*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「佐和!!」
朝練が終わり、教室に入ると美代が立ち上がって抱きついてきた。
「美代!?おはよ…」
「なんなのなんなのなんなのもーー!!」
「ちょっと待って…とにかく落ち着いて。」
「佐和、日下部、おはよ。」
「!お、おはよ…。」
後ろからのっそり現れた仙道に美代はニヤニヤしながら肘で脇腹辺りをつつく。仙道は「参ったな」と笑った。
3人はそれぞれ席に着くと、仙道は頬杖をついて隣の佐和の方を見て
「いい眺めだなぁ。」
と笑った。
というのも、少し前にした席替えのことだ。
「おう、仙道、お前は一番後ろな。」
「じゃあお目付役の越野と高辻も近くにお願いします。」
「はあ!?ふざけんじゃねえ。いつから俺がお前のお目付役になったんだ。」
「そーだよ、どっちかっていうと私のお目付役は美代だ。」
「高辻、お前は突っ込みがバカだな。」
担任はため息をつくと、
「じゃあ一番後ろに仙道と高辻、その前の席に越野と日下部な。」
「なんで私まで巻き込まれなきゃいけないのよ…。」
美代は頭を抱えていたが、「ま、いっか。」と溜息ひとつでチャラにした。
「は〜なんか上手くまとまって良かったわ〜。」
必然的に昼休みは4人に植草を加えた形になっていた。
「でも仙道の人気は衰えないな。」
「みんな知らないからね。」
「言ってきたら?」
「いいよ、そこまでしなくても…。」
越野と美代、植草の言葉に佐和は苦笑いする。仙道はお呼び出し中だ。
「これからは彼女がいるから、って断るのかね?」
越野が弁当をつつきながら機嫌よく言う。
「どうかな。あいつ、なんだかんだ事を荒立てないように処理しそう。」
「美代さん、処理ってそんな事務的な。」
「そうでしょ、件数が件数なだけに。佐和ものんびり構えてないでちゃんとつかまえてないとダメだよ?」
「はあ…。」
そこへ戻ってきた仙道が何事もなかったかのように佐和の弁当を指さす。
「それって由佳さんが作るの?」
「お母さんか由佳ちゃんかどっちか。」
「由佳さんのメシうまいよな。また行ってもいい?」
「もちろん、大歓迎。」
そう言って佐和は卵焼きをひとつ仙道の口に放り込むと、仙道はにこにこと頬張る。
「……何を見せられてるんだ、俺ら。」
「いっそ清々しいからいいわよ。」
半目の越野をよそに、美代が「私も行っていい?」と尋ねると「当たり前じゃん!」と佐和が食い気味に答えた。
(なんか、美代ちゃんへの愛の方が大きいよね。)
(仙道バカじゃん?当たり前でしょ?)