海南
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
久しぶりのデートだというのに天気ときたら、全く空気が読めちゃいない。どうして出かけさせてくれないかなぁ。行きたいところ、たくさんあったのに。仕方がないからひとり暮らしをしている私の家で映画を見ることにした。
「う、おおおお!?」
「っくりした……なに?」
レンタルした映画をみていたら雷の音がした。それなりに大きな音だったので、どこかで落ちたかな。それより映画だ。
ところがどっこい彼氏の清田信長という男は過敏に反応した。犬みたいにきょろきょろとあたりを見回している。
「遠くで雷落ちたんだよ。そんなびびんなくても別にこの辺は関係ないって…。」
「び、びびってなんかねーよ!お前が怖がってないかって、」
「あーはいはい。ちょっと巻き戻すねー。」
地声が大きな彼にすっかりかき消されてしまった。いま、そこそこ大事な場面だよ。これ前半の伏線を回収してるとこなんだって。
「停電したら懐中電灯とかあんの?」
「あるよ。あるし携帯にもついてんじゃん。」
「冷蔵庫とか、」
「開けなきゃ多少切れても大丈夫だって。心配ならアイス食べる?」
レンタルショップの帰りに買ったアイスクリームを思い出して提案した。ちょっといいやつ買ったもんね。夕飯の後に食べようって話だったけどまあいいか。
「お前…ひとりでこんな天気でも怖くねーの?」
「別に…雷くらいは平気だよ。」
「寂しいとか。」
「たまにはあるけど、大人だし。」
彼は就職した会社の独身寮に住んでいる。なんだかんだ同期と顔を合わせるせいか、ひとり暮らしの寂しさはあまりないとか。
「もう…そんなに怖いなら、手繋いであげようか?」
やや黙ったあと、なんだかんだと言いながらすこし乱暴に私の手を握った。
あのね。こういう時間を過ごしてからさよならした後はすごく寂しくなるんだよ。
絶対に言わないけど。
18/18ページ