*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
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「…ん?」
ちょっと空き時間が出来たから、涼みに武道場の辺りに来たんだけど、思い掛けない出会いがあった。
佐和は部活のウインドブレーカーを羽織り、とは言え暑いことには暑かったので腕まくりをしていた。武道場の周りは木が多く比較的涼しいので、プログラムの合間を縫って涼みに来た。
が、
「……。」
「……えっと、」
男の子が座っていた。
最初は戸惑ったが、佐和はふ、と笑って隣に腰掛ける。
「暑いな。ここ涼しいんだよー。」
男の子は佐和の方を見上げてきょとんとしている。
「誰の応援に来たんだ?」
しばらく黙っていたが、やがて小さく「ねえちゃん」と言った。
「そーなんだ!じゃあさ、あっち行こうぜ。立てるか?」
男の子はまた下を向いてしまった。
佐和は訝しんでよくよく見ると、足を気にしているようだった。
「名前は?」
「え?」
男の子は顔を上げる。少し躊躇ったが「隆也。」と答えた。
「おし隆也、来い。」
佐和はそういうや否や隆也を抱き上げる。
「この方が高いだろ、ねえちゃん見つかるかなー?」
そう言って運動場の方へ向かっていると、正面から仙道がやってくる。
「高辻〜…ん?え?」
「ねえちゃん見に来たらしいんだけど、怪我して涼んでたみたい。」
な?と佐和が隆也の方に顔を向けると、ひとつ頷く。迷子じゃない、と言いたげだった。
「おまえ、名前は?」
「あ、佐和だよ、忘れてた。」
「佐和?女みてえ。」
「女だよ。」
隆也はええ!?と驚く。
「だっておっぱいねえじゃん!」
「あるよ!」
うそだ!と隆也は徐に佐和の胸を触る。
「……ほんとだ。」
「だろ?」
「俺、何見せられてるんだ…。」
そんなことを言いながらも、隆也を抱っこしながら淀みなく会話をする佐和に、仙道は感心しきりだった。
「慣れてるんだな、高辻。」
「ああ、同じくらいの姪っ子甥っ子がいるんだよ。」
「へえ。知らなかった。」
(俺、高辻のこと全然知らないんだな。)
仙道はそんなことを思いながら佐和と隆也のやりとりを見ていた。
本部の近くへ行くと、隆也が「ねえちゃんだ!」と叫んだ。
「急に暴れんな、どれ?」
「あれ!」
テントの方へ向かうと、委員長がこちらに気づき、更に声を上げて驚いていた。
「タカ!」
「え?隆也のねえちゃん委員長?」
「いーんちょーじゃねーよ!あずさだよ、梓!」
そう言って降りようと暴れるので、佐和はそれを止める。
「足痛いんだろ、落ち着けって。」
「隆也、怪我してるの?」
「いたくねーもん!」
「泣いてないもんな、隆也すげーよ。でもねえちゃんに見てもらえって。」
そう言って救護担当のところへ連れて行き、そこで別れる。
「佐和!がんばれよ!」
「おう、任せとけって。」
「隆也、佐和ちゃん、よ。ごめんね高辻さん。」
全然ヘーキっすから!と佐和は笑った。
「高辻って兄弟どんな感じなの?」
仙道が尋ねると、佐和は笑って答える。
「兄貴3人、私、以上。」
「え、そうなの?」
「うん、一番上とは15違うかな。」
だから歳の離れた委員長と隆也も違和感ないな〜と楽しそうに話す。
一方、目をぱちくりさせて驚いている仙道に、なんて顔してんだよ、珍しいな。と笑う。
「あ、それより、リレー、頑張ろうな!」
佐和は「期待してっから」と仙道の背中をバシッと叩いた。
(子供って、手が早いな…。)
(仙道?どうかした?)