FREEDOM
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『LOUD』MVの解釈+妄想でしかない前日譚です!
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そこは、地獄でしかなかった。
毎日のように繰り返されるのは、非人道的な人体実験の数々。
名前なんかじゃ呼ばれなくて、番号で呼ばれる場所。
毒々しい液体を投与されたり、謎の管に繋がれて動く自由を剥奪されたり。
支配される恐怖と、自分が自分じゃなくなっていく恐怖。
大きすぎるそれらに押しつぶされても生きる希望を捨てなかったのは、同じ境遇にいる彼らのおかげだった。
どんな経路で自分がここに来たのか思い出せないけど、既に彼らはそこにいて。
無駄話は一切許されなかったけど、消灯時間にその場にいた人たちでこそこそ話してはお互いを励ましあっていた。
「名前、なんて言うの?」
初日の夜、何もわからずに震える私に近寄っては、頭を撫でられながらそんなことを聞かれた。
「え?」
「番号で呼ばれんの嫌でしょ。俺らの間では名前で呼んでるよ」
監視者たちに怒られないか恐る恐る口を開こうとすると、違う方面からも声が掛かった。
「聞くなら先にまさやが名乗れよ。俺はひろとね」
「確かに!まさやです。よろしく~」
何故かニコニコ私の頭を撫で続けるこの人はまさやさん、見かねて声を掛けてくれたのはひろとさんと言うらしい。
「みにです」
「わかった!俺らは絶対名前で呼ぶからみにも名前で呼んでね」
「あとタメな」
まさやくん、ひろとくんから念を押されて頷くと、えらいね~とまた頭を撫でられる。
そんなまさやくんに呆れた様子のひろとくんが、苦笑しながら言った。
「まさや独り占めすんなって。みんな見てるから」
ひろとくんの視線の先を追うと、暗闇だったはずのそこにいっぱい男の人がいて。
「ひっ」
「ほら~みんなみに怖がらせないでよ」
ねえ?ってまさやくんが問いかけてくるけど、正直人のこと言えないと思う。
「まさやくんも怖がらせとったやん!」
「たくみんも怖いよ!俺じん!」
「じんも怖いからね?」
「きょうすけも別ベクトルで怖いって。俺たけるな~」
バレないように小声でわちゃわちゃしている状況が面白くて、暖かくて。
溢れた一粒の涙を拭って、カオスな自己紹介を聞いた。
ひろと、まさや、ふぇんふぁん、しょうご、ひろむ、たける、たくみ、きょうすけ、ゆうだい、りひと、じん。
11人の名前を覚えて、みんなで眠りにつく。
くん付けも嫌だと言われ、全員呼び捨てになった。
「明日から、どうなるの?」
そう尋ねてみると、困ったようにみんなが微笑んだ。
「バレると面倒だから……じんと寝たフリしながら聞いて?」
まさやに指示をもらうと、じんが駆け寄ってくる。
「おっしゃ俺出番じゃん!」
「じん、シッ!こっそりね」
「はいよー」
まさやに注意されながら、ノリノリで隣に横たわるじん。
何が始まるのかと見つめていると、上機嫌に笑われた。
__みに、聞こえる?
聞いた感じはじんの声なのに、じんの口はしっかりと閉じられている。
なんで?
