*【南】venez m'aider
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仕事で、地元広島から大阪に引っ越した。
幼馴染みが大学から大阪に通ってて、そのままそっちで就職したそうなので連絡したら、すぐに一緒に食事をすることになった。 そしたらそこには彼女の大学の友達とそのまた友達って人たちがいて。みんな同い年とはいえ、なんだかよくわからない集まりになっていた。
「千聡は転勤多いん?」
「うーん…どうかなぁ。女性はそんなでもないと思うけど。」
保険を取り扱う仕事で、一応関西と中四国だけなら転勤オッケーっていうことにしてる。ほんとは広島オンリーにしたかったけどそれじゃつまらんし。
「千聡ちゃんは保険屋なんか、大変やなぁ。」
「それほどでも…今は中で事務してるんで。」
斜め前に座る土屋くん、という人が人懐こい笑顔でビールを注いでくれる。みんな程々に酔いが回ってるのか、和やかで親しみやすい雰囲気になっていた。
「ノルマとかあるんか?」
「ううん、ないですよ。じゃけ気楽は気楽。」
正面に座ってる南くん、という人はテーブルに頬杖をついて小首を傾げる。なんだか少し可愛らしい仕草に笑みがこぼれる。それに気付いたのか眉間にしわを寄せたので、誤魔化すように慌ててビールを注いだ。
「保険屋言うとなんか険しい噂しか聞かへんからなぁ…。なんか食うか?」
対角の岸本くん、と呼ばれる人がメニューを差し出してくるので、それを芽衣が受け取り、なんやかんやと相談し、いくつか注文した。因みに、この岸本くんが芽衣の友達。岸本くんが後の2人を連れて来てくれたそうな。
「千聡すごいんよ、大学の時、球場で売り子しててん。」
芽衣が笑いながら私の二の腕に抱き付く。
「そんなすごないて。」
「そんな細腕でよーやるわぁ。」
土屋くんは驚いた顔をしたが、すぐににこにこと私たちの様子を眺める。
「ぶち可愛いけぇ、球場のおじさんたちみんな千聡を指名しよってさー。」
「見たことないやろ。」
「ないけどぉ。」
岸本くんがすかさずつっこむ。芽衣も笑いながらそれに返した。
「…でも、綺麗な声しとるもんな、分かる気するわ。」
「え?」
南くんがそう言って微笑んだ。
この人、こんな風に笑うんだ。
「野球好きなんか。」
「うん、好き。」
「なら今度見に行くか。」
「あれぇ、烈くん口説きモードぉ?」
土屋くんが南くんを肘でつつく。南くんは溜息をつくと、そんなんやあらへん、とその肘を鬱陶しそうに退ける。
「甲子園の広島戦チケットもろてん。」
「なんや、俺行くのに。」
岸本くんがすかさず声を上げると南くんは盛大に溜息をついた。
「お前は三塁側内野席で大人しく出来るんか。」
「無理や。」
そのやり取りに思わず笑ってしまう。
「嬉しー。行く行く、ユニ着てってもいい?」
「ええで。」
南くんと連絡先を交換していたら、土屋くんと岸本くんとも交換することになって、私の連絡先一覧はまた少し賑やかさを増した。芽衣は「よかったねぇ」とふわふわ笑っていたが、間も無くトイレに駆け込んだ。
(本山は酒強いな。)
(そんなことないですよ、セーブしてる。)
(その量でか。)