*【藤真】彼はグリーンのサウスポー
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体育祭でいろんな競技に出てはクラスメイトとハイタッチをする。他の奴に比べると部活やってた期間が長かったから比較的衰えは感じない。沢上と目が合った。ハイタッチしようと手を出そうとするが、なんとなくぎこちなくなる。向こうもなんとなくいつもと違う。
「おい、労えよ。」
「う、うん!やるじゃん兼任監督!」
触れ合った手の平が熱い。打ち付けたからだと言い聞かせるが、そんなんじゃない。わかってる。
「藤真くん爽やかー!」
「え、どこが!?」
「顔が。」
「ん、それは異議なし。でも聞いてた?労えよ、だよ?」
「イケメンだから許される。」
「はー、アンタ清々しいわ。」
友人と談笑する沢上の声に耳を欹てる。褒められてんだから貶されてんだかわかんねーな。
沢上は、運動得意じゃないから走らん、などと走る競技に関しては譲らなかったが、借り物競走には渋々出るのを了承していた。何が出るかわからねーが、思い切り笑ってやろう。
「結月!時間!」
「待って!行く行く!」
「沢上!」
「なに藤真!」
「面白いの引けよ!」
「嫌だよ、変な呪いかけんな!」
…あーあ、なんだよその笑顔。可愛いよ。
「なになに……はあ!?」
素っ頓狂な声を上げる沢上に俺と花形は顔を見合わせた。なんだよ、なに引いたんだ。
「藤真!アンタしかいない!」
その言葉に心臓が跳ねた。落ち着け、いいから落ち着け、俺!
「なに!?」
「運動部キャプテン!但しイケメンに限る!」
「俺しかいねえ!!!」
「正気か。」
花形が驚き目を瞠る。そんなの無視だ。仕切りのロープを跨ぎ、沢上に駆け寄る。
「いいの引いたな!お姫様抱っこでもしてやろうか。」
「やめて離れて近寄らないで。」
「お前さあ…。」
地味に傷つくぞそれ。
「いいから行くよ!」
そう言って、少しぎこちなかったが俺の手を取った。それには少し驚いたが、俺はその手を握り返す。なにやら悲鳴が聞こえたような気もしたが全て無視だ。沢上は、ちら、とこちらを見上げると、すぐに前に向き直る。
「わ、私たち、びっくりするほどフレンズだから!」
「お、おう!そうだな!」
変な空気を感じつつも、ゴールテープを切る。離れていく指先が名残惜しい。
「ありがとね。助かっちゃった。」
心なしか沢上の顔が上気している様な気がしたが、走ったせいだろうな、都合良く考えすぎだ。
「おう、貸し1な。」
「がめついなー。」
そう言ってハイタッチした。