__にゃは、びっくりするよね〜。じんだよじん。テレパシーで喋ってるの
それも、私の心の中も彼は読み取っているようで。
__びっくりするよね。それも、この場所のせいなんだ。
もしかして。
__ここはね、人間を改造する場所。俺らみーんな、普通じゃ持ってない力を与えられてる。
私たちが機械につながれているこの管は、そういう意味だったんだ。
__俺はテレパシーなんだけど、みんな色々だよ。破壊能力が人より高いとか、めっちゃ視力いいとか、そんな感じ
そんなのある?って言いたいけど、きっとじんと今こうして喋ってることが何よりの証拠。
改造って、怖いけど。
__そうだよね、怖いよね。みんな怖い。痛い思いもいっぱいするかも。みにはそんなことないといいけど……って、こんなこと言うほうが怖いよね。ごめんね。
じんは絶対に悪くないのに、苦しい顔して謝るじんから相当過酷なことが待ってるって想像できてしまう。
__みには優しいね。ここにいるみんなも優しいけど……じゃあ、おやすみ
震える私を見て、そっと手を繋いでくれたじん。
ここの人はみんな距離感が変なのか?と思っていると、もうひとり近づいてきて。
「どうしたの?じん」
__しょごさんの隣って安心するから、呼んでみた
じんはしょうごにテレパシーを送っていたらしい。
今のは私たち2人向けに発したみたいで、へへっと言いながらしょうごはじんと反対側の隣に寝そべった。
「おやすみ、みに。俺らがついてるよ」
じんに手を繋がれて、しょうごに優しく抱きつかれて。
怖くて仕方ないはずなのに、ふたりの温度に触れたら、いつの間にか寝ていた。
「おはよ、みに」
目を覚ますと、目の前にたけるがいた。
「あれ、みんなは?」
「みんな今日実験やねん。俺は昨日キツいのやったから、ここで待機」
「実験……」
迅の言葉が頭をよぎる。
__みんな怖い。痛い思いもいっぱいするかも。
「そんな悲しそうな顔しんといて。みんな頑張って、みんなで絶対生き続けるって決めてんねん」
そっと抱き寄せられて、たけるも少しだけ震えているのがわかってしまった。
みんな怖いのに、すごく頑張ってるんだ。
「そっか」
「これからみんながどんな能力持ちか知ってったらええよ。俺はほんのちょっとだけ時間を止められる力」
「え!?」
「ちょっとだけな?イタズラできんねん」
へへって笑ったたけるにつられて笑っていると、足音が近づいてくる。
たけるは顔を歪めて、ぎゅっと私を抱きしめた。
「みにも出番か、絶対帰ってきてな?」
縋るように見つめられて、何もわからないのに頷く。
その瞬間、体と何かの機械が結ばれた管に体が引っ張られた。
「いっ……!」
バランスを崩して倒れ込むけど、容赦なく体が引っ張られて痛い。
真っ黒な頭巾にグレーのマスク、白いヘッドホン。
不審者としか思えない風貌の人が、そこに立っていて。
「1103番、実験を開始する」
その言葉を聞いた瞬間、何かの注射されたような痛みが走った。
痛さに顔を歪めている間にも意識は遠のいていく。
目が覚めたら、泣きそうな顔のたくみとゆうだいが目の前にいた。
「みに!?ああ、よかった!!」
「痛いとこない?」
大興奮で抱き着いてくるゆうだいと、心配そうに頬をなでるたくみ。
だるさを感じながら頷くと、安心した表情を浮かべたたくみが告げる。
「倒れたまんま俺らのとこ帰ってきて、そっから丸1日起きんくて」
だから、こんなに心配してくれたのか。
大丈夫だよの気持ちを込めて微笑むと、ついに泣いてしまったたくみにぐしゃっと頭を撫でられる。
「みんな心配してたんやで!?生きててよかった、ほんま……」
ゆうだいにはぎゅうっと一層強く抱きしめられ、抱きしめ返すと泣く音が聞こえた。
その日は、ひろと・きょうすけ・りひと以外が実験から帰って来た。
みんなボロボロで帰ってくるのに、私を見ては一目散に駆け寄って来てくれたから、私も泣いてしまった。
私が生きていることにこんなに喜んでくれる人たちがいるなら、生きててよかった。
でも、私は何の力を持ったんだろう?
「3人はまだなのかな」
口に出してみると、真横にいたひろむとふぇんふぁんにそれぞれ手を握られた。
「もしかしたら、今日は帰って来ないかも。この前のみにみたいに」
「3人は能力が近いから、たぶん合同で訓練してる」
ひろむとふぇんふぁんも、やっぱり手が震えてて。
他のみんなも、どこか暗い空気を身に纏っていて。
やっぱりここは地獄なんだと、絶望してしまう。
みんなだけが、希望なのに。
「訓練……」
実験ではなく、訓練?
