*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「ここって。」
「俺ん家。」
鍵を開けて、どうぞ、と中に誘われる。
(緊張するんだけど!)
適当に座ってて、言われ、佐和は部屋の隅の方に座る。部屋の中を見回すと、無駄なものがなく、すっきりとしている。
積み上げられたバスケ雑誌やDVD、本棚にきちんと収まっている教科書や問題集。
(使ってんのかこれ…?)
「珍しいものでもあった?」
不意に後ろから声を掛けられ、心臓が跳ねる。
「問題集があまりにきちんと収まってるから使ってんのかなって。」
振り返って答えると至近距離に仙道が居た。
「わっ、」
「おっと。」
佐和が驚いて体を反り、そのまま倒れそうになったので、仙道は佐和の腕を掴んで引き、自身の腕の中に収める。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫…。」
はは、と笑って佐和が離れようとすると、そうはさせまいと仙道の腕に力が込められる。
「離してよ。」
「やだよ。」
くつくつと笑う仙道を恨めしそうに見上げ、佐和は諦めてその胸に凭れかかる。
「あんまり遅くなるとまずいんじゃない?」
「仙道が言う?」
「彰。」
ん?と佐和が顔を上げると、笑顔の仙道が名前で呼ばれるのを待っている。
「……。」
「由衣ちゃんの言うことは聞くのに。」
「……彰。」
そう言うと仙道は嬉しそうに笑い、どこからか箱を取り出した。
「開けてみて。」
「う、うん。」
中から出て来たのは品の良いグレーのウインドウペンチェック柄のフリンジマフラーだった。
「かわいい。すごく好き。」
「気に入った?」
「うん!」
マフラー欲しかったんだ、と嬉しそうにする佐和を眺め、仙道は目を細める。
すると佐和が「私も!」と鞄から箱を取り出して仙道に渡す。
「開けて開けて。大したものじゃないけど…。」
「お。」
肌触りの良い、大判のタオル。
白地に、端の方はブルーとネイビーのボーダーが入っている。
「ユニフォーム、そんな感じの色じゃなかった?。」
「…うん、すごくいいね。ありがとう。」
仙道は、大事に使う、とタオルに顔を埋め、微笑んだ。
「……そろそろ行かない?」
「んー…もう少し。」
「私、制服なんだけど。」
「…なんかいいよね。」
「なにが!?」
佐和は仙道の肩を押し、脱出する。仙道は朗らかに笑うと、「由佳さんに怒られちゃう」と立ち上がった。
「今度うち来る時はさ。」
「ん?」
部屋を出るとき、玄関で仙道が壁に手をつき、佐和を壁に押し付ける。
「ある程度覚悟して来てね?」
そう言って静かに口付けた。
(じゃあ、来ないでおこうかな……。)
(連れて来るから大丈夫だよ。)
(なにが大丈夫なの!?)