INIのおんなのこ。
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Side:Masaya
「ねえ、泣かないで、ほんとに」
震えるみにを抱きしめながら、心の醜い部分と必死に葛藤する。
ああ、どうしてこうなってしまったんだろう。
遡ること数時間前__
新しく振り入れした日、俺はメンバーの中でも覚えるのが早い方だから、ディテール突き詰めながらメンバーを見渡してて。
ダンスに苦手意識がある面々の相談に乗りつつ、鏡越しに部屋を見渡していたときに気づいたんだ。
みにが浮かない顔をしてるって。
いつもは真剣な顔して難なく覚えて、楽しそうに音と戯れてる印象なんだけど。
少しだけ苦戦しているようにも見えたし、かなり機械的にやってるようにも見えた。
……体調悪い?いやいや。
女の子の日はまだなはずだし、朝しれっと髪を撫でながら可愛いおでこ触って確認したけど平熱だったし。
顔色もいつも通りだし、違うのかな。
サボるとか絶対ない子だから、普通に心配で。
でも周りまで止めたら「自分のせいで…」って落ち込んじゃうだろうなって思ってて。
解散したあとも、家に帰ってからずっとみにの浮かない顔が頭から離れなかった。
シャワー浴びて自分が臭くないことを確認して、コンビニでみにの好きなもん買って。
事前に連絡したら入れてくれるわけないから、申し訳なさもあったけど、突撃した。
きっとみにメンバーがいきなりやって来たら、心配して会ってくれちゃうだろうなと思ってるから、さ。
居留守とかは、使えないような気がしてる。素直で可愛い子だからね。その素直さ、心配になるけど。
予想は的中して、少し時間が空いたけど、ドアが遠慮がちに小さく開いた。
「え……?」
でも予想外だったのは、現れたみにの目がウサギみたいに真っ赤だったこと。
「みに……?」
呼んだのはこっちなのに、動揺して情けなく大事な名前を呼ぶことしかできなかった。
「柾哉くん珍しいね。大丈夫?」
それって珍しくない人間がいるってこと?メンバーだろうけど、ちゃんと危機感持ってんの?
なんて、みににぶつけるにはあまりにも黒すぎる感情は必死に追いやる。
「いーれて」
わざと子供っぽく口角を上げれば、少し困ったように笑ったみには部屋に入れてくれた。
俺が身支度して買い出しに行く時間もあったのに練習着のままで、それも心配で。
「どうしたの?」
「んー?それは俺のセリフかな」
すぐ他の人の心配するとこも愛おしいけど、俺だけにしてほしいとかなんて気持ちは消してるけど、さあ。
もっと自分のこと大切にしてほしいって願いは、いつ叶えてくれるのかな。
「……どうもしないよ」
「みに、俺の目見て」
目を逸らしながら捻り出すようにみにが言うから、思わずその華奢な両肩を掴んでしまう。
俺ってそんなに頼りない?お願い、教えて。
俺を心の拠り所にしてよ。全部全部、受け止めさせてよ。
でも100%その苦しい感情を外に出しちゃうとみにの肩が折れちゃうから、息を整えてトントンと指先だけで肩を優しく叩くに留めた。
「ま、さや、く、」
きっと俺の目線はいつもの数倍強かったと思うけど、やっと合った目はうるうると潤み始めた。
みには抗うように少し上を向いたけど、それでもつーっとあまりに綺麗な一筋が頬をなぞって零れ落ちる。
やばい、ずっと見てたら、俺、……
「みに、がんばったね。ね、おいで」
ガバっと抱きしめてみにの小さな背中をさする。
みにへの愛おしさがそうさせたのか、その手つきはみにを安心させることに成功したみたいで、涙は止まるどころか勢いを増していく。
小さい子みたいにわんわんと泣くみにをこの腕に収めて、俺はどうしようもなく高鳴る鼓動を必死に落ち着かせようとしていた。
滅多に弱みを見せてくれない子が、全部の鎧を剥がしたみたいに泣いてて。
その紅潮した頬や潤んだ瞳は、とにかく庇護欲と独占欲を呼び覚まして。
小さく震えながら縋るように見られたら、むしろ全部ぶっ壊してしまいたくなるくらいには、もう、俺の愛情は大きくなりすぎていた。
「ねえ、泣かないで、ほんとに」
俺が俺じゃいられなくなっちゃうから。
INIのリーダーじゃなくて、ただみにを愛しすぎている一人の男になってしまうから。
なんとか理性を呼び起こして励まし続ければ、落ち着いたみにが恥ずかしそうに微笑んだ。
「へへ、初めて泣いてるとこ見せちゃったね」
そっか。俺が初めてなんだ。
じゃあ、ずっとそのままにしたいって言ったらみには怒る?
「みには俺の赤ちゃんだもん。泣いちゃったら、俺がお世話するのが役目なの。だから、俺にしか見せないでね」
きみの泣き顔に狂わされるのは、世界で俺だけにしないと。
