*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校卒業編)
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もういっそいくらでも待ってやるよ。
そのかわり、ちゃんと迎えに来てね。
「由衣、お前のそれが甘いんだって。自分では誘い込んでるつもりでも私からしたら待ってるだけにしか見えない。」
陵南高校で教師として働き始めて5年目、女子剣道部の監督として、剣道部全体の副顧問として佐和は日々を過ごしていた。
「もっと攻め気のある剣道やってこそ、お前のそれは生きるんだ。そんなん同じことばっかりやってたって精々中坊にしか通用しねーの。だからインハイも勝てねーんだよ。」
鳴り物入りで入部した姪を始め、そこそこの実力を持った生徒たちを前に一層熱が入る。
「高辻!男子相手してやってくれ!」
「はい!」
「あの、高辻先生!」
「んー?」
「後でもう一本、お願いします!」
「…おう。」
由衣の声に佐和は笑う。そして男子の輪に入って行った。
「お疲れ高辻。どうだ、調子は。」
「お疲れ様です、田岡先生!…あはは、ぼちぼちですね。そちらは?」
帰り際に田岡に声を掛けられ、佐和は笑顔で答える。田岡も笑いながら口を開く。
「高辻…由樹はやはり声を掛けた甲斐があるな。性格こそ違うが、仙道を彷彿とさせる。」
「そうなんですか?…暇さえあれば仙道の試合のビデオばっか見てるせいかも知れませんね。」
由樹は剣道もやっていたが、中学からバスケ部に入り、その才能を開花させた。身長も伸び、今や佐和を見下ろす程。仙道の学生時代試合のビデオを佐和伝いで手に入れたり、現在のNBAの試合はテレビ放送分全て録画しているようだった。
「…仙道は今年契約更改だろう。何か聞いていないのか。」
4年契約でNBAのチームに所属していたので今オフはなにかしら動きがあるはずだ。
「そういう話はしませんよ。してきたら二度と口をききません。機密を漏らす人間とは関わりたくありませんから。」
「…はは、頼もしい限りだ。」
そう言って挨拶もそこそこに帰路についた。
(明日は体育祭か…。)
佐和は自分の持ち場のことなどを確認しながら帰宅を急ぐ。そんなことを考えていると、自然と仙道のことは頭から消えていた。