*【南】venez m'aider
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『俺は行かれん。研修で忙しい。』
そのメッセージにがっかりした理由は、分かっていた。
「南忙しいんやな。」
岸本がビールを煽ると、しみじみとそう言った。土屋も頷き、頭いい奴は大変やなぁ、と笑う。
「バスケもやりよるし、なんやかんや要領ええなぁ、烈クンは。」
「バスケで発散しよるんやろ。」
「やろうなぁ。3月の関西薬学生大会でスリーポイント王取ったしな。」
その言葉にメニューを眺めていた芽衣が顔を上げる。
「え、すごない!?」
「芽衣ちゃんと千聡ちゃんは学生の頃部活なにやっててん?」
「ちょっと、もしかして南くん…てか土屋くんもすごい選手!?岸本のことは聞いたことあったけど。」
「まあまあ、僕らの事はあとでええやろ、どやったん?ん?」
土屋が芽衣の追及を躱し、好奇の目を向ける。芽衣は溜息をつくと気を取り直し、ふふん、と笑う。
「私は野球部のマネージャーやってました〜!超青春やろ。」
「おお、似合うなぁ。芽衣ちゃんみたいのがベンチにおったら華やかやん。」
「もお土屋くん、わかってるなぁ!」
「調子に乗んな。」
岸本が面倒臭そうに鼻を鳴らす。芽衣はそんな岸本の額を平手で軽くはたく。
「いてっ。」
「ハゲろ!後退しろ!」
「おぞましい呪いかけんな!」
「千聡ちゃんは?」
「私は…。」
土屋がにこにこと首を傾げる。千聡は躊躇いがちに口を開く。
「…チア部。」
「え、マジで!?」
岸本が身を乗り出す。芽衣はもう一度その額を平手ではたく。土屋は、おお〜と感嘆の声を上げた。
「私写真持っとるで。夏の大会の時の。」
「おお、見して見して!」
土屋が身を乗り出し、芽衣の携帯を覗き込む。岸本もそれに倣った。
「ええ!?これ千聡ちゃん!?めちゃ可愛いやん!芽衣ちゃん、僕にも送ってや!」
「やめてよ芽衣!」
「うわ、短いな!」
「足の長さのことは余計なお世話!」
「ちゃうわ、衣装の話や!」
「共有するわ、任せとき。」
「やめんか!」
千聡のチア部時代の写真を見て盛り上がり、芽衣は早速グループLINEに投稿する。ややあって、南から反応があった。
『馬子にも衣装やな。』
(な、な、な、)
千聡はわなないた。しかし、すぐにメッセージが追加で入ってくる。
「つれないつよぽ〜ん。」
「失礼な奴やなホンマ。」
「照れとるんやろ〜しょーがない男やな。」
3人がそんなことを言い合っているうちに千聡はそのメッセージを確認する。
『冗談やんけ、真に受けんなや。』
『可愛いやん。』
自分だけにきたメッセージに、口元が緩みそうになる。
(お世辞でも嬉しいけぇ、ありがと。)
グループLINEでは『南ひどい』やら『つよぽん節穴!』『照れんな照れんな』などと飛び交っている。
『はいはい、かわいいかわいい』
そう返ってきて、千聡は吹き出す。それを見た3人もつられて笑う。
「なにこのやっつけ仕事感!」
「つよぽん素直じゃないなぁ〜」
「南ホンマ失礼やろ!」
(別にいいの、私は知っているから。)
3人が盛り上がるのを尻目に、千聡は南に返信をする。
『ありがと。こちらは真に受けておきます。』
すると、その次の返信に千聡は携帯を取り落としそうになった。
『飲み会終わったら連絡し。家まで送るから。』
『俺は課題あるからしばらく消えるで。』
『後でな。』
3人はバスケの話に戻って盛り上がり始めたが、千聡には遠くに聞こえた。
(なに…これ。胸が苦しい。)