【南】venez m'aider
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これが大人になるってことなのかな。
「お疲れ様。今週もようやく終わるね。」
千聡はベッドサイドの照明を小さく灯す。南は首を鳴らしながら、おお、と返事をした。
「明日は何しようか。映画でも見に行く?」
「そうやな…。」
珍しく落ち着きなく視線を彷徨わせる南に、千聡は首を傾げた。
「どうかした?」
「千聡、」
「キス、してもええ?」
頬に添えられたその手の温度に肩を震わせる。冷たい。
「…うん。もちろんだよ。」
静かに唇を重ねる。触れるだけのキスを交わし、千聡が微笑むと、南も穏やかに口角を上げる。
「それから。」
「うん?」
「…したいんやけど。ええ?」
「え、あ、…ええ?」
いつもならそんなこと聞かれないのに。今日はどうしたというのだ、悪いものでも食べたのだろうか。千聡は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった口を手で塞ぐが、二の句が継げなかった。
「…… 千聡?」
「ど、どうしたの。いつもはそんなこと聞かないのに。」
南は千聡の顔を覗き込むように首を傾げた。
「……ちゃんと、聞きたい。」
「千聡の気持ちを聞いてから、したい。」
あまりに真摯な目で訴えてくるので千聡は瞠目し、目を瞬かせる。やがてやや俯くと、小さく頷いた。
「…私も。烈くんとしたい。」
ん、と南が返すと、改めて唇を重ねた。はじめは触れるだけ、そして啄むようなキスをして、ゆっくりと唇を割って舌を潜ませる。温かく湿ったそれが舌を溶かすように絡みつく。
「ん…っ。」
「…苦しいか。」
「大丈夫だよ。」
「…ん。」
甘い口付けを交わしながら、南は千聡の体をベッドに倒す。覆いかぶさり、服の上から体をなぞる。裾まで辿り着くとその隙間から手を入れ、じかに肌に触れていく。
「くすぐったい。」
「我慢せえ。」
「うん。」
「少し体浮かせるか。」
「…ん。」
服を脱がせ、喉から舌を這わせる。千聡が小さく声を上げると、南は喉の奥で笑った。
「わらわないでよ。」
「可愛いなと思て。」
「やめ」
反論をキスで塞ぎ、絡めあった後離れると、南は自身の服を脱ぎ去る。現役から退いたとはいえ、衰えることのないその肉体に思わず千聡は顔を逸らす。
「…なんや。」
「いや、あの…。」
「興奮するんか。」
「やめてよ!」
「っはは。俺の体も捨てたもんやないな。」
「勝手に捨てんといて。」
「お。」
千聡は体を起こすと、南の鎖骨に口付ける。そのまま舌を這わせ、やがて突起を軽く舌でつつく。
「…積極的やん。」
「感化された。」
「それもええんやけどな。」
肩を押して再びベッドに押し戻すと、背中に手を回してホックを外す。
「今日は黙ってされとき。」
「あ…やっ」
南は仕返しとばかりにつんと立った先端を舌で転がす。千聡は口に手を当てて漏れる声を堪えた。
「黙って、て、そういうのちゃうねん。」
「わかってる、っあ…!」
「おお、そうか。せやったら我慢せんでもええやんけ。」
いくらか刺激を与えると、下腹部をなぞって下着の下へ手を忍ばせる。入り口を弄ればそこはすっかり濡れていた。
「…腰浮かせる?」
千聡は頷くと、言われた通りにする。全て取り払われ外気にさらされた素肌を南の手が滑っていく。
「…綺麗や。」
「烈くんも…っん。」
「俺は綺麗言われてもなぁ。」
笑いながら、入り口の浅いところを捏ね、奥に指を差し込む。眉間にしわを寄せる千聡に口付け、痛いか、と尋ねるが、千聡は首を横に振る。
「平気…。」
「もう少し。」
「は…っあっ…。」
内壁を擦られる度に甘い声を漏らす千聡を見下ろし、気遣うように唇を寄せる。額、目元、頬。指を引き抜くと、千聡は深く息を吐く。
「…大丈夫か。」
「うん。」
「入れるで。」
手際良く避妊具を着けると、千聡の片足を持ち上げ、入り口に自身をあてがう。押し込めば小さく悲鳴を上げる千聡に、すまん、と声をかける。
「大丈夫…っごめんね、気を遣わせて。」
「謝らんでええ、当たり前やろ。…動くで。」
「うん、…っ。」
圧迫感と小さな痛みに顔を顰めるが、それが快楽に変わるのを感じていた。
「あ、…くっ」
「痛ないか。」
「う、…っん。いたく、ないっ…」
「……ん。」
段々とはやくなる動きに翻弄され、千聡はシーツを握りしめる。その手に南が手を重ねた。
「千聡…っ。」
「烈く、も…限界っ…!」
「ええで、俺もそろそろ…」
千聡が甘い息と共に声を上げる。南も小さく、切羽詰まったような声を漏らすと、肩で大きく息をした。
南の額から汗が千聡の頬に落ちる。それを親指で拭った。
「すまん。」
「ううん…。」
見つめ合って触れるだけのキスをし南が体を離す。
千聡は少しの間ぐったりと横になっていたが、後始末をする南の背中に頬を寄せた。
「…好き。」
「…ん、おおきに。」
「ふふ。幸せ。」
「…愛してる。」
南は顔だけ振り返ると、首を傾げてキスをする。
「千聡、愛してる。」
「…私も。烈くんを愛してる。」
南はその言葉に微笑み返すと、千聡の額に口付け、下着を身に付けると立ち上がる。
「ちょっと待っとけ。」
引き出しを開け、小箱を取り出す。
「…そろそろ、広島にも行かんと。」
「これ。」
「俺も高橋の世話になってもうた。」
「うそ。」
「嘘でこんなもん買えるか、アホ。」
「ちょっと待って、」
「待たん。」
「…結婚しようや。」
千聡の左指に、シルバーが嵌められる。
「泣くな。」
「嬉しいけ、仕方ないやん…。」
「…なら、ええけど。」
「すっぱだかやん私、かっこわる…。」
「何言っとんねや、この世でいちばん綺麗や。お前はなんの飾りもいらへんねん。」
「やめてよ…!」
「さすがに俺はパンツはいた。」
「ここで笑かすな。」
「はは。でも、さすがに風邪引かれたら困るな。」
南は千聡に肩からシーツを掛けてやると、キスをする。
「…なんだか、結婚式みたい。」
「ホンマやな。」
もう一度唇を重ね、微笑み合った。
君愛し
不確かな愛情のひとつひとつを確かめて
それら全てを慈しむ。
幼い頃には気が付かなかった
その、尊さに。