*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校卒業編)
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佐和の後ろから聞こえてきた声。
同じ大学だったなんて、知らなかった。
藤真さんに電話を乗っ取られて満足に電話が出来なかった上、須藤さんが同じ大学に居るという現実を知ってテンションが駄々下がりだった。佐和からあの人は切り離せないのか?
「須藤なら道産子と付き合ってんぞ。」
「……は?」
藤真さんの言葉にあんぐりとする。どさんこ?って?
「北海道出身のタメの奴と付き合ってんの。だからお前が心配するようなことはなんもなーし。」
「はぁ…。」
「お前、佐和のことになると本当にダメだな。あいつってそんな簡単に心変わりする?」
「しませんよ。」
そうとも、簡単に心変わりしないとわかっているから怖いんだ。
須藤さんに、いつか戻って行ってしまうのではないかと。
「俺から見たら、お前もあいつも互いにべた惚れで気持ち悪いくらいだよ。」
「そーですか?」
「そーだよ。……って、気持ち悪ぃ笑い方すんな。」
「はは…すいません。」
「あーくそ気持ち悪い!青春コノヤロー!」
藤真さん、荒れてんな。
「だからさ、もっとあいつのこと信じてやれよな。」
…信じてないわけじゃないんだけど。でも、そういうことになっちまうのかな、難しいなぁ。こういう煩わしさが嫌で、本気の恋愛は避けてきたけど、佐和ならいいやと思えちまうからすごいな。いくらでも悩むよ、君のためなら。
「俺、自分でもびっくりするくらい佐和のこと好きみたいです。」
「俺に言うな、俺に。」
しっし、とばかりに手を振る藤真さんを見て思わず口が滑った。
「抱き締めてもいいですか。」
すげー勢いで殴られた。越野を思い出すよ。欲求不満なのかなぁ、俺。
部屋に戻り、翌日の支度をしていると小さな箱が出てきた。はっとして中を確かめる。そこには、佐和にプレゼントしたアクアマリンのブレスレットが収められていた。
「寂しい人には愛が溢れるんだって。だから合宿の間は彰が待ってなよ。私には指輪があるから。」
合宿前に会った時に、そう言って持たせてくれた。俺、そんなに寂しそうに見えたかな、たかだか一週間のことなのに。でも確かに今寂しいし、これを見てると気持ちが落ち着くから、佐和の言う通りだったな。ありがとう。 …帰るのが楽しみだなぁ。
彰に言い損ねてしまった。新人戦のことも、インカレのことも。
「佐和さ、まだあいつと続いてんの?」
「うん。」
「なげーな。俺の時とは大違い。」
「あれは多分、勘違いしてたんだよ。恋愛ごっこだったのかもね。」
「…俺は本気だったっつーの。」
「え?」
克ちゃんが不意に私の方に手を伸ばして来た。それを、思わず避ける。
「…なに。」
「そういうことだよな。分かってるよ、お前の気持ちはさ。」
「彼女、居るんだろ。悲しませるようなことしちゃだめだよ。」
「…仙道、焦らせてみようか。」
その言葉に、鳩尾辺りに裏拳を入れる。
「殴るよ!」
「ってえ!もう殴ってんじゃねえか!」
「うるせえ!遅え!早く入れ!」
4年の男子主将がドアを開けて克ちゃんを引きずり込んだので、慌ててそれについていった。中で待っていた女子主将と女帝たちは笑いながらその様子を見ていた。克ちゃんは先輩たちのお気に入りなのかね。
私が呼ばれたのは4年生と、2•3年の代表が毎晩やってるという反省会。
「高辻、ノート持ってんな。じゃ、それ読み上げろ。」
男子の主将に顎で合図される。あー…変な汗かいてきたわ。