*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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仙道もそうだけど、越野も植草も普通に上手い。
そもそも素人からしたら、ドリブルしてるだけでもスゲーってなるし、シュートなんか決めた日にゃ神かよって感じだ。
部活後に自主練してる連中を、体育館の中に入れてもらって見学中。
見るのも勉強ってね。
「仙道が残ってるのはレアだよ。」
植草が佐和の隣にやって来て耳打ちする。
「そうだったんだ。確かに帰り私よりいつも早いもんな…。」
(じゃ、前に見たのはかなり珍しいモンだったんだ。)
「今回は高辻に教えるからじゃない?」
「なんか悪いなー。」
昼休みにバスケ部3人からルールを教えてもらい、なんとか覚えたので、後は実践あるのみと言えばそうなのだが。
(あと1ヶ月くらいあるから余裕かましてた…。)
「佐和、やってみる?」
噂の仙道がボールを持ってやって来る。植草は、ほら、と笑うと自分の練習に戻って行った。
「中学の体育の授業以来だよ。」
「結構前だね。」
「ドリブルってどうやってるの?」
「んー…こんな感じ?」
器用にやってのける仙道に佐和は感嘆の声をあげる。
「はい。」
「はい?」
「やってみよー。」
さあさあ、と仙道がボールを佐和に押し付ける。
「こ、こう…?」
(彰がやってたのはこう…ボール押し込む感じで…)
「お、筋いいじゃん!」
越野が少し離れたところから声を掛けてくる。
「バカにしてるだろ!気が散る!」
「いや、ほんとに上手いよ佐和。ちゃんと見ながら盗んでるんじゃん。」
末恐ろしいなーと笑う仙道に、佐和は満更でもなく、ほんと?と照れる。
「…可愛いなぁ。」
小声で言われ、思わずボールを突く手とは反対の手でガードの構えを取る。
「お、いい構え。そのまま俺から逃げて!」
ボールを取ろうとする仙道に、佐和は、ひっ、と小さく悲鳴を上げつつボールを突きながら越野の方に走る。
「越野!助けて!」
ボールをパスすると、越野は笑いながら、ナイスパス!と言ってゴールの方に向かう。
「やるなぁ、佐和。」
仙道は笑いながら越野に矛先を変える。
「植草、越野止めて!」
「おう!」
シュート練習をしていた植草が加わる。
「げ、高辻こっち!」
「あ、うん!」
越野からパスをもらうと佐和はシュートの構えを取る。
「甘い!」
仙道が笑いながらボールに手を伸ばすが、佐和はドリブルに変えて切り込む。
「おお〜」
仙道は感嘆の声をあげる。
「よっ」
レイアップシュートを放つが、
「でも甘い。」
仙道が追いついて来てブロックする。
「もうちょっとだったのにー!」
「高辻、形になってんじゃん!」
越野がハイタッチする。決まってないんだけど…、と佐和は溜息をつくが、十分すごいよ、と植草がフォローする。
「レイアップ出来るんだ。」
「体育の授業でやったから。」
これしかないよ、と佐和は苦笑い。
「うん、佐和ならすぐ上手くなるよ。」
ボールを拾った仙道が、俺も、と手の平を向ける。
「ありがと。」
それに軽く手を合わせ佐和は笑った。
「フェイク入れてくるとは思わなかったなー。」
「そんな大層なもんじゃないだろ…。」
「上手かった。絶対打つと思ったもん。」
打てないのが分かったからもう騙されないけど、とニヤリ笑う。
「彰、シュート見せてよ、シュート。」
「えー?やだよ、佐和盗むもん。」
「教えてくれるっつったじゃん。」
「……しょーがねぇな。」
「ちょっと待って。」
佐和は少し距離を取ると、座る。
「ここからのがいいや、さ、どうぞ!」
「仙道のシュートか〜俺も見よ。」
「ビシッと決めろよ。」
植草と越野も揃って腰を下ろす。
「外野うるせー。」
仙道は笑いながら、ボールを2度突いて、放る。
ボールは綺麗な放物線を描き、ネットに吸い込まれていった。
3人は、おお〜、と拍手。
仙道はボールを拾い、次佐和ね、とパスをする。
「流れ的には越野か植草じゃねーの。」
「2人は空気。」
「おー高辻いけいけー!」
「がんばれー!」
「空気うるせーな。」
笑いながら構える。
「ワンハンドいける?」
「なんて?」
そう言いながら放る。
ガン、と言う音ともにリングに当たってボールが跳ね返る。
「あら。」
ボールを拾いに行くと、越野が口を開く。
「女子でワンハンド届くのすごいんじゃねぇの?」
「ワンハンド?」
「そうだね、俺あんまみないかも。」
植草も頷いている。仙道が笑いながら、
「女の子って、ボスハンド…だいたいこう打つんだよ。」
胸の前で、両手で構えて見せる。
「へえ。」
「もう一度構えてみて。」
「うん。」
すると後ろから仙道が修正をする。
「ん、こんな感じかな?どうぞ。」
「よっ」
すると、今度はちゃんとネットに入る。
「おおー!」
「高辻やるじゃん!」
「入ったー!」
佐和は仙道とハイタッチをしてボールを拾いに行く。
「高辻すげーじゃん。これなら球技大会間に合うな。」
「だなぁ。よかったよかった。」
仙道は呑気に笑っていたが、越野に
「お前はバレー大丈夫なのかよ。」
と現実を突きつけられ、
「美代ちゃんがルール教えてくれるから。」
すごく嫌そうだったけどね、と苦笑いで返した。
(美代ちゃん時々厳しいんだよなぁ。)
(…なんか分かる気がする。)
(だよな、やっぱ厳しいよなぁ。)
(いや、日下部の気持ちが。)