*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校卒業編)
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「美代ちゃんもこれで一安心だな。」
「結構慌ただしくしてるみたい。引っ越しの準備とか。」
そう言いながら佐和は部屋を見渡す。
「すっからかん。」
「来た時はこんな感じだったんだな。」
仙道の部屋は引越し業者が荷物を運び出してすっかり空っぽになってしまった。
「明日、帰るんだね。」
「佐和も引っ越しだろ。」
「まーね。でも…」
「ん?」
佐和は少し寂しそうに笑う。
「少しさみしいな。なんだかんだよく来たし。」
「そうだなぁ。」
仙道は含みのある笑い方をし、佐和の肩を抱き寄せた。
「色々あったね。」
不動産屋に鍵を返しに行き、佐和の家に向かう。
「最後の最後までお世話になるなぁ。」
「ついでだから。」
仙道は佐和の家で一晩泊まり、翌日千尋に車で送ってもらうことになっていた。佐和も同じく引っ越すので一緒にどうかと千尋が声を掛けたのだ。佐和は既に荷物を送っており、最低限の物を持って移動するだけだった。
「まさか俺の実家の近くとはなぁ。」
「由佳ちゃんの実家に下宿、って事になってんだよ。」
剣道部は、実家から通う者以外は寮に入る事になっていたのだが、
「あっくんから寮の話聞いたらとても面倒な感じがしたから…。」
ちょろまかすことにしたのだ。
「それ、大丈夫なの?」
「…バレたらバレた時だよ。」
「おー、やるねぇ。」
仙道は感嘆の声を上げると、からからと笑った。
その晩、佐和は仙道の眠る和室の仕切りを叩いた。
「…起きてる?」
「…ん、どした?」
仙道は掛け布団を開けて、おいで、と言った。
「ごめん、寝てたね。」
「へーき…なんか予感した。」
「私が来るって?」
「そー。」
ぎゅ、と佐和が仙道のスウェットを握った。
「……寂しい?」
「少しだけ。彰はひとり暮らしする時平気だった?」
「割と平気だった。」
「はは、そんな感じするなぁ。」
くすくすと笑う佐和を、仙道が抱き締める。
「寂しかったらさ、いつでも呼んで。俺行くよ。」
「…うん。」
「なんなら、住むから。」
「それはやめて。」
仙道は小さく笑う佐和の額に口付ける。
「…俺が傍にいるから。だから、安心して、おいで。」
「おいで…か。そっか、今度は私が彰の傍に行くんだね。」
佐和は上を向き、仙道に口付ける。
「頼りにしてる。よろしくね。」
「ん、任せて。」