だれそれくんのきょうだい
名前変換
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「健司。」
「へ?」
「名前で呼べよ。」
2つ下の依紗とは合コンで出会って、意気投合した。付き合うのにそんな時間もかからなかった。
それなのに一向に名前で呼ばないから、少し強めに迫ってみる。
腕の中で微睡んでいた瞳が驚いて見開かれ、俺をはっきりと映し出す。
「なんで呼ばねーの。」
「慣れなくて…。」
「呼ばなきゃ慣れねーだろ。」
「そうだけど…んっ」
かぷ、と耳朶を甘噛みする。
「早く呼べって。」
「け……んじ…くん。」
「…ん。」
まあ、及第点か。
着替える依紗の後ろ姿に既視感を覚え、ふと尋ねる。
「依紗ってバスケやってたわけじゃねーよな?」
「え、うん。」
「なんでそんな詳しいんだよ。」
こいつは生まれも育ちも東京のくせに、なぜか俺の事を知っていたし、神奈川の高校バスケ事情に精通していた。
「……それは、」
「なんだよ。」
「んん…。」
言いづらそうに困った顔で笑う。
可愛いけど。
可愛いんだけど、その下まつ毛。
ただ、やっぱり既視感。
その笑い方、誰かに似てるんだよな。
「まいったな……。」
「なんだよ。」
「私、苗字言ったことないですよね?」
「急に敬語使うなよ。そういやねぇな。」
「…仙道って言うんです。」
後ろから頭を叩かれたような気分だった。
なんだって?
なんつった?
仙道!?
「年子の兄がいて、」
「待て待て待て、そんな展開望んでねえぞ俺は。」
「彰って言うんですけど。」
うおおおおおおおおおおおお
マジかああああああああああ
「……仙道彰はご存知ですか?」
「ハイ、あの、とても。」
「先輩に藤真健司さんって方がいらっしゃると伺っているんですけど…。」
「ハイ、その通りです。仙道彰君はボクの後輩です。」
何を俺は取り乱しているんだ。
ちょっとよくわからない。
待て待て待て待て。
確かに、言われてみるとよく似てるんだよな、
その下まつ毛!!
クッソ可愛い下まつ毛!!
俺の大好きな依紗のチャームポイント!
「……あの、健司、くん。」
「ハイ。」
「それでもこのまま私と付き合ってくれる…?」
不安そうに眉を下げる依紗の後ろに、チラチラと仙道が見えるようになってしまった。
これは引き摺るぞ、永遠に。
でもな、
でもな。
「ったりめーだろ、馬鹿。」
好きなもんは仕方ない。
依紗の声も、笑顔も、おっとりとした口調も。
ささくれだった俺の心を和らげてくれるんだ。
けど、ちょっと、今だけは波立って仕方ねぇ。
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