*【南】venez m'aider
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の知らない君を、もっと知りたい。
「聞かへんの?南のこと。」
土屋くんが首を傾げた。試合が終わり、表彰式を待っていた。南くんのチームは残念ながら負けてしまって、それでも、準優勝という立派な成績を残した。
「聞きたいけど、本人のことは本人の居らんところで聞くものじゃないけぇ、いい。その代わり、土屋くんと岸本くんの高校時代の話聞かせて。」
「……ええけど、南の話抜きには語れんぞ。」
「そこは上手くはしょってや。大人じゃけ、出来るでしょ?」
「わー、千聡ちゃんけっこ無茶言う〜。」
岸本くんは苦い顔をして溜息をつき、土屋くんは少し悲しそうに笑った。何があったんだろう。
…エースキラーって、なんなんだろう。
「すごい、すごいね!2人…3人ともすごい選手だったんだ。」
「この間の飲み会でも話したやろ。」
「こんな詳細じゃなかった。」
「せやなぁ、酔ってたもん、僕ら。」
「岸本くんと南くんは本当に先生のこと大好きなんだねぇ。」
「えー!僕も僕の監督大好きやで!」
「なんか薄っぺらいよ。」
アリーナには選手たちが整列し始めていた。南くんも居る。
「でも、ラフプレーの話はちょっと引いた…ごめん。」
「事実は事実や。」
「でも言い訳せんところが偉いよ。すごいね。」
「…アホか。そんなもん、してなんになる。」
岸本くんは自分の膝に肘を置いて手を組んで、そこに突っ伏した。すごく後悔してるんだね。若気の至りって言えばそうかもしれないけど、きっとそれじゃ収まらないくらいのことをしたんだね。
今もまだ、苛まれているんだね。
土屋くんも茶化さなかった。決して笑い話にしたりせず、でも微笑んで見守っていた。別に話さんでもいいところまで教えてくれたのは、心を許してくれてる証拠だと思っても良いのかな。嬉しい。
ふとアリーナを見下ろしたら、南くんと目が合った気がした。
ねえ、私、あなたのこと、知りたいよ。
「今日飲みに行かへん?南くんも誘ってみよ。」
「俺はええで。明日も休みやしなぁ。」
「僕もー。芽衣ちゃん来れるかなぁ。」
「連絡してみる。…バスケって面白いね。」
「せやろ、千聡ちゃんもやってみる?」
「遠慮しまーす。見る専門で。ルールは教えて?」
「喜んで〜。」
私は携帯を取り出して、芽衣と南くんにそれぞれメッセージを入れた。芽衣は夜なら大丈夫と返ってきた。南くんは、いつもの仏頂面で整列していた。