【Hiroto.N】
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はあ。
何度目かも分からない溜め息が出る。
毎日決まったことをこなすルーティンだけど、それが今はなんだかしんどい。
力なく玄関のドアを開けると、明るい部屋に迎えられて涙が出そうになった。
それを隠すように、リビングのドアを少しだけ開けて声を掛ける。
「ただいま。お風呂入ってくる」
「んー」
ゲームしてる背中に投げかければ、聞いてるんだか聞いてないんだか微妙な返事が来た。
そっとドアを閉めて、部屋に荷物を置いて支度する。
洗面所に入ると、微かに残る洸人の匂い。
それだけでまた緊張の糸が解ける。
前を見れば、鏡にひどい顔した自分が映った。
洸人にこんな顔、見せたくないなあ。
目を逸らすように服を脱いでお湯に浸かれば、本気で泣いてしまった。
でも泣く自分が嫌。
さっき少しだけ洸人に対して苛立ったのも嫌。
そう思うと、涙は止まることを知らなくなる。
それでも洸人には心配かけたくない。
“面倒見が良くてお母さんみたいな人”がタイプだし、こんな面倒くさいとこ知られたくない。
だから、冷たいシャワーを少しだけ浴びて涙を止めた。
お風呂からあがって体を拭き、スキンケアを終える。
ドライヤーのスイッチを入れたそのとき、洗面所のドアが開いた。
急に現れた洸人に驚いていると、洸人に手を握られてスイッチを落とされ、ドライヤーも奪われる。
「こっち来て」
「う、うん」
よくわかんないまま着いていくと、洸人はドライヤーをコンセントに挿したあと、足を広げてソファに座った。
「……ここ」
「え」
足の間をぽんと叩いて示す洸人。
視線は一向に合わないけど、言われた通りの場所に恐る恐る座る。
すぐにスイッチが入れられ、温風に包まれた。
ガシガシ乾かすのかと思ったら、案外その手つきは割れ物に触れるように優しくて。
熱すぎない温度で、少しずつ丁寧に乾かしてくれた。
まるで“俺はお前を大事にしてるよ"って伝わるようだったから、抑えてた涙がまた溢れてしまった。
乾かし終わって、洸人はスイッチを切る。
無音が訪れた空間に私の洟をすする音が響いてしまって、後ろから慌てたような声がした。
「やっぱり自分で乾かした方が良かった?ごめん、勝手に」
めっちゃ的外れな反省が聞こえて、違うよの意味を込めて首を横に振る。
「コンビニまでぱっと走ってなんか買うか悩んだ。悩んだけど、今から甘いものっていうのも嫌かもしんないから」
全然違うんだけど。
ずっと変な勘違いをしてる洸人が、どうしようもなく愛おしい。
私は、嬉しくて泣いてるのに。
愛おしさも相まってますます涙が止まらない私と、それを見て自分のせいだと感じてオロオロしてる洸人。
ずっと首を横に振り続けてると、そっと洸人の逞しい腕が前に回って、ぎゅっと抱き締められた。
「何でもするから泣き止んでよ。俺、みにに泣かれると、困る」
「そうだよね、ごめん……」
「あ、待って違う。ごめん。言い方間違えた。」
そうだよね、困らせてるじゃん。
落ち込む私を見て、洸人は急いで付け足した。
「みにの泣いてる顔見たら、閉じ込めたくなんだよ」
「閉じ込め……?」
なんだかよくわかんないジョークが聞こえて、首を傾げる。
すると、洸人は気まずそうに言った。
「俺しかいない世界だったら、絶対泣かせねえのに」
そんなこと思ってくれてるんだ。
驚きでさっき涙は引っ込んだ。
代わりに胸がいっぱいになって、洸人の手をぎゅっと握る。
照れ隠しか、洸人に頭をぐりぐりと背中に押し付けられた。
