【Takumi.O】
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私には、誰にも言っていない推しがいる。
近くのコンビニでバイトしてる尾崎さん。
人の名前を全然覚えない私が名札を見ただけで覚えてしまったのだから、相当推してるんだと思う。
初めて認識したのは、スムージーを買ったとき。
店内のコーヒーマシンで完成させないと飲めないのに、私が買った時に丁度コーヒーマシンにメンテナンスが入ってたらしくて。
「お客様、大変申し訳ありません。後5分で終わるのでイートインスペースでお待ち頂くことになります」
って、学生の私にも敬語で丁寧に教えてくれた。
そのくらい全然待つのに。
その上、5分後には傍まで来てくれて、キラキラした笑顔でメンテナンスの終了を教えてくれた。
「ただいま終わりましたのでお召し上がり頂けます!」
って、なんだか私よりお兄さんが喜んでるみたいだった。
その時に見えた名札に書かれていた苗字が“尾崎”。
眩しいくらいの存在感に、心が動かされた。
それ以降は、尾崎さんがいないか少しだけ期待する日々。
好きなアニメのコラボ商品があるからとか、新商品が美味しそうだからとか。
そこそこの行く理由はあったけど、1番気にしてたのは尾崎さんがいるかどうかだった。
もちろん毎回いるわけじゃない。
そのうえ数回に1回だけ目にしては満足しちゃうから、尾崎さんのことは何も知らないんだけど。
お名前はなんていうんですか?
何歳ですか?
誕生日はいつですか?
血液型はなんですか?
なんて、聞きたいことは本当はいっぱいあるのに。
コンビニで支払い手続きを初めて踏むときも、担当してくれたのは尾崎さんだった。
合ってるのかわからなくてソワソワする私を見かねてか、優しい笑顔でゆっくり確認しながら進めてくれた。
いつ見ても丁寧に商品を扱うし綺麗な笑みを浮かべてる尾崎さんは、どんなアイドルよりもかっこよく見えた。
1回だけ、「こちら温めますか?」とプリンを掲げたのを目撃したこともある。
天然なミスをしてるところも、面白かったしかわいいなと思った。
友達の推してるグループを見せられて(名前)はどの人がタイプ?と聞かれた時も、直感で選んだ人は尾崎さんに似てた。
ほんとに無意識に選んだのによく見たら雰囲気がやっぱり似てるって気づいて、ちょっと自分でもびっくりした。
それくらい、沼にハマってるんだと思う。
ある日、レジに尾崎さんを見つけて、るんるんでスイーツを手に取った。
そしたら、前に並んでた人が結構ひどい人だった。
尾崎さんは全く悪くないのに、意味分かんないところにケチつけて去ってしまった。
あんなに頑張ってる尾崎さんにそんな心ない言葉浴びせるな、って思ったのに。
弱虫な私は、声を上げることはできなかった。
そんな私にも、いつもの笑顔を見せようと気高に振る舞う尾崎さんは、本当にかっこよかった。
だからこそ、お客さんという同じ立場にいたのに、店員さんの立場である尾崎さんのために何もできなかったことが、悔しかった。
「え、泣いて、え、泣かないでください」
「私なんで泣いてるんだろ………」
他に誰もいないコンビニで、理由もわからず涙を流す私とそれに慌てる尾崎さんという構図ができあがってしまった。
“あなたを推してて、あなたが目の前で無慈悲な目に遭ってるのに何もできなかったから”
なんて、絶対気色悪いし言えるわけない。
「ちょっと待ってね」
何も答えられずに泣いてる私にそう告げると、尾崎さんは急いでどこかの商品棚に走っていった。
ものの数秒で戻ってきた尾崎さんの手に握られていたのは、無地のハンカチだった。
呆気にとられていると、尾崎さんはスマホを出して決済を終え、スイーツと一緒に差し出した。
え、これ、尾崎さんの奢り、だよね?
驚きで涙なんか引っ込んじゃった。
「お金払います」
「いや、僕が勝手にしたことなんで!」
「勝手に泣き出した私のせいなので」
「いえいえ、受け取ってください!でも他の人には秘密で!」
笑顔を崩さない上、全然意思を曲げそうにない尾崎さん。
推しに強く言えないって、オタクの性なのかな。
「結局受け取っちゃった」
食い下がってみたけど、諦めてハンカチを大事に握りしめてコンビニを出た。
どうやってお礼しよう。
ハンカチを洗って返す?いやいや、いらないよねこんなの。
新しいハンカチを買う……のは、流石に変だよね。
お金だけ返すのが無難かな。
家で小さな封筒にお金を入れ、何か一言添えようと一筆箋を準備する。
きっと、もう少し大きな紙にしたら、余計なことまで書いてしまいそうだから。
これも無難に、“ありがとうございました”と書いて考える。
宛名あったらキモいかな?ないのも素っ気ないかな?
