*【仙道】ハッピーエンドの欠片(高校編)
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え?それは大変。そういうことなら仕方ないし、選手変更ね。」
「委員長すみません。ありがとうございます。」
「高辻さんの頼みだもん。」
その子は大丈夫?と心配してくれる委員長に、「大丈夫ですよ。」と笑って、佐和は競技中のトラックの方に向かった。
美代は借り物の内容を見て、一瞬固まった。
しかし、すぐに周りを見回す。そして、
「佐和!!」
丁度やって来た佐和を見つけて掴みかかる。
「な、なんだよ美代。借り物って何?」
「……。」
言葉の代わりにカードを見せる美代に佐和は吹き出した。
「確かに、私なら大丈夫だね。」
「よろしく。」
「はいよ、どこから?」
「そこ。」
美代に連れられ佐和は借り物の書いてあるカードのあったところまで移動する。
「つかまって。」
「ん。」
内容は、『お姫様抱っこしてもらってゴール』。
佐和は美代をヒョイと抱き上げると周りから歓声が上がる。そしてそのまま走った。
「ちょ、ちょっと、無理しないでよ!」
「美代軽いからへーき。」
「……おお。」
「高辻…そこまでやるか。」
仙道は驚き、越野は頭を抱えた。
つうかそんな借り物ありかよ、と越野はぼやいている。
「どっちが借り物なんだか。」
そう言って仙道は笑った。越野も同意とばかりに頷く。佐和と美代はゴールしたがそのまま写真撮影をしている。
「次高辻だろ、あいつ同じカード引いたらどうするつもりなんだ。」
「越野にゃ無理だ。」
「うるせーこっちから願い下げだ。」
パンとピストルの乾いた音がし、カードを拾う。
(お姫様抱っこされるのはなー)
佐和は祈りながらカードを見る。
(…これは…)
思わず仙道の方を見る。と、丁度目が合い、驚く。仙道は仙道で「俺?」と自分を指さす。
(そうなんだけど…そうしたいけど…。)
佐和は仙道に背を向けると、走り出した。
(あれ?今こっち見たよな?)
佐和の姿を追うと、本部のテントに近付き、誰かに声をかけている。
(なんだったんだ…?)
すると、女子が1人出てきて、カードのあった所まで戻る。そして佐和はその手を取ると無事にゴールする。
「あれ?委員長じゃん。」
「マジ?美人。」
越野の言葉に仙道は思ったままの事を言ったが越野に「そこかよ。」と突っ込まれる。
「カードの中身はなんだったんだろうな?」
「美人、とかじゃねえ?」
「…否定できないな。」
(じゃあなんでこっち見たんだ?)
戻って来た佐和と美代に2人が借り物の内容を尋ねる。
「ああ、身近な頑張ってる人、だよ。」
確かに、一番最初にこちらを見た。その事実に仙道は言いようのない感情が湧き、表情が緩んでしまうのを隠すのに精一杯だった。
(あれ、池上さんどうしたんすか?)
(越野来てくれ、借り物が『年下の男の子』なんだ。)
(リンゴもネイビーブルーのTシャツもありませんけど)
(要らん。いいから来い。)