海南
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いない。
ここにもいない。
一体どこに行ったのよ!!!!
鬼ごっこ
「神くんいませんか!?」
教室を見た感じ、居なさそう。
お昼ごはん、別の所で食べてるのかしら。
「中庭じゃない?さっき呼び出されてたよね。」
「ありがとう!」
呼び出しってことは、そういうこと?
マジか!!!
邪魔するわけには…いやでもそんなこと言ってらんないの!こっちにも事情はあるから!
「へ?屋外のバスケットゴール?」
「バスケに誘われてたからそこじゃね?」
中庭に行けば重い空気の女子たちと、たまたま居合わせた男子の集団。
告白受けて返事したその直後の空気の中、誘った奴のメンタルがすごい。尊敬する。
そして、それを快諾してさっさと行っちゃう奴もメンタルゴリラだ。慣れっこか、どちくしょう!!
「さっきまでいた……!?」
「ああ、お昼買い損ねたの思い出したって売店行ったよ。」
なにやってんのよ、食べてから遊びなさいよ。
年頃の男子がエネルギー無駄遣いすんな、使ったら摂れ、摂ったら使え!!
摂ってから、使え!!!
あんにゃろう!!
「売店遠い!!」
いっそ食堂で済ませろよ!!
「……!?」
近道しようと廊下の角を曲がり、人気のない裏庭に入った所で急に後ろから強い力が加わり、尻餅をつきそうになる。しかし、覚悟した衝撃はなく、代わりにセーターの感触がした。
「依紗、やっと見つけた。」
「宗!」
息を切らしている私とは対照的に、涼しい顔で笑う宗一郎。眩しい、眩しいよ。
「依紗が俺のこと探してるって。」
そうです、そうなんです!あーよかった!やっと捕まえた!
息を整えて振り返り、彼を見上げて口を開く。
が
だめだ、本人を前にしたら言えない…!
「うーん、何か用があって探していたわけではない?」
「なかったら探さないよ。」
いや、嘘だ、あってもなくても探すよ。
「そう?まあいいや、先に俺からの用事。」
屈託無く笑う宗一郎。
ああもう、本当に昔から変わらず可愛いよ!
ところで、なになに?
「明日の練習試合、俺の彼女として見に来てくれませんか?」
んっ?
「いま、なんと。」
「二度は言わないよ。」
少し低くなった声にどきりとしてしまう。
「……宗、あのね。」
震える唇にきゅっと力を込める。
きちんと届くように。
「私ね、宗のこと、好きだよ。」
今朝急にそれを伝えたくなって、探していたんだよ。
だから、練習試合見に行くよ。
楽しみにしてる。
そう言って見上げたらすごく嬉しそうに笑ってて、そのまま手を繋いだ。
「売店行ったの?」
「うん、もう済ませた。」
じゃあ戻ろう、と宗一郎の手を引いて引き返そうとした所で「待って」と腕を引かれ、振り返ったら宗一郎の両手に顔を包まれた。
「俺、幼馴染みやめようって言ってるんだからな。」
そのまま長めのキスをして、耳元で「好きだよ、依紗。」と囁かれる。
固まってしまった私の手を宗一郎が引いて歩く。
このまま教室戻ったら何があったかバレちゃうよ。
ああ、もうお昼ごはんも入る気しないや。
「お昼これからなんだけど、食べた?」
「まだ…」
「一緒に食べよっか。時間間に合うかな…。」
腕時計で時間を確認しながら、しかし少しも急ぐ様子のない宗一郎に妙に安心してしまい、入る気もしないお腹の虫が急に鳴いたので雰囲気台無しにしてしまった。