尾崎さんが発した一瞬のタメ口にきゅんとした記憶に引っ張られて、結局小さく書いてしまった。
その翌日は、用意した封筒を鞄に潜ませて、コンビニをチラチラ見ながら通る。
透明なドア越しに尾崎さんの姿はなくて、また明日確認しようかなって諦めたそのとき。
「今日は元気ですか?」
私服姿の尾崎さんが目の前に立っていた。
似合っててかっこいい……
なんでここにいるの?とかそんな疑問はどっかに行ってしまう。
「昨日はありがとうございました。あの、これ」
用意した封筒を渡すと、いつもの笑顔とは少し違う、はにかんだように笑う尾崎さん。
「ティッシュの方が安いし消え物なのに、なんでハンカチにしたんだと思いますか?」
確かに。なんでだろう?
首を傾げる私に笑いかけた尾崎さんは、目線を少し下にずらして照れ臭そうに口を開いた。
「また使ってくれるなら、使う度に俺のこと思い出してくれるかなっていう気持ちと」
長い指を1つだけ折って、今度はしっかりと目が合う。
「ティッシュより高いほうが、お礼しなきゃってまた会いに来てくれるかなっていう気持ち」
それって、つまり。
「こんなん気持ち悪いかなと思って伝えられなかったんですけど、バイトしながら、いつも来ないかなって待ってました」
私が尾崎さんを探していたように、
尾崎さんも私を探してたってこと?
熱くなっていく頬を冷ますように手で風を送る。
反応を気にしてか、上目がちに私の顔を見る尾崎さんは不安そうだった。
そしたら、ドキドキよりも笑顔でいてほしい気持ちが勝ってしまった。
「実は、私もいつも尾崎さんのこと探してました」
正直に打ち明ければ、手の甲で顔を隠す尾崎さん。
やばっ……という声が微かに耳に届いた。
「あの、お名前聞いてもいいですか。尾崎匠海って言うんですけど」
「立花みにです」
匠海さんって言うんだ。物凄くぴったり。
「みにちゃん、また来てくれる?」
「は、はい!来ます!」
唐突な名前呼びにびっくりしつつ、従順な子どものように反射で返事した。
ニッコリ笑った尾崎さんは、足早に去っていってしまった。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
たぶん、この後連絡先の聞き忘れに気づいて落ち込むたくみんがいます。ゆっくり距離縮めて超可愛いカップルになってね。
近くのコンビニでバイトしてる小林大悟くん似のお兄さんを密かに目の保養にしているわかめでした。
近くのコンビニでバイトしてる尾崎さん。
人の名前を全然覚えない私が名札を見ただけで覚えてしまったのだから、相当推してるんだと思う。
初めて認識したのは、スムージーを買ったとき。
店内のコーヒーマシンで完成させないと飲めないのに、私が買った時に丁度コーヒーマシンにメンテナンスが入ってたらしくて。
「お客様、大変申し訳ありません。後5分で終わるのでイートインスペースでお待ち頂くことになります」
って、学生の私にも敬語で丁寧に教えてくれた。
そのくらい全然待つのに。
その上、5分後には傍まで来てくれて、キラキラした笑顔でメンテナンスの終了を教えてくれた。
「ただいま終わりましたのでお召し上がり頂けます!」
って、なんだか私よりお兄さんが喜んでるみたいだった。
その時に見えた名札に書かれていた苗字が“尾崎”。
眩しいくらいの存在感に、心が動かされた。
それ以降は、尾崎さんがいないか少しだけ期待する日々。
好きなアニメのコラボ商品があるからとか、新商品が美味しそうだからとか。
そこそこの行く理由はあったけど、1番気にしてたのは尾崎さんがいるかどうかだった。
もちろん毎回いるわけじゃない。
そのうえ数回に1回だけ目にしては満足しちゃうから、尾崎さんのことは何も知らないんだけど。
お名前はなんていうんですか?
何歳ですか?
誕生日はいつですか?
血液型はなんですか?
