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高まる熱に、何度だってうかされる。
「依紗、ポッキー食う?」
11月11日。ささやかな賑わいをみせるその日に合わせて、普段はあまり買わないお菓子を買った。ほぼ毎週末泊まりに来る彼女は隣でテレビを見て笑いながら、食べる食べる、と箱に手を伸ばそうとした。
「こっちこっち。」
それを口にくわえて依紗に向ける。どうせ白い目で見られるんだろうな、なんて思いながらふざけてみた。
「!?」
ところが依紗ときたら俺のくわえているポッキーに唇を寄せるではないか。完全に口にふくんだところで驚きすぎた俺は歯を立ててしまう。
パキッ
「大の負け―。」
おかしそうに笑いながら残りを食べてしまう。そんなの反則だ、いつもなら絶対乗ってこないのに。
「はい、どーぞ。」
こちらが慌てているのを尻目に、今度は依紗がくわえてこちらに突き出した。え?なにそれ、可愛い、いいの?はい、いただきま
「時間切れー。」
「なんなんだよ!!」
あっという間に口の中に消えていくポッキーをうらめしく思う。ここぞというときに踏ん切りがつかないのは悪い癖だ。いや違う、対彼女に限った話だ。一緒に居るとこの上なく安心するのに、一挙手一投足に心のバランスを失ってしまうこともある。
もう1本、とこちらに伸ばしてきたその手をすかさず捕まえた。
「もう我慢できない。」
抵抗したって微々たるもの、箱を手放してその体を腕の中におさめたらテレビを消して。唇を重ねたが最後、今夜はもう離してやらないから。
「食べ物を無駄にしないの!」
……なんてかっこつけたのに、その一喝にはかなわないんだ。
一度だけ許されたキスを最後に依紗の手で口を塞がれた。床に散らばったポッキーを片付けるまではどうやらお預けらしい。そりゃそうだよ、食べ物は大事だよ。ごめんなさい。
「……からかってごめんね。」
掃除をしながら依紗が呟いた。
「する?」
ポッキーを一本こちらに見せて尋ねてくる。なんだよ、そんなんありかよ。
「してーの?」
「大がしたいないらいいよ。」
「素直じゃねえなあ。」
「じゃあしない。」
「うそうそ!ごめんって!」
「……ん。」
今度は恥ずかしそうにこちらに向ける表情にノックアウト。ずりーよ、あっさり俺の理性叩き潰しにかかるんだから。さくさくと骨を通して伝わる音がもどかしい。やがてたどり着いた唇に、今度は迷わずかぶりつく。2人の熱が溶け合って、互いの体に流れ込んでいくみたいだ。
体中をめぐる熱
人生で1番甘いポッキーだった。
……なんて、チープかな。
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