*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校卒業編)
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「あれ、仙道と佐和?」
慣れ親しんだ公園に居た先客。
相変わらず仲睦まじくてなにより!
盆休み終盤、実家に戻った佐和と、それについて来た仙道は近所の公園へやって来た。するとそこには、シュート練習をする神とパスを出す美代が居た。
「わぁ、久し振り!元気だった?」
「佐和…変わったね。」
「宗はあんまり変わってない…や、背、少し伸びた?」
「ああ、うん、少しね。」
「仙道も背、伸びたんじゃない?髪は少し短くなった?」
「美代ちゃんは相変わらず綺麗だね。」
「…はいはい。」
少し驚く神に、佐和は、続けて?と微笑む。
「やだ佐和…いまのすっごい可愛かった。どうしたの?この間会った時と違くない!?」
美代が驚いて、持っていたボールを取り落とす。慌てて拾い上げると、声を出して笑い出す。
「あっはははは!仙道!あんた何やったのよ、すごいわね!」
「俺は何も…。」
美代の爆笑に圧倒された仙道はただただ驚いていた。神と佐和は顔を見合わせて肩をすくめる。
「滅多にこんな笑わないから、見慣れないと驚くよな。」
「うん、私でもあんまり知らないもん、こんなに笑う美代。」
私そんなに変わった?と首を傾げる佐和に、神は大きく頷いた。
「多分、中学までの佐和しか知らない奴らは見ても分からないと思うよ。」
「えー、そんなに?」
「その長さ、俺でも初めて見たもん。」
「確かに、襟足の辺りは刈り上げてたもんなぁ。」
そう言って、うなじの辺りをさすった。
「相変わらず綺麗なフォームだな。」
「彰でもそう思うんだ。」
「思うよ。ずっと思ってた。」
神のシュートをじっと見つめる仙道の横顔を、佐和は微笑みながら眺めていた。
「…彰から見て宗はどんな選手?」
「厄介。」
爽快なまでの即答っぷりに佐和は声を出して笑った。仙道も小さく笑う。
「でも、味方にいたらすげー頼もしい。」
「おお、褒めるねぇ。」
「本当のことだしな。国体の時もすげー心強かった。」
「じゃあ、人間的には?」
「お、聞くなぁ。んー…継続の鬼?」
その言葉に佐和はまた笑った。
「継続の鬼!」
「いやぁ、努力って才能だと思うんだよな。何百本ものシュートを毎日?俺には無理だぁ。」
「彰も練習してたじゃん。」
「俺は同じ事無理だもん、飽きちゃう。好きなことを好きなだけ。」
「そして飽きたら釣り。」
「正解。俺は神みたいになれないから羨ましいし、尊敬してる。」
「仙道、パス交代してよ!疲れた!」
「はーい!…美代ちゃんに頼まれちゃ断れねーや。」
そう言って仙道はベンチから立ち上がり、美代からボールを受け取る。
「仙道からパスもらうなんて、遠い昔のことみたいだな。」
「そーかも。どんなパスでも承ります、なんなりと。」
「あはは。そうだなぁ…」
2人が話しているのを見ながら、美代は佐和の隣に座った。
「何話してたの?」
「彰から見た宗一郎はどんな感じか聞いてた。」
「へぇ、気になる。」
佐和は声を落としてくすくすと笑いながら話す。美代はそれを聞いて少し驚いていた。
「そんな風に思ってたんだ。」
「意外?」
「うん、関心あったんだなって。」
「そこかー。確かにね。彰って他人のことあんまり興味なさそう。」
「でも佐和には興味を持ちました、っていう惚気?」
「歪んでる、それ。」
「冗談よ。でも、あんたのお陰なんじゃない?宗一郎とこんなに接点出来てさ。」
そう言って美代は2人の方に目を遣る。
「宗一郎は宗一郎で、仙道のこと尊敬してるって言ってたよ。どんなに期待を背負っててもあれだけのプレーが出来る、あいつは本当にすごい奴だって。」
「よく卑屈にならなかったよね、宗。」
「思うよね。同学年にあんなのいたら嫌でも目に付くし、嫉妬すると思う。」
「…私も。」
佐和も2人の姿を眺めながら呟いた。先程までとは打って変わって、なにやら声を掛け合い、互いに動き回りながらシュートを打っていた。
「楽しそうじゃん。」
「本当に。仙道も宗一郎も、タイプが違うだけで十分すごい選手だと思うわ。」
やがて、また静止した状態のシュートを何本か打ち、軽くハイタッチを交わしていた。そして佐和と美代の方を見てしばらく談笑すると、笑顔で2人の方へ歩み寄る。
「お疲れ様。」
「ありがとう。美代もお疲れさま、付き合ってくれてありがとう。」
「いいよ。楽しかった?」
「ああ、仙道とこんな風にバスケ出来る日が来るなんて思わなかった。」
「俺も。楽しかったなあ。サンキュー、神。」
「こちらこそ。ありがとう、仙道。」
佐和も、と神が片手をあげたので、佐和も、おつかれ、とハイタッチをする。
「仙道借りちゃって悪かったな。」
「んーん、いいもの見せてもらった。ありがと。」
「お、また何か盗まれたかな。」
「まあね〜。」
神が首を捻っていると、仙道は、佐和はスキルハンターだから、と笑った。
「またね。」
「ああ、仙道も佐和も、体に気をつけて。」
「神と美代ちゃんもな。お幸せに。」
「はいはい、ありがとね。」
そう言って、公園を後にする。仙道は佐和の方に手を伸ばし、手を繋ぐ。
「すげーいい日。」
「本当に?良かった!」
「佐和は?」
「私も、彰と宗の楽しそうな姿が見られてすっごい幸せ。」
「俺も。佐和と美代ちゃんが並んでんの見ると和むよ。」
そう言って微笑み合い、触れるだけのキスをする。
「地獄の合宿も、頑張れそう。」
「……俺はむりかも。」
「なんでだよ。ここは俺も頑張れそう、でしょ。」
「嘘はつかない。」
そう言ってからからと笑う仙道に、佐和も、そーだな、と笑った。