっぶな……!みに、大丈夫!?」
雄大が横から強烈に抱き留めてくれて、その場で倒れることは免れた。
されるがままに寝かされて、雄大のジャージの上着がかけられて。
しゅんと眉が下がった雄大に、髪を撫でられていた。
「みには頑張り屋さんやな。俺がいて良かったあ」
「……折角練習付き合ってもらってたのに、ごめん」
「え!?いやいや、謝らんといて。俺が来ただけやし」
さっきまであんなにおちゃらけてたのに、こういうときだけとびっきり優しくてかっこいい顔するんだから、本当にずるい。
この顔は私に対してだけがいいって思っちゃうから。
「俺としては、あ、彼氏の佐野雄大としてはな、みににはもっとみにを大事にしてほしいなって思うけど」
「ごめん」
「へへ、でもストイックなのもみにのいいところやし、す、好きやし」
照れながら、でも私の顔を覗き込んで話すから、こっちはもっと照れてしまう。
「やから、俺がみにの専門家になる」
「……はあ?」
「え、ちょ、そこきゅんポイントやったんやけど」
本人的にはかっこつけて言ったみたいだけど、私にはさっぱり理解できなくて怪訝そうな声が漏れただけ。
それが想定外だったらしい雄大は、焦りながらもぺらぺらと話してくれた。
「今日はもうキャパ超えてんちゃうかなとか、笑いたいんちゃうかな、とか。そういうのに気づいて、叶えるのが俺の役割ってこと。上手く言えてへんかもやけどお」
「……うん、伝わったよ」
どう受け止めていいのかわかんないくらい、すごいこと言ってるのは分かった。
そんな愛に溢れたようなことを好きな人に言ってもらえるって、どんなに幸せなんだろう。
「俺めっちゃみにのこと見てるけど、これからもっと見るから。舐めんといてな」
「どういう予告?」
「いやほんまに。みにがビビるくらい」
「それは遠慮したいかも」
「みにに拒否権ないでーす」
無邪気にピースしてから、「一応今日は送ってくな」って決定事項のように言って頬を撫でるから、もうギャップについていけなくなる。
「ありがと、いろいろ」
「んー?もう大丈夫なん?」
「うん」
心配そうに見つめられるから、すんなり起き上がってみせる。
安心したように微笑んだ雄大にジャージを返すと、「みにの側転、めっちゃ綺麗やったで」って欲しい言葉をくれるから、本当に専門家なのかもって思ってしまった。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
リクエスト「側転が上手くできない体操部の彼女に、側転を教えてあげる側転彼氏佐野」
読んだ瞬間めちゃくちゃ笑いました。発想が素敵すぎる…!
側転彼氏って日本語、とてもいいです笑笑
すごく嬉しかったです、ありがとうございました♡
