翔陽
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「うん、わかってるって。」
部室から聞こえる、優しい声。
休憩中なのにわざわざ部室戻ってくるなんて珍しいと思い、中を覗き見る。
「俺も。大好きだよ。」
……はい?
「練習終わったらすぐ帰るって。」
見たことない笑顔で通話する健司に眩暈がした。
すっごく優しくて柔らかくて温かい笑顔。
そんなの、私も向けてもらったことないんですけど!?
待って、しかも誰に電話してる?
誰に『大好き』だって??
お前の彼女は私だよ!!!!
「なんだ依紗、居たのか。」
いつの間にか通話を終えて入り口に向かってくる健司はいつも通りの表情だ。
こいつ、完全にクロじゃねえか。
浮気ですかドチクショー。
私がマネージャー業に忙しいからですか?
高野と仲が良いからですか??
でもあいつとはそんなんじゃないしありえんし!!
「なに泣きそうな顔してんだ。」
「してないし!」
嘘だ、だって泣きそうだもん。
別に高野はそんなんじゃないしだったら花形のが全然いいし長谷川もありだと思う。永野は…うーん…。
でもやっぱり高野はない。
ひどいよ。
健司は少し考えた後、にやりと笑った。
完全におちょくる時の顔だ。
でもそんなこと気が付かないくらい余裕はなかったし、下を向いてしまっていたから分からなかった。
「いやぁ、すげー可愛いやつなのよ。結婚しようとまで言われちまって。」
な、なに言いだしてんの……?
「笑顔も泣き顔も全部俺が守ってやりたくなるっていうか。」
どこのアーティストなのよ、きもいよ。
そんなの健司じゃないよ、ほんときもいよ。
いよいよ涙が出そうって時だった。
「可愛い姪。」
ひゅっ、と涙が引っ込んだ。
なんだって?
姪?
めい?
Niece?
健司は、もーダメだ!と言うとお腹を抱えて笑いだす。
「依紗、大丈夫か、ぶふっ…おい、こっち向けって、はは…。」
なんなのよこいつ、本当になに!?
言っても良いことと悪いことってあるよ!?
とりあえず持っていたノートで一発叩く。
そしてすぐに背を向けて歩き出した。
「待てって。」
肩を掴まれて引き寄せられる。
「今日、姉貴とその娘が来てっから、練習終わったら即帰る。」
……それは今言うことですか!?
シチュエーション的に違うだろ!!
お前は!本当に!なんなんだ!!
地獄に落ちろ!!呪ってやる!!
「だから今日は一緒に帰れねえや。」
そう言って唇を押し付けられる。
「からかってごめんな。」
そう言って私を追い抜き、颯爽と体育館に戻って行った。
翌日、自分は4番目の男と聞かされたらしく、すごく落ち込んでいた。
背番号のせいか、4番目と言うのがすごくしっくり来た。しばらく笑いが止まらなかった。
呪ってごめん。
でも自業自得だからね。
4番の男
(仕方ないから、私の1番にしといてあげるね。)