*【南】venez m'aider
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初めてみた、その姿を。
その日、千聡は上司と外出だった。
「疲れたか?この学校で最後だからな。」
「え、いえ!なんだか懐かしいですねこの感じ。」
大学生協への視察だった。広告の掲示やパンフレットの陳列の依頼や、実際の窓口の様子などを見て回る。
「うちの部署、外に出ることあんまないからつまんなくない?」
「そんなことないですよ。まだいっぱいいっぱいですから。」
そう言って、構内を歩いていると、千聡は見覚えのある顔を見つける。
(え、あれ?)
その姿は生協へ消えて行く。まさに、自分が向かうそこへ。
自動ドアをくぐると、少し奥の棚で何かを物色しているようだった。
(白衣…新鮮だ。あれ、てかまだ学生だったん?学部なんだろ。もしかして院生?)
「本山?こっちだぞ。」
そんなことを思案していると上司に声を掛けられる。するとその白衣の彼もこちらを振り返る。
「…お?」
「あ、おつかれさまです。」
南は新しい白衣を手にしていた。千聡は笑顔を向けて軽く会釈すると、上司の方へ歩いて行った。
生協の担当者といくつか打ち合わせをしていると、携帯のバイブが鳴ったのが分かった。千聡は確認したい気持ちを抑え、打ち合わせに専念する。
「知り合いでもいた?」
「あ、はい。」
「後輩?」
「いえ、同い年なんですけど、学部知らなくて。院生かな?とか想像してました。」
学生センターでも挨拶や打ち合わせをして、駐車場へ向かう途中、上司が手洗いを借りてくる、と外した。丁度ラウンジのようなスペースがあったので、千聡はそこで待つと伝える。携帯を確認すると、おつかれ、と一言メッセージが入っていた。思わず、笑みをこぼす。
「…カチッとしたカッコしとるやん。」
「わ、南くん、驚いた。」
白衣姿の南が千聡に声を掛ける。千聡は振り返り、その姿をてっぺんからつま先まで眺める。
「すご、学部なに?院生?」
「薬学部。5年生や。」
首から下げたネームプレートを指差す。臨床薬剤学研究室、という研究室名と名前が書いてあった。
「名前、なんて読むの?れつ?」
「つよし。」
「へえ、つよしかぁ、かっこいいね!白衣姿も様になってる。ふふ、白衣ぼろぼろやん。」
「あー、薬品で変色するし、溶けることもままある。」
「だから新しいの買ってたの?」
「おう。サイズないから入荷待ちしててん。」
(確かに、背ぇ高い…。)
千聡は南を見上げ、首を傾げる。
「バスケしてたんだっけ?」
「まー…今もしとるけど。」
「本当?試合観に行きたい。ある?」
「なくはない。」
「なんよその言い方、もう!」
「はは、上司戻ってきたで。また連絡するわ。おつかれさん。」
南は白衣のポケットに手を入れて去って行く。上司は、さっきの子?と首を傾げたので千聡は、そうです、と短く答えた。
(かっこええやん。)
(かっこよかったなぁ。)