*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「ただいま〜。」
「ただいまー!!!」
「ただいまあああ!!」
寒空の下、幼児たちと力一杯遊んで試験週間の鬱憤を晴らす。
「手洗いうがい!!」
佐和は靴を脱いでバタバタと家の中を走っていく双子の背中に声を張る。よく通る声に2人は回れ右をして敬礼、洗面所に駆け込んだ。
「佐和ちゃんありがと〜。」
「由佳ちゃんただいま〜。ううん、こちらこそ。楽しかった。」
「おかあさんタオルないー!」
「あるだろ。」
「佐和ちゃん来てよー!」
「わかったわかった。」
双子の母で義姉の由佳に、自分が行く、と目で合図し、洗面所に行く。一方にはタオルを出してやり、またもう一方はハンドソープが遠いと訴えてくるので届く位置まで移動させてやる。
子供の底なしの元気に感服するしかなかった。
間も無く2人は眠り、佐和も一息ついた。
由佳がコーヒーを出してくれる。
「わ、ありがとう。」
「んーん、佐和ちゃんが遊んでくれるから助かっちゃう。」
2人でまったりしていると、由佳がはっとなる。
「いけない、お醤油切らしてるんだった。」
「あ、私買ってくるよ。お米もなかったよね?」
「そうだけど、佐和ちゃん勉強しなくて大丈夫?」
「そのくらいはいいよ、それより2人寝てるからみてて。」
そう言ってコートを羽織り出掛けようとすると、妹の方が起き上がり「由衣もいく〜」とくっついてくる。
「由衣、眠くないの?」
「へーき、佐和ちゃんといく。」
由佳が尋ねても由衣は首を横に振り佐和の足に抱きついて離れない。
「いーよ、由衣行こっか。」
「大丈夫?何かあったら連絡してね。」
「うん、行ってくるね。」
「いってきます〜。」
寒くないようにコートを着せマフラーを巻いてやると手を繋いで2人は出掛けた。
(さみーな。今夜何食お。)
仙道はスーパーで物色していると見慣れた顔の見慣れない姿を見つける。
(高辻?と、…ん?子供?)
手を繋いで歩くその姿は、親子というには若過ぎるがなかなか微笑ましい光景である。
(…私服。新鮮。)
すると、子供の方が仙道に気づき、「あ!」と声を上げる。
「おとうさんくらいのひと!すごいよ佐和ちゃん、由衣初めてみた!」
「こら、指差すな!すみません…え、仙道。」
「よ、隠し子?」
「姪っ子だよ。由衣、私の友達の、えーと…彰。あきらくん。」
突然名前で呼ばれ、仙道は驚く。体育祭で一度呼ばれたきり、呼ばれたことはなかった。
(…いいなぁ、この声に呼ばれんの。)
由衣は「あきらくん?」と見上げてくるので仙道はしゃがみ、「はじめまして。」と笑う。
「あきらくんは佐和ちゃんのかれし?」
「うん。」
「バカ、違うよ。お友達だって言ってるだろ。」
(そんな否定しなくても。)
苦笑する仙道をよそに、佐和は由衣に言い含める。
「へー。この辺なんだ。じゃあうちから近いな。」
「そーなんだ、知らなかったなぁ。」
他愛のない話をしていると、由衣が佐和ちゃん、と手を引く。
「ん?なに由衣。」
「だっこ。」
「ん、眠いか。おいで。」
こくりと頷いて首に手を回すと、佐和は由衣を抱き上げる。
「おいおい、米もってんじゃん、無茶するなぁ。」
「大丈夫、もう会計して帰るし。」
「そっち俺持つから。由衣ちゃんをちゃんと抱っこしてやれよ。」
そう言って仙道は佐和の荷物を取り上げる。
「ごめん、仙道。ごめんついでに由衣の鞄にお金入ってるからそれで払って。」
「ん、りょーかい。」
無事に買い物を済ませて、3人は帰宅の途についた。
(はたからみたら親子かな〜。)
(こんなでかい子供いると思われるのはどうなの…。)