1. 違う世界を生きる人
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「おめでとう!」
珍しく、事務所で過ごしてたとき。
4ページの特集を組んでいただいた雑誌の完成稿をほくほくの気持ちで見返していると、マネさんが走ってやって来た。
「え?」
「初主演映画が決まったわ!監督から直々のオファー!」
どん!と紙を机に置き、晴れ晴れとした顔のマネさんが宣言するように口にした。
初、主演映画。
「ほんとに!?」
「ほんとのほんと!」
物心ついたときからずっと、芸能界で生きてきた。
演技のことだけ考えて、ここまで来た。
「やった……!」
それが、1つの形として認められた。
「しっかり目を通しておいて。今日はもう終わりだし、本当はお祝いの飲み会とかしてあげたいんだけど」
わざとらしいくらい眉毛を下げながら、私の顔色を伺うから。
どんな言葉を求めているかは、手に取るようにわかる。
「へへ、もう遅いし大丈夫ですよ。早くご家族のとこ帰ってあげてください」
口角を上げて模範解答を言えば、ぱあっとマネさんの表情が輝いた。
「天使だわほんと。じゃあ支度して駐車場来てね」
足取り軽く送迎車の準備をしに出て行ったマネさん。
その背中を見送って、急いで荷物を纏めた。
雑誌の完成稿に、先月届いた数通のファンレターに、主演映画の企画書。
1つ1つをそっとクリアファイルに仕舞っていると、スタッフさんたちが近くで喋っているのが聞こえた。
「あの子主演映画決まったの?やっと?」
きっと、私もマネさんと一緒にもう帰ったと思われてるんだろうな。
部屋から出づらくなっちゃったなと思いつつ、支度を進める。
「まあ、良かったんじゃん?」
わあ、祝ってくださってるんだ。
そんな喜びは、冷水を浴びせられたみたいに一瞬で消える。
「事務所の稼ぎ頭なんだし、儲かるっしょ。うちらの給料もね!」
……そっかあ。
そうだよね。そう思って当たり前だよ。
鞄を急いで抱えて、キャップと伊達メガネとマスクを装着して、顔を下に向けて、小走りに部屋を出て駐車場までの道のりを走った。
その勢いのまま後部座席のドアを開けて、車に乗り込む。
「あら早い。ありがとう」
「……いえ」
泣きそうになる気持ちも悲しい気持ちも押さえつけて、声を出した。
車内は明るい流行りの曲がかかっていて、マネさんは家族との再会を楽しみに鼻歌を歌っている。
その背中や移り行く景色をぼーっと見つめていたら、家に着いた。
珍しく、事務所で過ごしてたとき。
4ページの特集を組んでいただいた雑誌の完成稿をほくほくの気持ちで見返していると、マネさんが走ってやって来た。
「え?」
「初主演映画が決まったわ!監督から直々のオファー!」
どん!と紙を机に置き、晴れ晴れとした顔のマネさんが宣言するように口にした。
初、主演映画。
「ほんとに!?」
「ほんとのほんと!」
物心ついたときからずっと、芸能界で生きてきた。
演技のことだけ考えて、ここまで来た。
「やった……!」
それが、1つの形として認められた。
「しっかり目を通しておいて。今日はもう終わりだし、本当はお祝いの飲み会とかしてあげたいんだけど」
わざとらしいくらい眉毛を下げながら、私の顔色を伺うから。
どんな言葉を求めているかは、手に取るようにわかる。
「へへ、もう遅いし大丈夫ですよ。早くご家族のとこ帰ってあげてください」
口角を上げて模範解答を言えば、ぱあっとマネさんの表情が輝いた。
「天使だわほんと。じゃあ支度して駐車場来てね」
足取り軽く送迎車の準備をしに出て行ったマネさん。
その背中を見送って、急いで荷物を纏めた。
雑誌の完成稿に、先月届いた数通のファンレターに、主演映画の企画書。
1つ1つをそっとクリアファイルに仕舞っていると、スタッフさんたちが近くで喋っているのが聞こえた。
「あの子主演映画決まったの?やっと?」
きっと、私もマネさんと一緒にもう帰ったと思われてるんだろうな。
部屋から出づらくなっちゃったなと思いつつ、支度を進める。
「まあ、良かったんじゃん?」
わあ、祝ってくださってるんだ。
そんな喜びは、冷水を浴びせられたみたいに一瞬で消える。
「事務所の稼ぎ頭なんだし、儲かるっしょ。うちらの給料もね!」
……そっかあ。
そうだよね。そう思って当たり前だよ。
鞄を急いで抱えて、キャップと伊達メガネとマスクを装着して、顔を下に向けて、小走りに部屋を出て駐車場までの道のりを走った。
その勢いのまま後部座席のドアを開けて、車に乗り込む。
「あら早い。ありがとう」
「……いえ」
泣きそうになる気持ちも悲しい気持ちも押さえつけて、声を出した。
車内は明るい流行りの曲がかかっていて、マネさんは家族との再会を楽しみに鼻歌を歌っている。
その背中や移り行く景色をぼーっと見つめていたら、家に着いた。
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