だれそれくんのきょうだい
名前変換
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女子軟式野球部は今日も元気だ。
「あっつい!」
依紗は誰にともなく文句を言う。
水道で頭から水をかぶって、タオルでざっくり拭いている。
風邪をひくぞ。体が資本だろう。
「牧!おつかれ!」
「ああ、依紗も。」
こちらに気付き、笑顔で手を振って来る。
栗色の髪が風で揺れる。一際強い風が吹くと、彼女のタオルを攫い、こちらに運んでくるので手を伸ばす。
「ごめん牧、ありがと!」
「いや……。」
タオルを頭に被せるようにして返しながら、依紗の手を握る。
「な、なに…。」
「そろそろ名前で呼んでもらえないだろうか。」
依紗は目を逸らし、いや…その…、と躊躇っている。
「お前の顔で牧と呼ばれると、弟の方を思い出してしまう。」
思わず口走ったその言葉に依紗は顔を上げると、へら、と笑う。
「正直だね。力抜けちゃう。」
すまん、と本当に申し訳なく言うと依紗はまた笑う。
「紳一。」
スッと目を細めて、今度はややはにかんで笑った。
ああやっぱり、二卵性と言っても似てるものは似ている。
「……どうしても俺は藤真から離れられないらしい。」
「休まらない?」
「いや。」
握っていた手を離し、両手で依紗の頭に被せたタオルを掴む。
「余計に燃える、かもな。」
少し身を屈めて唇を重ねる。
「……練習は?」
「もう終わったよ。紳一は?」
「俺も。」
そう言って、もう一度、今度は少し長いキスをした。