*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「ええ!?本当に……?」
「報告遅くなってごめん。」
「そんな事はいいよ、じゃあ、予選見に行くんだ?」
「うん……。予選が終わったら、きちんと言わせて欲しいって。」
美代から、春休みにあった宗とのやり取りを聞かされた。あの日、宗一郎の方から切り出してきたらしい。予選が終わったらきちんと会って話をしたい、と。
「前向きな報告で良かった。」
「え、吉兆が部停……!?」
「色々あったんだよ。無期限だから、予選に間に合うかどうか…。」
その日の放課後、日直の仕事をしている時に越野から聞いた吉兆のこと。
始業式の華麗なアリウープがまだ記憶に新しい。
そんなアイツが、つい最近行われた練習試合でなにか問題を起こしたらしく、無期限の謹慎処分となったみたいで。
「試合、見たかったのにな…。」
「間に合うことを祈るしかないよな。」
越野はそう言って部活に向かった。
1日で情報量が多過ぎる…。
休日練習の日、バスケ部がいつもより早く来ているのに気付き、着替えを済ませていた佐和は体育館を覗く。
「はよ、越野。今日なんかあんの?」
「ウッス。今日、練習試合なんだよ。」
「そーなんだ。頑張って。」
「おう。」
「高辻さんや!!!要チェックや!!」
佐和が越野と話をしていると、関西弁の1年生がやって来る。
「彦一うるせえ。」
「初めまして。」
「は、初めまして。相田彦一といいます。仙道さんの彼女さんですよね!?」
「まあ…はい。」
「仙道さんは今日はどうされてるんでしょうか!?」
「さあ…。」
来てないの?と佐和が越野に尋ねると、半目になった越野が、おう、と答える。
「来るといいね…じゃ、私はこれで。」
そう言って体育館を後にした。
「かっこいいお人や…。」
佐和は練習を終え、体育館の前を通ると、対戦校と挨拶を交わすバスケ部を見付ける。
(でっけー。彰が普通に見える…。)
握手を払われているのを見て、噴き出す。
(イケメンに断られてやんの。)
すると今度は赤い髪の男子と握手を交わしていた。
(はは、ちゃんと相手にしてもらえてんじゃん。)
「佐和!」
佐和に気付いた仙道が声を掛ける。
(バカ、まだ終わってねーだろ、何声かけてんだよ!)
「今帰り?待ってて!」
「相手に失礼だろ、分かったから!」
赤い髪の男子が交互に見て「友達か?」と首を傾げていた。
「はは、そんなんじゃねーよ。」
マネージャーがハリセンで一発はたき
「どう見ても女性でしょうが!」
と一喝。その言葉にハッとした赤頭が仙道に詰め寄り、
「彼女かてめー!」
と鼻息荒くまくし立てていたが、またハリセンで叩かれていた。
「彰、楽しそうだね。」
「ん?ああ、そうだな。楽しかった。」
アドレナリン出てるかな、と笑う。
「すげーのが、出てきた。」
「へえ、そうなんだ。」
楽しそうに笑う仙道に佐和もつられて笑う。
「ところで佐和、これから家来ない?」
仙道が妖艶に笑う。
「衝動と感情が抑えられないんだけど。」
佐和は、以前自分が言った言葉を思い出して頭を抱えた。
言葉にするのは躊躇われたので、手を握り返す。
「はは、可愛いなぁ。」
にこにこ笑う仙道を見上げて、佐和も微笑んだ。
(あれ、痣が)
(腕はノーカンだろ!?)