海南
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窓の外を眺める。
雨が止む様子はない。
放課後、残って球技大会の選手名簿を記入する。居眠りこいたせいで実行委員なんてものにされてしまった。あんまりだ。
「あれ。なんだ徳重!まだ残ってんのか!」
「清田うるさい…。」
清田が教室に飛び込んできて自分の席で何か探し物をしているようだった。あった、と機嫌良く言うと、お目当てのものを鞄にしまう。いちいちうるさいなこいつ、もう少し静かに生活出来ないのか…元気でなによりなんだけど。
「部活ないの?」
「体育館使えねーし外もこんなだし。ミーティングやっておしまい。」
「ふーん。」
「徳重は?なにやってんの?」
「…あんたが聞くんだ。」
え?と首を傾げてこちらに寄ってくる。私の前の席に座ると手元を覗き込み、あ、と小さく声を上げた。
「…ゴメンナサイ。」
「はーあ?なんて?」
「ごーめーんーなーさーい!」
何を隠そうこいつも実行委員だ。居眠りこいてた。気が合うよね、全っ然嬉しくないけど。
「いーけどね、私帰宅部なんで、暇だし。」
「怒ってるじゃねーか…。」
「部活忙しいんでしょ、いいって、本当に。キヨタノブナガ選手はドッジボールであってますかぁ?」
「腹立つなそれ。あれ、お前バスケじゃん、出来んの?」
「中学まではバスケ部だったんだよ。」
「続けなかったのかよ。」
「やだよ、あんな吐いてまでやるの。もうごめんだね。」
「そんなにやってたのか、徳重すげーな!」
屈託なく笑う清田に面食らった。こいつ、根が素直なのか嫌味がなくて時々眩しい。
「すごくないって…もう今は出来るかどうか。」
「じゃーこの俺が教えてやろう。」
「バスケだけは上手いもんね、お断りします。」
「断るんかい。」
「バスケ以外はポンコツ君、怪我に気をつけるんだよ。」
「お前さあ、歯に何か着せて喋ったら。」
「清田にしちゃ賢いじゃん。」
「だろ!?でも何着せるんだっけな。」
「ポンコツ君、これ提出しに行くのついてきてよ。」
「だー!ムカつくなお前!!」
「ムカついてるのは私だよ、馬鹿。」
なんて、別に怒っちゃいないけどからかってやりたくてそう言ったら、真に受けたのか、勢いが減る。
「悪かったって…な、駅前にうまいケーキ屋出来たんだよ、寄らね?」
「奢り?」
「お詫び。」
「乗った。」
クリアファイルに用紙を入れて、ペンケースを鞄にしまう。私が立ち上がると清田も立ち上がったので、見上げてみる。改めて見ると、背、高いんだな。
「なんだよ。」
「清田って黙ってればそれなりにかっこいいよね。」
「お前ほんとに歯に衣着せたら…あ。」
「あ。」
「俺って天才…!?」
「頑張ったけど、歯に衣着せる、って使い方はしないから気を付けなね。」
「どういうことだよ、迷宮入りさせんなよ!」
「はは、早くケーキ食べたい。行こ。」
かっこいいと思ったのは、本当に本当だよ。
「ところで、なんで清田がそんな洒落た誘い文句持ってんのよ。」
「神さ…部活の先輩から教えてもらったんだよ。」
「…こういう時は、それ黙っとくとスマートだよ。」
隠し事出来ないところも、嫌いじゃないな。
雨降って、
なんか元気もらえたし、今回は許してやろう。