*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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一体どのくらいの時間そうしていたのだろう。
腕の中の温もりを意識する度、満ち足りた気持ちになる一方で、
まだまだ、欲しくなる。
「んう……。」
(腰から下が…重い。)
佐和はベッドに手をついて体を起こそうとする。
しかし、絡みついている腕がそれを許さない。
「彰…時間、遅くなっちゃうよ。帰らないと。」
「そう…だよな。」
仙道は名残惜しそうに、佐和の髪の毛を梳く。
そして、耳に触れ、軽く撫で上げる。
「んっ…ちょっ…」
「あはは、可愛い。」
そのまま口付け、抱き締める。
「……ありがとう。」
「ううん、こちらこそ、ありがと。」
(この中毒性まずいな…。)
柔らかく微笑む佐和に面食らい、仙道は誤魔化すようにかぶりを振って、時計を確認する。
「怒られない?」
「大丈夫。」
気怠そうに体を起こす佐和を見て、自分も半身を起こし、「体、大丈夫?」と腰に手を回す。
「へ、平気、大丈夫…。」
「あ、大丈夫じゃないやつだ。」
「くすぐったいんだよ!」
軽く睨まれるが、まだ熱を帯びたその目は、鎮まり切らない気持ちを掻き立てるだけで、怖さはなかった。
「剣道ってさ…傷が耐えないのな。」
首から鎖骨、二の腕、脇、腰骨の痣をなぞる。佐和はくすぐったさに少し体を震わせる。
「ちょっ…。ん、まあ、仕方ないよ。」
バスケも意外と、と、佐和は仙道の治りかけの痣を見つける。仙道は、接触プレイもあるからなぁ、とくすぐったそうに笑う。
「あと、佐和の腹筋、綺麗だなぁ。」
縦に通った筋に唇を寄せる。
「ばか、やめろって、もう!」
腕をすり抜け、仙道に背を向けて佐和は手早く着替える。そして振り返って言った。
「彰の方が綺麗だよ。」
筋肉が、と付け加えられたが、仙道は噴き出して手で顔を覆う。
「な、なんだよ。」
「それは俺が言う台詞。」
(そういうところが男前なんだよなぁ…。)
「もしもし、あ、由佳ちゃんか。ヒロ兄は?」
仙道が着替えている時に佐和は自宅に連絡していた。
ややあって佐和が仙道の方をチラとみる。
「あー……聞いてみるね。」
「どしたの?」
「夕飯食べてく?」
「毎度悪いなぁ…。」
「由佳ちゃん的にもその方が助かるって。カレー作り過ぎちゃったみたいで。」
「じゃ、お言葉に甘えようかな。」
オッケーと、親指と人差し指で輪を作るといくつかやりとりをして電話を切る。
「由佳ちゃん…………勘付いてるっぽい。」
「……あー。」
顔を見合わせて苦笑した。
(由佳さんと美代ちゃんは鋭くて怖いな。)
(ほんとそう。)