*【福田】ブルースカイブルー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この想いを自覚してから何が変わったということはなく、しかし、時々砂を噛むような思いで弁当をかき込む日もある。情緒不安定だ、どうかしてる。
「福田って、意外とかっこいいんだよね。」
「バスケしてる時の話でしょ。」
「違う違う、体育の時も。」
「似たようなもんじゃん。」
「何気に優しいんだよね、無口だけど態度で示す系。」
「示されたの?」
「示された。荷物持ってもらった。」
女子生徒が彼の話をしているのを耳にする度、あいつの魅力に気付いたのは私だけではないのか、と、じりじり焦る。
今日の体育祭はかなりまずいんじゃないか。だってさっきも、短距離めちゃ速かった、かっこよかった。…私こんなキャラだっけ。ううん、情緒不安定なだけ。
これが恋か。怖いよ、恋。
「ねえ、倫乃はなんで福田探してんのよ。」
「え?」
「さっきからバスケ部のやつ捕まえては居場所聞いてんじゃん。芸術的にすれ違ってるけど。」
「ほら、この間部活でタオル借りたっつったじゃん。それで、結局洗って返すって押し切ったんだけど…」
「はあ?まだ返してないの!?なんでクラス一緒なのに返せないのよ、馬鹿なの?」
「もー…私にもわかんないよ。」
うそだ、わかってる、うまくいかないんだよ、なにもかも。
「昼休み終わるし、校舎施錠される前に出よ。」
「うん…あ、トイレ行ってから行く。先行って。」
あーあ!もーさいあく!手を洗って鏡に映る自分に水をひっかける。なにやってんだか。情けない。
渡り廊下を歩きながら、窓の外を見遣る。向こう側の渡り廊下に人影が見えて、立ち止まる。あれ、は。
咄嗟に窓を開ける。向こうも気づいたのか、窓を開けた。
「福田!ちょっと待って、そこにい」
「そこにいろ!!!!」
「え!?」
タオルを掲げて呼んだが、それを遮る大きな声に驚いて、立ちすくむ。福田の姿は、もうない。
校内放送が外に出るよう促しているのが聞こえる。どうしよう、でも、ここにいろって。
速い足音が聞こえる。確かに近付いてくる。
私の心臓も全力疾走を始めた。
Sprinter
(これを返すだけだから大丈夫、上手く笑える。)
(タオルごとかっさらってやる。)