言い回しの違いを知るのは怖かったけど、心配が勝ってしまう。
「あの3人は破壊。細かくは違うんだけど」
「ひろとが殴ると強くて、きょうすけは道具の威力が高くなって、りひとが指先だったよね?」
細かくひろむとふぇんふぁんが教えてくれたけど、余計心配が募った。
「でも、最強だから。絶対ちゃんと帰ってくるよ」
暗い顔したままのまさやが言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
だから、やっぱり信じようって思えた。
結局3人が帰って来たのは、夜が明ける頃だった。
真っ白な部屋は時間感覚を奪うけど、みんなの体内時計から考えると、きっとそのくらい。
「おかえり!」
「「「みに!」」」
立ち上がると、管に引っ張られて苦しい。
でも、そんなことよりもまた3人に会えた喜びの方が大事だった。
一緒に待ってたみんなも同じ状態で、3人はきっと体がボロボロだけどそんな私たちを見て口角を上げる。
「俺らが負けるわけねえじゃん」
ふっとひろとが笑いながら言うのは、きっと強がりだけど。
ちゃんと生きてるのを確かめたくて、3人が近くまで来た瞬間に抱き着いてしまう。
「ん、みにも元気で良かった」
「みにからって珍し。かんわいいねえ」
口調とは裏腹に感触を確かめるように抱きしめ返してくれるきょうすけと、すっごく嬉しそうに私に腕を巻き付けるりひと。
その嬉しさに浸っていると、戸惑ったようにひろとが呟いた。
「……待って、みに。能力発現してる?」
「え?」
破壊とかテレパシーとか、全く使えるようになってないけどな。
ひろとを見ると、確信に満ちたように頷いた。
「みにはヒーラーだね」
「ヒーラー?」
「傷を治せるの。ほら、俺さっきちょっとミスって腹に傷できたんだけど、みにに触れたから痛くなくなった」
「え……」
私も、もう普通の人間じゃないんだ。
それは怖いけど、でも。
みんなの役に立てるかもしれないって思ったら、嬉しかった。
「みにヒーラー?俺ら最強じゃん」
そう言うまさやによると、11人の能力に治癒能力があれば最強だって思ってたらしく。
「でも、たまたまかも」
「愛の力?あり得るわー」
誤解だとしても気まずくならないように、たけるが盛り上げてくれる。
でも確かめたくて、きょうすけの顔に手を伸ばして、頬にある切り傷にそっと触れてみる。
治ってほしい気持ちを込めてみるけど、傷は消えない。
「やっぱひろとの体感かなあ……」
「いや、絶対痛くなくなったんだって!まだ弱くて当たり前だし。な?」
ひろとはフォローしてくれるけど、傷は治したいし。
ジッと傷を見つめて、ダメもとで口づけてみる。
「ちょ、みに!?」
我に返ったのは、りひとに優しく腕を引っ張られたからだった。
「きょうすけ耳真っ赤になってるから、な?」
「え、あ、ごめん!?嫌だったよね!?」
でも、きょうすけの顔を覗き込むと、傷は無くなってて。
「治ったし、嫌じゃないから。ありがと」
そっぽを向いたきょうすけに頭を撫でられて、安心して泣いちゃった。
「うわ、ごめんまじで。もう治さなくていいから」
嫌だったと勘違いしてるきょうすけに謝られて、首を横に振る。
「違うの、みんなの役に立てて嬉しくて」
たった少しの間しか一緒に過ごしてないのに、大切な存在になってたから。
「ほんとに天使だねえ、みには」
ニコニコのしょうごが、管を引っ張れるギリギリのところまで移動して手を差し伸べてくれる。
手を握り返せば、本当に疲れとれたかも!って微笑んでくれた。
「みには傷は治せるけど、その人の心拍数早めちゃうっていう副作用もあるよってことでいい?」
「……言い方きもいよ、ひろと」
不思議な総括をしたひろとに、容赦なく辛辣な言葉を浴びせるふぇんふぁん。
その様子が面白くてみんなで笑ってると、まさやが力強く口にした。
「逃げよう、みんなで」
監視の目が張り巡らされたこの場所から?