「ありがと、洸人」
「何もしてないだろ」
「ううん、嬉しい」
腕の中で体の向きを変え、正面から洸人に抱きついた。
きっと私が帰ったときの様子が弱々しくて心配して、あれだけ好きなゲームの電源を落としてくれた。
お風呂に入ってる間、どうしたら私が元気になるかいっぱい考えてくれた。
その結果髪を乾かすことにして、大きな手と優しい手つきで触れてくれた。
今だって、すぐに腕に力を込めて抱き寄せてくれた。
「お疲れ様」
「ねえ〜また泣かせようとしないで」
「違うから!」
こんなに全力で労ってくれる彼氏がいるんだもん。
それだけで頑張れるじゃんね。
「今日はもう寝な」
頭をぽんぽんと撫でたあと、洸人の手が背中に回る。
まさか。
「え、いいよ大変でしょ」
「別に」
一言で言いくるめられて、体がふわりと持ち上がった。
足でドアを開けて、ベッドにゆっくり降ろされる。
「明日筋肉痛ならない?大丈夫?」
「舐めんな」
「あ、ありがとう……」
真っ直ぐなお姫様扱いに照れて動けないでいると、そっとキスを落とされる。
「やっぱ俺も寝よ。ちょっと待ってて。いや、寝ててもいいけど」
「わかった」
走ってった洸人は、片付けとかしてくれてるのかな。
あまりに幸せで、ベッドの洸人が寝てる方に倒れ込んで息をいっぱい吸った。
「携帯も充電しといた」
「完璧じゃん。ありがとう」
洸人はすぐに帰ってきた。
そして、電気を暗くして、モゾモゾと隣に潜り込んだ。
「次の休み、何したい?」
「洸人に合わせる」
「なんで?」
眉間に思いっきり皺を寄せる洸人を見て気づく。
これで終わりじゃなくて、まだ優しくしようとしてるんだ、この人。
「じゃあ1個お願い聞いて」
「ん?」
「明日、洸人の香水借りていい?」
洸人の香りに包まれれば、なんか頑張れる気がする。
そう呟けば、洸人はベッドに突っ伏した。
「ちょ、今こっち見んな。かわいすぎだからお前」
「え、借りていいの?」
「当たり前だろ」
借りて良いらしい。
「ありがとう」
「別に毎日でもいいけど」
だってあれ、洸人がすっごく大事にしてるものでしょ。
それは言えずに、優しさを受け取った。
「じゃあ俺もみにの借りよっかな」
「洸人から私の匂いすんの?」
「え、今バカにした?」
「いやいや、洸人かわいいよ」
「バカにしてるやん」
「してないって!」
かわいいって言うとすぐ「バカにしてる」って言われるけど、本心なんだよなあ。
そうやって照れ隠しするとこも、かわいいじゃんね。
「まあでも、笑ってくれんなら良かったよ」
「……大好き」
「ちょ、不意打ちずるいって」
「ふふ、ほんとだもん」
「早く寝ろ!もう!」
ぼんっと布団を被せられた。
こんな分かりやすく照れる人、なかなかいないよ。
布団の中でニヤニヤしてると、遠慮がちに声をかけられたから顔を出す。
「……寝た?みに」
「寝てないよ」
「いつもありがと」
「こちらこそ」
「普段俺あんま言えてないから」
言葉が少ないのを気にしてたんだ。
だからって愛されてないと思ったことないけど。
「でも、ちゃんと好きだしちゃんと愛してる」
「ふふ、ありがとう」
優しく髪を撫でられて、キスが降ってきた。
「俺の前では、我慢しなくていいんじゃねえの」
眠りに落ちる前、とびきり優しい声が聞こえた。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
泣き顔のくだりは彼にとっては本気かも?
リクエスト「毎日の疲れを不器用に労ってくれる🖤くん」
嬉しいお言葉とともに素敵なリクエストを送ってくださって、ありがとうございました!
