陵南
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妖艶に笑う彼に私は言葉を失った。
ゼミの友人たちと仙道の家で飲み会をすることになった。わいわいやって、時間を忘れて楽しむ。明るい時間から飲むお酒の背徳感、たまらない!陽気になる人、涙腺が緩んじゃう人、顔色ひとつ変えない人。たのしい!
お酒がなくなったから調達班がコンビニに出掛けて行ったのだけど、なかなか戻って来ない。私は仙道と2人きり。緊張する。付き合ってそんなに日が経っていないため、友人たちも私たちが付き合っていることを知らない。
こんな形で彼の家に来るとは思ってもみなかった。当の本人は床に転がって眠ってしまっていて、気楽なもんだな、と鼻を鳴らす。
きょろきょろと部屋を見回す。物はそんなに多くない。急いで片付けたのか、バスケ雑誌が本棚に雑に収められているのがなんだか微笑ましい。
「それ、なんて歌だっけ。」
鼻歌を歌っていたらしく、目を覚ました彼が声を発する。
「せ、仙道…寝てたんじゃないの。」
「寝てたよ。おはよ、依紗。」
「ああ、おはよ…。えっと、」
「好きなんだよねそれ。卒園式で歌った気がする。」
「随分前だね。でも、私もそうかな…。」
「広い世界にたった一人の、私の好きなあなたへって歌詞が続くよね。」
「うん。よく覚えてるね。」
仙道は体を起こして、伸びをした。私はなんとなく気恥ずかしくなって膝を抱えて俯く。
「歌ってよ、もう少し。」
「いやだよ。」
「どうして。」
「恥ずかしいじゃん…。」
「俺は好きだけどなぁ。」
「私も好きだけど。」
「お、愛されてるなぁ。」
「ちがうちがう、歌のこと!」
徐に近づいて来て、私の左側、肩が触れ合う距離に座る。ダメだって、近いって!
「み、みんな遅くない?お酒買いに行っただけだよね。」
「んー?帰ったよ。」
「…え?うそ、聞いてない。」
「俺が頼んだ。」
「俺と依紗、付き合ってるからそろそろ2人きりにしてくんない?って。」
体を更に寄せて、耳元で囁く。
「今日、泊まっていけるんだろ?」
ぞくり、と背中に何かが走るのがわかった。思わず、自分の膝に顔を埋める。
「どうしたの。」
「仙道近い。」
「…もっと近くなるよ。」
「や、やだ…」
「本当はいやじゃないんでしょ。」
これ以上近寄らせまいと制する私の左手を彼の右手が握り、顔を寄せる。
「ねえ依紗、俺の名前、呼んで。」
「だって、呼んだらっ」
「なに?」
「…っ」
ずるい男だ、こんな風に私に選ばせようとする。ここまで近付いて、最後は私に委ねようとして。こいつの思惑通りにことが進むのがいやだ、なんて子供じみた意地だけど。
「呼ぶもんか!」
「あっはは、可愛い。」
抵抗するが虚しく、やや強引に寄せられた唇が重なれば後は彼のなすがまま。
「絶対に呼ばせてやるから。」
自信に満ちたその声に、私の体は甘く疼く。
人魚姫の子守唄
君の歌声が俺を誘惑したんだ。
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Twitterにてリクエスト頂いたものです。
・大学生
・彼氏の部屋に初めて訪問
・「今日泊まっていけるんだろ?」
ありがとうございました!