なんて、聞きたいことは本当はいっぱいあるのに。
コンビニで支払い手続きを初めて踏むときも、担当してくれたのは尾崎さんだった。
合ってるのかわからなくてソワソワする私を見かねてか、優しい笑顔でゆっくり確認しながら進めてくれた。
いつ見ても丁寧に商品を扱うし綺麗な笑みを浮かべてる尾崎さんは、どんなアイドルよりもかっこよく見えた。
1回だけ、「こちら温めますか?」とプリンを掲げたのを目撃したこともある。
天然なミスをしてるところも、面白かったしかわいいなと思った。
友達の推してるグループを見せられて(名前)はどの人がタイプ?と聞かれた時も、直感で選んだ人は尾崎さんに似てた。
ほんとに無意識に選んだのによく見たら雰囲気がやっぱり似てるって気づいて、ちょっと自分でもびっくりした。
それくらい、沼にハマってるんだと思う。
ある日、レジに尾崎さんを見つけて、るんるんでスイーツを手に取った。
そしたら、前に並んでた人が結構ひどい人だった。
尾崎さんは全く悪くないのに、意味分かんないところにケチつけて去ってしまった。
あんなに頑張ってる尾崎さんにそんな心ない言葉浴びせるな、って思ったのに。
弱虫な私は、声を上げることはできなかった。
そんな私にも、いつもの笑顔を見せようと気高に振る舞う尾崎さんは、本当にかっこよかった。
だからこそ、お客さんという同じ立場にいたのに、店員さんの立場である尾崎さんのために何もできなかったことが、悔しかった。
「え、泣いて、え、泣かないでください」
「私なんで泣いてるんだろ………」
他に誰もいないコンビニで、理由もわからず涙を流す私とそれに慌てる尾崎さんという構図ができあがってしまった。
“あなたを推してて、あなたが目の前で無慈悲な目に遭ってるのに何もできなかったから”
なんて、絶対気色悪いし言えるわけない。
「ちょっと待ってね」
何も答えられずに泣いてる私にそう告げると、尾崎さんは急いでどこかの商品棚に走っていった。
ものの数秒で戻ってきた尾崎さんの手に握られていたのは、無地のハンカチだった。
呆気にとられていると、尾崎さんはスマホを出して決済を終え、スイーツと一緒に差し出した。
え、これ、尾崎さんの奢り、だよね?
驚きで涙なんか引っ込んじゃった。
「お金払います」
「いや、僕が勝手にしたことなんで!」
「勝手に泣き出した私のせいなので」
「いえいえ、受け取ってください!でも他の人には秘密で!」
笑顔を崩さない上、全然意思を曲げそうにない尾崎さん。
推しに強く言えないって、オタクの性なのかな。
「結局受け取っちゃった」
食い下がってみたけど、諦めてハンカチを大事に握りしめてコンビニを出た。
どうやってお礼しよう。
ハンカチを洗って返す?いやいや、いらないよねこんなの。
新しいハンカチを買う……のは、流石に変だよね。
お金だけ返すのが無難かな。
家で小さな封筒にお金を入れ、何か一言添えようと一筆箋を準備する。
きっと、もう少し大きな紙にしたら、余計なことまで書いてしまいそうだから。
これも無難に、“ありがとうございました”と書いて考える。
宛名あったらキモいかな?ないのも素っ気ないかな?
尾崎さんが発した一瞬のタメ口にきゅんとした記憶に引っ張られて、結局小さく書いてしまった。
その翌日は、用意した封筒を鞄に潜ませて、コンビニをチラチラ見ながら通る。
透明なドア越しに尾崎さんの姿はなくて、また明日確認しようかなって諦めたそのとき。
「今日は元気ですか?」
私服姿の尾崎さんが目の前に立っていた。
似合っててかっこいい……
なんでここにいるの?とかそんな疑問はどっかに行ってしまう。
「昨日はありがとうございました。あの、これ」
用意した封筒を渡すと、いつもの笑顔とは少し違う、はにかんだように笑う尾崎さん。
「ティッシュの方が安いし消え物なのに、なんでハンカチにしたんだと思いますか?」
確かに。なんでだろう?
首を傾げる私に笑いかけた尾崎さんは、目線を少し下にずらして照れ臭そうに口を開いた。
「また使ってくれるなら、使う度に俺のこと思い出してくれるかなっていう気持ちと」
長い指を1つだけ折って、今度はしっかりと目が合う。
「ティッシュより高いほうが、お礼しなきゃってまた会いに来てくれるかなっていう気持ち」
それって、つまり。
「こんなん気持ち悪いかなと思って伝えられなかったんですけど、バイトしながら、いつも来ないかなって待ってました」
私が尾崎さんを探していたように、
尾崎さんも私を探してたってこと?
熱くなっていく頬を冷ますように手で風を送る。
反応を気にしてか、上目がちに私の顔を見る尾崎さんは不安そうだった。
そしたら、ドキドキよりも笑顔でいてほしい気持ちが勝ってしまった。
「実は、私もいつも尾崎さんのこと探してました」
正直に打ち明ければ、手の甲で顔を隠す尾崎さん。
やばっ……という声が微かに耳に届いた。
「あの、お名前聞いてもいいですか。尾崎匠海って言うんですけど」
「立花みにです」
匠海さんって言うんだ。物凄くぴったり。
「みにちゃん、また来てくれる?」
「は、はい!来ます!」
唐突な名前呼びにびっくりしつつ、従順な子どものように反射で返事した。
ニッコリ笑った尾崎さんは、足早に去っていってしまった。
*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。
たぶん、この後連絡先の聞き忘れに気づいて落ち込むたくみんがいます。ゆっくり距離縮めて超可愛いカップルになってね。
近くのコンビニでバイトしてる小林大悟くん似のお兄さんを密かに目の保養にしているわかめでした。
