*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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その日の夜は泥のように眠ってしまったけど、
夜中に一度目が覚めて、携帯に入っていたメッセージに返信をした。
すると間も無くして着信があった。
起こしてごめん、と言うと
『ううん、俺も今ちょっと起きちゃったところ。』
少し付き合って、と言うので彰と電話をしていた。
なんてことない、他愛のない話をしただけ。
月曜の授業の心配とか。
体育祭の私の出場種目はどうなるのかとか。
『そろそろ寝ようかな。声を聞いたら安心した。』
私も安心したよ、とか言えたら良かったのに、
それは良かった、なんて偉そうに返してしまった。
全く可愛くねーな。
でもその後は本当によく眠れた。
あの声はきっとすごく癒される周波数なんだと思う。
彰はどうだったかな。
ちゃんと眠れたかな。
「最後だね。」
海南と武里の試合が終わり、安堵する美代。
「うん…。」
「全国行けるといいね。」
佐和は試合が始まる前から既に緊張していた。
「佐和!」
「藤真さん。」
振り返ると藤真が座っていた。
「今日は制服?」
「昨日は部活の帰りだったんですよ。」
「なるほどな〜。大分雰囲気変わるな。」
かわいいじゃん、と笑う姿はとても。
(美人じゃん…。)
「藤真さんって翔陽の、だよね?知り合い?」
美代が小さく尋ねる。
「昨日色々とお世話になって。」
佐和がそう答えていると、アリーナに両選手が現れる。会場が一気に盛り上がり、温度が上がったようだった。
そんな中、両チームともアップを始める。
「藤真さんは湘北と陵南、どっちが勝つと思いますか?」
佐和が振り返って尋ねると、藤真は笑った。
「その問答は昨日やった。仙道に聞け。」
試合に先立ち、選手が紹介されていく。
「湘北って、結構華やかな感じというか、派手というか…。」
「佐和はどの人が好み?」
「むむ…三井さんかな。爽やか。」
「仙道差し置いてそれ言う?」
「振ったの美代だろ。そういう自分は?」
「流川くん。」
「即答じゃん。宗一郎にチクったろ。」
「仙道が好みなら流川くんの方がライン的に近くない?」
「そうかなぁ。」
前の席の会話に藤真が噴き出した。
続いて陵南の選手が紹介される。
「魚住さんの声援すごいなぁ。」
「あっ、植草に越野だよ。いつも話してるのにこうして紹介されると変な感じだね。」
本当になぁ、と佐和は美代に同意する。
そして、仙道が呼ばれる。
観客が一際盛り上がる。
(うわ…。)
佐和は思わず会場を見渡す。
その声援に圧倒された。
「超人気じゃない。」
美代の言葉に、我に返る。
「本当だなぁ。」
(でも、彰は彰だから。私たちは一緒。)
左腕のアクアマリンを見下ろす。
そして仙道の方を見る。
その時、仙道と視線がかち合う。
ふ、と微笑むのがわかった。
(一緒だよ。)
「福田だ。こっちも人気ね。」
「吉兆、出られて良かったな。」
「公式戦は昨日が初めてらしいじゃない。すごいわね。」
美代の言葉に佐和は頷く。
「本当に良かった…。」
ホイッスルが鳴り響く。
試合が始まる。