【仙道】ハッピーエンドの欠片
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「というわけで、ここに記入と印鑑を、」
「どういうわけか説明しろよ。…おい牧、なに書き始めてんだ、待てよ。」
牧は藤真の方を見ると首を傾げる。
「俺は何も異議はないぞ。」
「俺もねーよ。でもなんで俺らなのか気にならねーのか。」
「それはきちんと話してくれるんだろう。」
そう言って続きを書き、印鑑を押し、藤真の方に渡す。
「間違えるなよ。」
「わーってるよ。」
「すみません…ありがとうございます。」
「佐和が謝ることではないだろう。」
「牧さんと佐和っていつからそんなに仲良くなったんですか…?」
仙道が怪訝な顔をすると、記入していた藤真がくつくつと笑う。
「やきもち焼きな彼氏だなー。夫にしちまって大丈夫かぁ?印鑑押しちまうぞ?」
「…もう。いいですよ、押して下さい。」
婚姻届の証人欄が埋まる。佐和が藤真から用紙を受け取ると、頭を下げる。
「ありがとうございました。」
「それで、なんで俺と牧なんだよ。」
「2人ならもっと他にも居ただろう。」
佐和は仙道の方を横目で見ると、仙道は目線を逸らす。
「…まいったな。」
「…書くとこ多いな。疲れた。」
「あとは…証人か。両家父親でいいよね。」
「え。」
「なに、嫌なの?」
「なんか他に居るだろ、所縁の人。たとえば、たとえば…」
婚姻届を記入しながら、右の証人欄について話し合う。佐和の提案に渋い顔をする仙道。首を捻りながら、うーん、と唸る。
「越野とか?美代とか?」
「越野そんなにゆかってねえよ…。」
「めちゃくちゃ失礼だからな!?しかもなんだよ、ゆかってねえ、って。気持ちわりー日本語使うな!」
「いってぇ。」
佐和が、ぱしん、と仙道の肩をはたく。仙道は肩をさすりながら尚も首を捻る。
「じゃー、宗と美代?」
「うー…ん。」
「魚住さんと池上さん?」
「もう一声。」
「いい加減自分で考えろよ。藤真さんとか?」
「あ、それだ!」
「は?」
「藤真さんと、牧さん!」
「なんで。」
「高校の時双璧って呼ばれてたんだよ。なんか守られそうじゃない?決定決定!」
「確かにあの2人ならご利益ありそうだね…。」
仙道は早速携帯を取り出し、2人に連絡をしていた。その上機嫌な横顔に佐和は溜息をつきながらも微笑んでいた。
「…なかなか光栄だな。」
「そうか?俺、複雑。」
「はは…。」
困った様に笑う牧と、テーブルに頬杖をついて窓の外に目を遣る藤真に、仙道は苦笑いをする。佐和は婚姻届をクリアファイルにしまうと、笑った。
「私にとっても、お2人は本当にお世話になった方なので、こうしてここに名前を書いてもらえてとても嬉しいです。」
「そうだなぁ。佐和が辛い時に一番傍にいたの、俺らだもんなぁ?」
「え、そうなんですか?聞いてないんだけど。」
「いちいち報告するのも面倒なくらい、共に過ごした時間は長いからな。」
「牧さんまで?え、佐和、どういうこと?」
「からかわれてんだよ、バカ。」
慌てる仙道の姿に、藤真と牧は笑いを堪える。仙道は、なあんだ、と安堵の息を吐き、背もたれに体を預ける。
「帰って来て早々に入籍とはまた、決断が早いな。」
「十分待たせましたから。」
「仙道が待ちきれなかったんじゃないのか。」
「…返す言葉もないです。」
牧の言葉に仙道は苦笑する。
「式は、式場の都合で来年ですけど。」
「オフじゃねえとなんもできねえしな。」
藤真は腕を組んでにやりと笑う。
「今シーズン、新規加入の仙道に期待。」
「パスくださいね。」
「おう、俺がお前を生かしてやるよ。」
強い証人
(楽しみだな。佐和と観に行くとするか。)
(牧さんよろしくお願いします。)
(…なんか複雑。)
(面倒くせぇなお前!)
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