読んでくださっている皆さんの疲れを少しでも癒やすことができたら、わかめは幸せです⸝⋆
何度目かも分からない溜め息が出る。
毎日決まったことをこなすルーティンだけど、それが今はなんだかしんどい。
力なく玄関のドアを開けると、明るい部屋に迎えられて涙が出そうになった。
それを隠すように、リビングのドアを少しだけ開けて声を掛ける。
「ただいま。お風呂入ってくる」
「んー」
ゲームしてる背中に投げかければ、聞いてるんだか聞いてないんだか微妙な返事が来た。
そっとドアを閉めて、部屋に荷物を置いて支度する。
洗面所に入ると、微かに残る洸人の匂い。
それだけでまた緊張の糸が解ける。
前を見れば、鏡にひどい顔した自分が映った。
洸人にこんな顔、見せたくないなあ。
目を逸らすように服を脱いでお湯に浸かれば、本気で泣いてしまった。
でも泣く自分が嫌。
さっき少しだけ洸人に対して苛立ったのも嫌。
そう思うと、涙は止まることを知らなくなる。
それでも洸人には心配かけたくない。
“面倒見が良くてお母さんみたいな人”がタイプだし、こんな面倒くさいとこ知られたくない。
だから、冷たいシャワーを少しだけ浴びて涙を止めた。
お風呂からあがって体を拭き、スキンケアを終える。
ドライヤーのスイッチを入れたそのとき、洗面所のドアが開いた。
急に現れた洸人に驚いていると、洸人に手を握られてスイッチを落とされ、ドライヤーも奪われる。
「こっち来て」
「う、うん」
よくわかんないまま着いていくと、洸人はドライヤーをコンセントに挿したあと、足を広げてソファに座った。
「……ここ」
「え」
足の間をぽんと叩いて示す洸人。
視線は一向に合わないけど、言われた通りの場所に恐る恐る座る。
すぐにスイッチが入れられ、温風に包まれた。
ガシガシ乾かすのかと思ったら、案外その手つきは割れ物に触れるように優しくて。
熱すぎない温度で、少しずつ丁寧に乾かしてくれた。
まるで“俺はお前を大事にしてるよ"って伝わるようだったから、抑えてた涙がまた溢れてしまった。
乾かし終わって、洸人はスイッチを切る。
無音が訪れた空間に私の洟をすする音が響いてしまって、後ろから慌てたような声がした。
「やっぱり自分で乾かした方が良かった?ごめん、勝手に」
めっちゃ的外れな反省が聞こえて、違うよの意味を込めて首を横に振る。
「コンビニまでぱっと走ってなんか買うか悩んだ。悩んだけど、今から甘いものっていうのも嫌かもしんないから」
全然違うんだけど。
ずっと変な勘違いをしてる洸人が、どうしようもなく愛おしい。
私は、嬉しくて泣いてるのに。
愛おしさも相まってますます涙が止まらない私と、それを見て自分のせいだと感じてオロオロしてる洸人。
ずっと首を横に振り続けてると、そっと洸人の逞しい腕が前に回って、ぎゅっと抱き締められた。
「何でもするから泣き止んでよ。俺、みにに泣かれると、困る」
「そうだよね、ごめん……」
「あ、待って違う。ごめん。言い方間違えた。」
そうだよね、困らせてるじゃん。
落ち込む私を見て、洸人は急いで付け足した。
「みにの泣いてる顔見たら、閉じ込めたくなんだよ」
「閉じ込め……?」
なんだかよくわかんないジョークが聞こえて、首を傾げる。
すると、洸人は気まずそうに言った。
「俺しかいない世界だったら、絶対泣かせねえのに」
そんなこと思ってくれてるんだ。
驚きでさっき涙は引っ込んだ。
代わりに胸がいっぱいになって、洸人の手をぎゅっと握る。
照れ隠しか、洸人に頭をぐりぐりと背中に押し付けられた。
「ありがと、洸人」
「何もしてないだろ」
「ううん、嬉しい」
