*【三井】もしも運命の人が
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変わっていく。
見える景色も、自分自身も。
「明音、最近変わったよね。」
友人の言葉に顔を上げる。
「これはアレだね、恋だね。」
「えー!?」
講義室に居た他の友人たちがこちらを見る。ごめん、と一言告げてボリュームを落とす。
「実花、急になんなの。」
「だって明音、絶対可愛くなった。」
「はあ?」
「あと、あんま遊んでくれなくなったね。」
「前期試験近いし…。」
すると別の友人が豪速球を投げ込んだ。
「背の高い男の人と手を繋いで歩いてるの見たよ。」
実花と私は同じように目を見開いて彼女の方をみた。
「なにそれ!!ソノ、詳しく…あ、三井さんでしょ、そうなんでしょ!?なによ〜結局上手くいってるんじゃん!!」
「ちょっと、静かに…。ソノちゃんもどこでそんなの見たの。」
ソノちゃんは表情を変えずに、その辺の道、と答える。実花は頬杖をついて眉間にしわを寄せた。
「後で詳細。」
教授が入って来たので一旦は解放されるが、逃げ場などないのは明白で、頭を抱えた。
「なんで早く言ってくれないかなぁ!」
「ごめんってば…。」
「じゃあ、あの合コンは大成功だったね!良かったぁ。」
「ありがと。」
「いいっていいって!」
昼休みに学部棟のラウンジでお昼を食べながら事情聴取を受ける。これが恋バナかあ、なんてしみじみ実感する。
「ところで週何回くらいヤってんの。」
「ぶっ……。」
これも、恋バナか…。
「だはは!そんな話するのか!」
「答えに困りますよ…。」
明音が通っているのは女子大で、なかなかのお嬢様大でも有名だ。偏差値も高い。そんな女子大に通う生徒の実際は、自分の通う大学の学生とそう変わらないことを実感した。
「なんて答えたんだよ。」
「ひみつ…答えようがないもの。」
「あっはは!」
「笑い過ぎ!」
軽く睨んでくるが怖さはなく、逆に加虐心を煽ってくる。首まわりが大きく開いたブラウスの襟元から手を入れ、鎖骨から肩の辺りを撫でてから首筋を辿って耳の後ろをくすぐるように触る。
「ちょっと…」
「なんだよ。」
抗議する気のない抗議に小さく笑って答え、キスをする。耳の後ろにあてがった手とは反対の手で明音の服のボタンを外す。それに気付いた明音は顔を引くと、こら、と俺の顔を押し返す。
「なんでだよ。」
「なんでって…」
「じゃあお前がしたいって言うまでしないでおくか。」
「え、え!?」
「どうすんの。俺は今すぐしたい。」
俺が手を引っ込めると、明音は視線を彷徨わせて、俯いた。
「ごめんなさい…。」
「そりゃどっちのごめんなさいだ。」
「…。」
躊躇いがちに俺の手を握る。そして、こちらを見上げた。
「したい、です。」
…おいおいおい、反則だよ反則。インテンション。いやアンスポか。こいつなんなんだちくしょう。
「焦らすねぇ。」
緩む口元そのままに首筋に噛みつく。くすぐったい、とのことだがお構いなしだ。中途半端に緩んだ服が掻き立てる。ここまで計算してんの?大した女だよ。
「あのっ…はやい…」
「おめーが焦らした分を取り戻してんだよ。」
「なにいってん…あ」
いつもより高く湿った声が、遠慮がちに俺の耳に届く。ああ、参ったな。ただでさえこっちはギリギリなのに。
「…明音。」
切ない表情がたまらない。返事をしようとするが、それもままならない。俺がそうさせてるのに、何度だって呼んでしまう。
「寿、さん…っ。」
「明音、好きだよ。」
背中に回された手に力がこもる。耳元で何度も好きだと囁いた。俺でお前を満たすように。どれだけ愛しているか、言い聞かせるように。
アイリス
私を変えたのはあなた。
私の目に映る景色に、光をあててくれる。