一瞬不安になったけど、11人が力強く頷くから、みんなについていこうって決めた。
「今はまだ体ボロボロの人いるから、これから作戦練りながら様子を伺っていこう」
「うん。俺がちゃんと聞いとくよ」
まさやを中心に作戦を練りながら、タイミングをしょうごが伺うことに決定した。
__しょごさんは聴覚がすんごいの。監視者の心の声も聞こえちゃうよ
迅のテレパシーによる解説が聞こえて、迅の方を見たらウインクが返ってきた。
そこから、実験や訓練に耐えながら脱出作戦を練る日々が始まった。
私も毎日注射されるし、その度に倒れることもしばしばあったけど。
でも、みんなのために強くなるんだって決めたから、生きるためにもがいた。
「なんか、地下ともう1箇所にここの鍵があるみたい。それを壊さないと」
情報を勝手に聞き出しだしょうごがそう報告してくれた。
そして、望遠鏡レベルの視力+透視能力を持つまさやと空間把握能力が高いひろむが能力を使って施設を把握する。
前から調べ始めてはいたらしいけど、実験でヘトヘトになった後に能力を使うのは相当しんどいみたいで。
毎日考えては、私も2人と手を繋いで体力を回復できるように力を尽くした。
……その度に私までフラフラになっては、無理し過ぎって怒られたけど。
「3グループに分かれたほうがいいかな。地下は広いから、ひろむか俺かどっちか行ったほうがいい」
「地下が暗いかもだったら、俺が地下じゃない?」
地下グループにひろむ、このメインの研究室にまさや。
「お互いの状況がわかる俺はまさやくんと別かなあ」
ってことで、地下にじん。
「謎の部屋、あんまり人数割けないかもなあ」
「せやったら俺とゆうだいやない?」
たくみとゆうだいは、2人で触れ合えば破壊と透視、どっちもできるらしい。
だから、この2人で行動するのが最強。
「絶対気をつけろよ。危なかったらこっち戻れ」
2人行動をみんな心配し、代表してひろとが告げる。
「おん。でも俺らでぶち壊してくるな」
ゆうだいが笑顔で言うから、みんなも2人を信じて託す。
「メインのここが1番敵多いよね?じゃあ俺ここ?」
他人の動きを制圧できるふぇんふぁんと、
「だし、ここ1番壊すもん多いから俺はここだよな」
「俺も壁壊すわ」
破壊のひろと・りひとは、メインに。
「じゃあ俺地下だな」
だから、同じく破壊系のきょうすけが地下になる。
「地下だったら鉄の棚とか武器落ちてるから、それ全部使っちゃえ」
透視しながらまさやが言って、きょうすけが笑う。
「全部は無理だけど、ついでにぶっ壊してくるわ」
恨みを晴らすときだから、ね。
「ふぇんふぁんこっちなら、俺が地下やな。銃弾とかなら止められるし」
「そうだね」
時間制止のたけるが、地下。
そして、残るのは私としょうご。
「タイミング伺うなら、俺ここ?」
「うん。みにも、破壊多いし人多いから1番守れるからここかな」
こうして、作戦は決まった。
「……明日、監視少ないっぽい。今夜から明日だね」
しょうごがそう言って、みんなで暗闇をモゾモゾ動いて集まる。
「集合場所はエレベーター前ね。みんなで乗って脱出しよう」
まさやが最終確認して、みんなで頷く。
みんなで手を繋いで体を横たえ、寝たふりを徹底する。
「あ、今この辺人少なくなったよ。移動始めようか」
ひろむが言って、地下組が起き上がる。
「ほんまや、俺らも行かな」
たくみとゆうだいも、移動する準備を始めた。
あんまり音を立てないように、ひろととりひとが移動するみんなの機械を破壊していく。
決戦の、はじまりだ。
「また会おうね、みんな」
全員とハグをして、背中が見えなくなるまで見届けた。
どうか、また無事に会えますように。
「俺らは、ここでタイミング図ろうか」
みんなが怪我しない限り、私の出番はない。
1番体力もないし、それが歯がゆいけど。
「みに、パワーちょうだい」
「治癒以外なにもできないけど」
「ううん、なんかパワーもらえるから」
そんな気持ちを汲み取ってくれたフェンファンが、手を繋いでくれた。
「いいな~俺も」
りひとも寄って来て、こてんと頭を肩に乗せられる。
空いてる方の手で撫でたら、嬉しそうに笑ってた。
そうやって無理やり緊張を振り払って、どれくらい経っただろう。
__配置ついた!
迅のテレパシーが聞こえて、一気に体に力が入る。
「……っ」
「まさや?」
後はたくみとゆうだいも部屋に着いたら、戦闘開始なんだけど。
まさやが顔をしかめてる。
「背負うな。どうした?」
ひろとが言うように促して、まさやが振り絞るように声を出した。
「ふたりが、部屋には着いたんだけど別々に捕まった」
それって。
引き離されたら、能力が使えないのかな。
「だったら俺らがさっさと終わらせて向かえばいいだろ」
