*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「シャワー浴びてきていい?まだ帰ってきてからなんもしてねー。」
「いいよ。夕飯一緒に食べていい?」
「もちろん。楽しみだなぁ。」
「じゃ、準備しておくから。ゆっくり入ってきて。」
いってきまーす、と楽しそうにバスルームに消えていく仙道に、佐和は安堵していた。
まだ温かい料理を並べながら、笑みが溢れた。
「そっかぁ、団体はダメだったのか。おつかれ。」
「彰は…」
「聞いたんでしょ?」
「…うん。」
ふふ、と思わず笑ってしまう佐和に、仙道も堪え切れず笑い出す。
「おめでとう!」
「サンキュ。あー良かった。」
「しかもMVPだって?これはまた贅沢な。」
「あー、報われた。」
陵南が見事に優勝、仙道自身もMVPという快挙を成し遂げた。
「越野の彼女も見た。めちゃ可愛かった。」
「ずるい!私も見たかったなぁ。」
「神も全国行けるし、美代ちゃんはひと安心かな。」
「そうだね。本当は勝ち姿見たかっただろうけど…勝負だから。」
佐和は複雑な表情で笑う。
仙道はその肩を抱き寄せると
「少し妬ける。今は俺を褒めて。」
「…おめでとう。見たかったなぁ、勇姿。」
触れるだけのキスをして、夕飯の片付けを始める。
「明日は反省会?」
「そーだよ。彰は?」
「うちもかな。反省会と、全国に向けての対策を練る感じ。」
「一緒に帰れる?」
「待つよ。いや、待たせるかも。」
佐和は、ふふ、と笑う。
「お互い様だよ、一緒に帰ろうね。」
シンクで洗い物をする佐和を仙道が後ろから抱き締める。
「あー幸せ。」
「私もー。」
佐和が仙道を見上げると、仙道がその唇に自身の唇を重ねる。
「これ以上はダメだよ、帰ります。」
「拷問だぁ。」
抗議の声を上げる仙道の腕からすり抜けると、佐和は下ろされているその髪に手を伸ばし、撫でる。
「今日はお互いにお疲れ様。明日も起きなきゃいけないんだからゆっくり休もう!」
「佐和センセー爽やかにも程がある。」
「からかうなよ。」
「元気そうで良かった。」
玄関でサンダルを履く佐和に仙道が声を掛ける。佐和は仙道を見上げると、一つ溜息をつく。
「ヒロくんにも心配された…そんな風に見えたのかな。」
「んー、責任感かな。3年になってから佐和の雰囲気変わったもん。主将だからって、気負い過ぎちゃダメだよ。」
にこ、と笑う仙道に佐和は目を見開く。
「…実はさ、団体終わったらなんだか肩の荷が降りた感じするんだよ。こんなこと言ったら怒られるかな。」
首を傾げて苦笑いする佐和を仙道が抱き締める。
「誰も怒んないよ。佐和が頑張ってたの知ってるから。全国は好きにやっておいで。」
佐和はその背中に手を回し、力を込める。
「彰も、キャプテンとしてももちろんだけど、仙道彰としてプレーを楽しんで。」
「りょーかい。」
体を離して玄関の扉を開ける。
高校最後の夏が近づいて来る。