*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校卒業編)
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どうも変なんだ。
こういうのが重なって、
綻びが生まれて、
やがて、
…やがて。
目を覚ますと、彰が隣に寝ていた。夕べのことは途中から記憶が曖昧だし、ないに等しい。容子が隣に座っていて、彰が来て、車に乗せられて。おかしいな、やっぱりどこか辻褄が合わない。歯抜けの記憶は気持ちが悪い。
「…佐和、起きた?」
「彰、私、」
戸惑う私に優しく微笑みかけてきて、引き寄せる。そのまま抱き締めてくれた。よく見ると、服、着てない。あー…こういうの、怖いよ。隣に寝てたのが彰で本当に良かった。
本当に。
「容子ちゃんに呼ばれて、佐和を迎えに行ったんだ。」
「そうだ、ありがとう。」
「酷く酔ってた。」
「うん…そうみたい。ごめん。」
「ううん、責めてるんじゃないよ。調子は悪くない?」
「平気だよ。ありがとう。ね、彰、」
「ん?」
「心配かけて、ごめんね。」
その言葉に、彰は目を見開く。あれ、私おかしなこと言ったかな。
「佐和、俺、佐和が他の男と酒飲むのいやだ。」
「うん。」
「すげーもやもやする。」
「うん。」
「…でも、仕方ないよな、そういうことこれから沢山ある。」
「…立場逆転してる。」
「あはは、本当だ。」
苦笑する。彰がやけに素直で居心地が悪い。今までこんなにストレートに不快の気持ちを示すことはなかった。
「誰か佐和に触った?須藤さん?」
「ないよ。近くにはいたけど容子ブロック。」
「本当に?」
「…彰って、そんなに私のこと、」
「信用してないわけじゃないよ。」
「じゃなくて、そんなに私のこと好きなんだ。」
その言葉に彰は言葉を失った。…あ、しまった、何言ってんだろう私。恥ずかしい、穴があったら入りたい!
「…そっか、そうだ。好き。佐和が好きだからか。」
「ん、え、ありがとう…。ん?」
「こちらこそありがとう。すっきりした。」
「なに、どうかしたの?」
「んーん、こっちの話。」
彰はいつものようににこにこと笑う。今度は私がすっきりしない。なんでこいつはこんなすっきりしてるんだ?わからん!
「俺の事見捨てないでくれよ〜。」
軽い調子でそう言って笑う彰に、なんとなく腹が立って、ご立派な胸板に頭突きをする。
「いってぇ。」
「見捨てないよ。別れる時は、彰が私の手を離す時だって、言ったろ。」
その言葉に彰は低く笑うと、そっか、と呟いた。
「じゃー心配ないね。俺も手放す気、ないから。」
いつかと同じ言葉なのに、その時とは違う響きを持っていた。
その理由は、わからないのだけど。