*【花形】アオハルアゲイン
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「透さん?」
「……ああ、すまない。」
窓の外に、倫乃の姿を見た気がした。
流石に考え過ぎだろう。
疲れてますね?と首を傾げる彼女。
その言葉に甘えて、そうかもしれない、と曖昧に笑う。
違うんだ。
確かに寝不足で少々頭は重たいが、それよりも、久し振りに苦い思い出に触れてしまったせいで余計なことを考えてしまう。
彼氏なし、言い寄る男あり、しかしその気はなし。
いっそ早く誰かとくっついてくれればいいのに。
そうしたら変に心配しなくて済む。
…ああ、また。
なにを心配するというのだ。
俺には関係ないのに。
彼女は笑顔で溜息をつく。
「今日は、帰りましょっか。」
研究室の後輩で、修士卒で既に就職をしている彼女は俺よりも大人かもしれない。
カップをソーサーに置き、ふふ、と笑う。
「透さん、今度、またあのバーに連れて行って下さいね?」
そう言って、伝票を持って颯爽と歩いて行ってしまった。
「……しまった。」
家に帰ると、夕べの惨状の残骸が多少あった。
掃除機をかけ、換気をする。空き缶やボトルがあるのを見て昨夜の倫乃の言葉を思い出す。
ー辛気臭い研究者のくせに。
全くその通りだ。
彼女はどうしてそんな俺を好きだと言ってくれるんだろうか。
自分に何か秀でたものがあるかと言ったら、身長と、バスケくらい。
しかし、そのバスケも高校までの話。大学では勉強や研究の方にその情熱を注ぎ、バスケは部活ではなくサークル活動程度に留めていた。
夕べの飲み会は、久し振りに気兼ねなく飲んだ。楽しかった。
倫乃と話せた時間も有意義なものだった。
…そういう、ことなのだろうか。
自分の中で、結論は出ていた。
しかし、決断はすぐに出来なかった。
『なに悩んでんのか知らねーんだけど、そんな状態のお前に付き合わされる彼女が可哀想だわ。』
柄にもなく、誰かに話を聞いてもらいたくて電話帳を辿った。
なんだかんだ言って1番的確なアドバイスをくれるのは藤真だろうとかけてみたところ、そのように一蹴された。
「…確かに。」
『心は決まってんだろ?何迷ってんだよ。』
『手遅れになるぞ。』
その言葉の真意は分からなかったが、
なるほど、確かにそれはその通りだと思った。
「話してみるものだな。」
『俺を誰だと思ってるんだよ、あったりまえだろ。』
電話越しに笑う我らがリーダーの言葉は相変わらず頼もしく、笑えるくらい明快だった。
たった一夜のことが、こんなことに発展するなんて思わなかった。
いっそ夕べの飲み会を断ってしまっていたら、こんなに悩み迷うこともなかった。
でも。
俺は。
倫乃が好きだよ。