落ち込みかけたけど、ひろとの言葉にハッとする。
まさやも勇気づけられたみたいで、顔を上げて睨みつけるように自分の機械を見た。
「……Breaking the frame」
枠組みを、壊す。
それが、作戦開始の合図だ。
その瞬間、ひろととりひとが自分の機械を破壊したあと、私たちの機械も壊す。
「りひとお前ぶち壊しすぎだって!」
「ひろとだって!」
壊しまくってハイになってる2人と、周囲への警戒を崩さない私たち。
監視員が近寄ってくるのをフェンファンが抑えてる間に、空間自体を破壊するためにひろとが腕を振り上げた。
全員で顔を覆って、飛んでくる破片を避ける。
「くっ…」
フェンファンは限界が近そうで、しょうごと私で駆け寄った。
当たり前だ、こんな人数を止めてるんだから。
「壊れた!走れ!」
フェンファンが力を解除して、全員で走る。
遅い私のことは、しょうごが抱き上げて走ってくれた。
「もう1個壁あんじゃん!りひと!」
「え!?」
まさかの、この部屋は透明な2重の壁だった。
これはまさやも予想外だったらしく、驚いている。
しょうごに降ろしてもらって、分厚い壁が反り立っているのを見る。
「ごめん、俺結構限界かもしんない……」
フェンファンは、さっき全力で止めてくれたからもう止めるのは難しいかも。
それでも、監視員たちとの距離がまだあるのはきっと彼の力だ。
2人に加えて、全員で壁を叩く。
私は治癒してしまうから、りひとの背中に手を添えた。
「いける!」
最後にりひとが指を壁に押し当てると、パリン!と壁が割れる音がした。
そして、完全に破壊された。
「みにのおかげで力戻った。ありがと」
今度はりひとに抱き上げられながら、集合場所まで走る。
役に立てて、本当に良かった。
足手まといなんじゃないかって、思ってたから。
__俺らも終わった!向かう!
迅の方も終わったみたいで、安堵しながら走り続ける。
「たくみとゆうだいも成功してる!もうすぐだよ!!」
まさやが伝えてくれて、安堵してエレベーターの前へ。
どうやったのか知りたいところだけど、それを聞くのは作戦が成功してからだ。
到着したら、三方向からみんなが同時に集合した。
「なに、暗号?」
エレベーターの前には、緑の文字が蠢くモニターがあって。
全員で覗き込むとけど、何もわからない。
けれど。
「ごめん、俺一人で行かせて」
ひろとが何かピンと来たように、エレベーターのボタンを押した。
止める間もなく、さっさと乗り込んでどこかに消えてしまう。
「ひろと……」
「大丈夫、ひろとだから」
まさやが私の手を握りながら、そう言ってくれる。
最初にここに来たのはひろとって言ってたから、その信頼があるんだろう。
ただ無事を願っていると、ひろととテレパシーで通信していたじんが言う。
「上で1個コード抜き忘れたんだって!これでみんな乗れるよ!」
「ありがとうじん!乗るよ!」
きっとまさやにも様子が見えてたんだろう。
10人で乗り込んで、途中でひろとを拾って最上階を目指した。
「心配させないでよ!もう!」
「ごめんって。危険な目に遭わせたくなくてさ?」
ひろとに抗議すれば、小さく笑いながら抱きしめてくれた。
たどり着いた最上階の部屋は暗闇で、破壊担当のみんなが壁をぶち壊す。
さっきも鉄の棒で大暴れしてきたらしいきょうすけの頬にはまた傷がついていて、あとでまた治してあげようと決めた。
壊された壁からは、真っ白な光が私たちを照らした。
「え、こっから出る気!?」
「その中に入ったら大丈夫なはずだから!」
「マジで!?」
ひろむとまさやは大丈夫って言ってるけど、飛び降りることはやっぱり怖かった。
みんなもそうみたいで、ぎゅっと全員で手を繋いで光を凝視する。
せーので光の中に飛び込むと、吸い寄せられるような、ふわふわしたような。
不思議な空間が私たちを包んだ。
その中で、どんどん頭の中もふわふわして何も考えられなくなっていく。
また意識を失うんだなってわかったけど、でも。
実験されているときみたいな、恐怖はなくて。
みんながそばにいるからかな。
幸せになれる、そんな確信があった。
最初からずっと気にかけてくれたひろとと、
いっぱい触れて安心させてくれたまさやと、
細やかな優しさを与え続けてくれたふぇんふぁんと、
いつでも大事にしてくれたしょうごと、
冷静に不安を取り除いてくれたひろむと、
明るさも優しさもたくさんくれたたけると、
いつでも暖かい目で見つめてくれたたくみと、
照れ屋だけど優しくしてくれたきょうすけと、
泣きそうになるほど心配してくれたゆうだいと、
とにかく可愛がってくれたりひとと、
細かな変化に気づいて元気づけてくれたじんと。
彼らがいれば、もうなんだっていい。
そう信じて、そっと目を閉じた。
