*【福田】ブルースカイブルー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あーあ、せっかく新しくしたのになぁ。
踏みつけられたキャッチャーミットは裏門の外側に落ちていた。
ホント腹立つ。下手くそなくせにやることは陰湿でさ。
門を飛び越え、しゃがんでミットを拾い、その汚れを払う。
お気に入りのブルー×ブラック。
もう一度磨けば綺麗に映えるはず。
これ、結構探して買ったんだから。
じわ、と目の奥が熱くなった。
もうやだ、なんでこんな想いしてまで頑張んなきゃいけないんだ。
…やめよっかな。
「おい、大丈夫か本郷。」
ふと目線を上げれば、ランニング中のバスケ部員。
「……福田じゃん、お疲れ。」
クラスメイトがこちらを見下ろしている。
やばい、こんなとこ見られちゃ困る。
私の手元を見ると険しい顔を更に険しくさせ、同じようにしゃがむ。
「なにやってんの、行かないと。」
私は目元をこすると精一杯の強がりを言った。声はたぶん、震えてた。
「くだらない奴のために、辞めることない。」
「後悔するぞ。」
私のミットを取り上げると、着ているTシャツで乱暴に拭いてくれる。
そしてまた私の手元に戻す。
「それ、いーじゃん。」
そう言うと、立ち上がって走って行った。
その背中を見つめ、その後もう一度グラブを見つめる。
全国を逃した彼らは新しいキャプテンと共に再始動していると聞いた。私も腐ってる場合じゃない。
「あーあ、仰る通り!」
そうだ、あんな奴らのために辞めてやる義理はない。
大事なパートナーの球を受けるために折角新調したんだもん、無駄になんてしないんだから!
背中
(言葉少ない君の背中に、私は恋をしました。)
----------
SDワンライ「背中」参加作品です。