*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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3月半ばの昼休み。
「剣道部、春休みに練習試合やるんだって?」
越野が佐和に尋ねる。
「あ、うん、そう。よく知ってんな。」
「体育館の準備の手伝い頼まれたんだよ。」
佐和は、えっ、と驚く。
「知らなかった。助かるなぁ。」
「へえ!久々に佐和の勇姿を見ておこっかな。」
美代がいついつ?と予定を確かめている。
そんな話をしていると、仙道が欠伸をしながら体を起こす。
おや、と佐和は仙道を見る。
「そういや仙道が昼休みずっと席にいるの初めて。」
そう言って笑うと、仙道も笑って
「もう全部断ってるの。」
と言い、ホワイトデーのお返しは午前中に配ってきました、と加えて言うと、もう一度眠りについた。
迎えた練習試合当日、バスケ部は早目に練習を切り上げ、休憩しながら剣道部が来るのを待っていた。
「よろしくお願いします!」
よく通る声が響き渡る。
バスケ部の面々が振り返ると、剣道部員がそれぞれ入り口で一礼してアリーナに入ってくる。
「迫力あんなー。」
竹刀と防具を携えた道着と袴姿の一団は圧巻である。
2年の男子主将が寄って来ると、今日はよろしくお願いします、と丁寧に挨拶する。
魚住がそれに応じ、1年を好きにこき使ってくれ、と笑った。
「バスケ部って結構多いのな。」
佐和は、ホワイトボードを用意していた仙道に話し掛ける。
「みんな1年?」
「うん、そーだよ。」
へえ、と感心する佐和の耳元に唇を寄せ、かっこいいね、と囁く。
「バッカ、やめろよ。」
「いやほんとにさ、凛としてる。最初から姿勢いいなーとは思ってたけど、こりゃ姿勢も良くなるな。」
綺麗、と微笑む仙道に、からかうな、と佐和が軽く睨む。
と、そこで佐和は見知った顔を見つけ、名前を呼ぶ。
「吉兆!」
吉兆、と呼ばれた男が振り返る。
「え、福田知り合いなの?」
「中学一緒なんだよ。」
福田が手をあげる。佐和はそちらへ寄っていくと、談笑していた。
「高辻って福田のこと知ってんだ。」
「同中なんだってさ。」
「……ちょっと不機嫌?」
「そう見える?」
越野が両手を上げ、にんまりと笑った。
仙道は苦笑して2人を見遣った。
アップが終わる頃、私服の男性が入って来た。佐和が般若、とか鬼軍曹、だのと呼ぶ顧問の方に歩いて行き、挨拶をしているようだった。
「誰だろ、若くない?」
体育館側面の出入り口の付近で見ていた美代が仙道に問いかける。
「さあ…でもなんか見たことある気がするなぁ。」
すると剣道部員が全員その男性の方に寄って行き、挨拶をしている。
「外部コーチかね?」
越野が呟く。なるほどねと美代も納得していたが、その男性が佐和を呼び寄せ、何事か話した後に頭をかき混ぜるように撫でるのをみて、驚く。
「仲良いわね!?」
「てゆーか、あれ、お兄さんなんじゃね?」
「……確かに、雰囲気似てるわ。」
すると佐和が美代たちの方を見て、指差す。男性も同様に見て何か喋ると、笑って頷いていた。
「あれがお友達と、『アキラ』ね。」
「そ。わかった?ハル兄。」
「後から秋也も来るから教えとくわ。」
「はいはい。」
佐和は、やれやれと溜息をついて部員たちの方へ歩いて行く。春翔は相手の顧問に挨拶すると、着替えるために更衣室へ歩いて行く。
「思ってたより全然いい奴そうじゃん。」
(やっぱ佐和の家系って美形で高身長。)
(だよなぁ。でもお母さんはそんなに上背ないよな。)
(そうね。)
(日下部も仙道も詳しいな。高辻オタクじゃん。)
(越野もなる?)