*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
体育祭はとてもいい天気で、秋を感じさせるさわやかな空気になってきている。とはいえ、日差しはまだ強く、過酷なスケジュール感を醸していた。
「佐和はやーい!!」
「美代にそんな褒められたら参っちゃうな〜」
戻ってきた佐和は友人の美代とハイタッチをする。
「美代は何に出るんだったっけ。」
「私は二人三脚と借り物競争だよ。」
すると越野がやって来て佐和と何かを話した後、連れて行く。そこは仙道がやってきて「委員は大変だなぁ。」と呟く。
「仙道じゃん、お疲れ。やっぱ足速いね。あんたも色んな種目に駆り出されて大変じゃん?」
「走るだけならこのくらいなんとも。」
はは、と力の抜けた笑いをする大男に美代は溜息をつく。
「あんたって体力オバケね。」
「越野ー!これこっちでいいんだっけ?」
「そーそ、ちゃんと数揃ってるか確認するぞー。」
二人三脚用のバンドなど、細々したものを数えていく。
「この後なんだっけ。」
「女子の1000mと男子の3000m」
「やべ、私行かなきゃ。」
「俺も。植草出るんだよ、あいつには勝てねえな…。」
さっさとやっちまおうぜ、と作業を進め、立ち上がる。
「仙道も出るんじゃなかった?」
「バスケ部ばっかじゃねえか…。」
「仙道は味方だからいいじゃん。」
「関係ねえよ。」
負けん気の強い越野に頼もしさを感じつつ、佐和は「わかる、その気持ち。」と同意。
「やるからには勝たないと。」
「そーゆーこと。あ〜植草〜。」
越野の力の抜ける声に佐和は吹き出した。
「悔しいな〜絶対いけると思ったのに〜。」
「いやいや、あの子県予選で3位とかだから。」
息を切らしながら悔しがる佐和の背中を美代がさする。「男子始まるよ」と言うと佐和は顔を上げた。美代はクラスメイトにエールを送る。
「越野ー!仙道ー!頑張れー!」
「越野曰く、バスケ部の植草くんが凄いんだって。」
「マジ?バスケ部はやっぱ鍛えてんね。」
陸上部員も頑張っていたが、その前をバスケ部が走って行く。
「あいつら陸部差し置いて何やってんのよ。体力バカじゃん。」
「そうなんだけど…美代さん、そこの私の飲み物とって。」
水分補給をして一息。先頭は前評判通り植草。その後ろを仙道と越野が追いかける。
「仙道って、こういう時はちゃんとかっこよく見えるね。」
「確かに。普段アレなのにね。」
「アレはアレで癒されるけど。」
「美代さんマジですか?」
結局、植草を抜くことは出来ず、僅差で仙道と越野もゴールする。戻って来た2人は対照的で、越野が息を弾ませながら悔しそうにしているのに対し、仙道は、多少息が弾んでいたものの涼しい顔で笑っていた。
借り物競争が始まる頃、控え席の先頭で佐和は美代を凝視していた。
「美代の借り物は私が何に代えても見つけ出す…。」
「なに変な闘志燃やしてんだよ。」
佐和は越野に突っ込まれるが、へへ、と不気味に笑う。
「美代は私が守る。」
「気持ちわり。」
そんなことを話していると、女子が1人駆け寄ってくる。
「大変、佐和!借り物出る予定だった子、熱中症ぽくて。」
佐和は振り返ると「ええ!?大丈夫かよ!?」と慌てた。
「保健室?」
「うん、休んでる。」
「うーん…じゃ、私代わり出るわ。」
保健室付き添ってあげて、と伝えに来た女子に告げる否や本部に走って行く。
「ん?どしたの高辻。」
入れ違いに戻って来た仙道に越野が成り行きを説明する。
「…本当に、女の子には優しいな。」
仙道の呟きに越野は「なんか言ったか?」と聞き返したが仙道は「なんも。」と返して佐和の姿を探した。
(働き過ぎだよなぁ。)
(なんにでも熱いんだな、あいつ。意外と。)