腕の中で体の向きを変え、正面から洸人に抱きついた。
きっと私が帰ったときの様子が弱々しくて心配して、あれだけ好きなゲームの電源を落としてくれた。
お風呂に入ってる間、どうしたら私が元気になるかいっぱい考えてくれた。
その結果髪を乾かすことにして、大きな手と優しい手つきで触れてくれた。
今だって、すぐに腕に力を込めて抱き寄せてくれた。
「お疲れ様」
「ねえ〜また泣かせようとしないで」
「違うから!」
こんなに全力で労ってくれる彼氏がいるんだもん。
それだけで頑張れるじゃんね。
「今日はもう寝な」
頭をぽんぽんと撫でたあと、洸人の手が背中に回る。
まさか。
「え、いいよ大変でしょ」
「別に」
一言で言いくるめられて、体がふわりと持ち上がった。
足でドアを開けて、ベッドにゆっくり降ろされる。
「明日筋肉痛ならない?大丈夫?」
「舐めんな」
「あ、ありがとう……」
真っ直ぐなお姫様扱いに照れて動けないでいると、そっとキスを落とされる。
「やっぱ俺も寝よ。ちょっと待ってて。いや、寝ててもいいけど」
「わかった」
走ってった洸人は、片付けとかしてくれてるのかな。
あまりに幸せで、ベッドの洸人が寝てる方に倒れ込んで息をいっぱい吸った。
「携帯も充電しといた」
「完璧じゃん。ありがとう」
洸人はすぐに帰ってきた。
そして、電気を暗くして、モゾモゾと隣に潜り込んだ。
「次の休み、何したい?」
「洸人に合わせる」
「なんで?」
眉間に思いっきり皺を寄せる洸人を見て気づく。
これで終わりじゃなくて、まだ優しくしようとしてるんだ、この人。
「じゃあ1個お願い聞いて」
「ん?」
「明日、洸人の香水借りていい?」
洸人の香りに包まれれば、なんか頑張れる気がする。
そう呟けば、洸人はベッドに突っ伏した。
「ちょ、今こっち見んな。かわいすぎだからお前」
「え、借りていいの?」
「当たり前だろ」
借りて良いらしい。
「ありがとう」
「別に毎日でもいいけど」
だってあれ、洸人がすっごく大事にしてるものでしょ。
それは言えずに、優しさを受け取った。
「じゃあ俺もみにの借りよっかな」
「洸人から私の匂いすんの?」
「え、今バカにした?」
「いやいや、洸人かわいいよ」
「バカにしてるやん」
「してないって!」
かわいいって言うとすぐ「バカにしてる」って言われるけど、本心なんだよなあ。
そうやって照れ隠しするとこも、かわいいじゃんね。
「まあでも、笑ってくれんなら良かったよ」
「……大好き」
「ちょ、不意打ちずるいって」
「ふふ、ほんとだもん」
「早く寝ろ!もう!」
ぼんっと布団を被せられた。
こんな分かりやすく照れる人、なかなかいないよ。
布団の中でニヤニヤしてると、遠慮がちに声をかけられたから顔を出す。
「……寝た?みに」
「寝てないよ」
「いつもありがと」
「こちらこそ」
「普段俺あんま言えてないから」
言葉が少ないのを気にしてたんだ。
だからって愛されてないと思ったことないけど。
「でも、ちゃんと好きだしちゃんと愛してる」
「ふふ、ありがとう」
優しく髪を撫でられて、キスが降ってきた。
「俺の前では、我慢しなくていいんじゃねえの」
眠りに落ちる前、とびきり優しい声が聞こえた。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
泣き顔のくだりは彼にとっては本気かも?
リクエスト「毎日の疲れを不器用に労ってくれる🖤くん」
嬉しいお言葉とともに素敵なリクエストを送ってくださって、ありがとうございました!
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