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!重要!
用語説明(?)
ちんちん(アクセント平板)
ちんちこちん
(アクセント平板、最後の「ん」で下げる)
→非常に熱い
でら(でれ、はそれがさらに訛ったもの)
→程度が著しい
よろしくお願いします!!!
(とりあえず笑っとこ)
——————————
いつまでも自慢の家族だ。
干した布団を取りこむと、ふかふかのそれがこっちへおいでと言っているように見えた。誘われるまま突っ伏してみるとなるほど、誘うだけあってかなり気持ちが良い。
「干した人間の特権だよね…ふふ。」
そろそろ大が帰ってくる。お昼ごはんの支度しなきゃ。仕事が忙しい両親に代わって、歳の離れた弟の世話を焼くのもなれたものだった。でも、それももうすぐ終わる。結婚式は10月の終わり、この暑さを忘れる頃だ。式が終われば長らく住んだこの家ともお別れ。愛しの旦那様を追い掛けて上京だ。
「……布団よ、誘うわりには暑いな貴様。」
そんな文句をたれたくせに、気付けば眠ってしまっていた。玄関のドアが開く音がした気がしたが、そんなものお構いなしに睡魔は襲い掛かってくる。
「ただいまー…あ?」
姉は布団に埋もれるようにして寝ていた。大丈夫か、熱中症で倒れたとかじゃないよな。
「なー、生きてる?」
「んん…。」
「シャワー浴びてくる。」
「んん…。」
気のない返事に苦笑して、一旦自室に向かった。階段をのぼって、ドアが開いたままの姉の部屋を眺める。仕事が休みの時に少しずつ引越しの準備をすすめているらしく、たたんだままであったり、組み立てられて中身を詰められた段ボールがいくつも置かれている。いなくなっちまうんだなぁ、としみじみ実感した。
「まだ寝てるよ…。」
シャワーを済ませてきてもまだ眠る姉の姿にため息をついた。
「ねえちゃん、腹減った。」
「じぶんでつくれ…」
「出た。いいけど、ねえちゃんは?食った?」
「くってない」
「なに食いたい。」
「なんでもいい。」
「俺が言うと怒るくせに。」
そう言いながら、俺も隣に転がる。気持ちいいや。でも、
「……暑くない?」
「でーれ暑い。」
「うわやめろよ、でら、とか。彼氏びびるだろ。」
「アンタは私の彼氏じゃないがね。」
「そーだけど、絶対使ったらかんよ、それ。」
「布団がちんちんだで暑いんだわ、冷房つけて。」
「ほんとやめろって、ちんちんはかん。」
「ちんちこちん。」
「やめろて。言うほど熱くねえがや。」
笑いながら立ち上がって冷房のスイッチを入れる。開け放たれた縁側の戸を閉め、改めて布団に転がった。
「ねー、ほんとに結婚するの?」
「するよ。して欲しくないの?」
「して。じゃないともらい手なくなるから。」
その言葉に体を起こす。やたらと背の高い弟の頭がすぐそこにあったので両手でその頭をかき混ぜると、やめろよ!と非難の声を上げた。
「世界一のねえちゃん持って弟は嬉しいです、って言うまでやめん!」
「ぜーってえ言わねえ!いててててて!」
こんなでも、バスケでは全国区だし、顔はまあかっこいい方だし、同じ歳の頃の女の子たちはいつのまにか瞳奪われてしまうのだろう。わかる。私も弟じゃなく赤の他人で同世代なら、好きになるようなスペックだ。我が弟ながら出来が良い。
「愛知の星ねえ。」
「やめろよ、はずいんだってそれ。」
「いいじゃない。肩書きなんてそうそうつくもんじゃないよ。」
「それにしてもそれはないだろ…。」
口をとがらせるその顔はプレー中とは全くちがう「弟」の顔だった。一体何人が彼のこの表情を知っているのだろう。不思議な気分だ。
「こんなんに女の子が騒いでるなんて想像できんわ。」
「別にんなことねえて…。」
乱れた前髪を上げてその額に唇を寄せてみる。驚きに固まるその表情がおかしかった。
「ねえちゃんの熱いチュー。」
「きっっっっしょ!!!!やめろて!!!」
「あっはははははは!」
立ち上がり、キッチンの方に歩いていく。大は赤くなるくらい手の甲で額を擦りながら体を起こした。
「悪夢だがん……。」
「隙を見せた方が悪い。」
高笑いをしてやると、大は長く深いため息をつきながらとりこまれたそのなりの布団をきれいにたたむ。
「何食べたい?」
「なんでもいい。」
そんな不遜な態度がみられるのも、あと少しだね。
マリッジブルー行進曲
あなたのいない日々は、きっと少し物足りない。
----------
ワンライ参加作品
用語説明(?)
ちんちん(アクセント平板)
ちんちこちん
(アクセント平板、最後の「ん」で下げる)
→非常に熱い
でら(でれ、はそれがさらに訛ったもの)
→程度が著しい
よろしくお願いします!!!
(とりあえず笑っとこ)
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いつまでも自慢の家族だ。
干した布団を取りこむと、ふかふかのそれがこっちへおいでと言っているように見えた。誘われるまま突っ伏してみるとなるほど、誘うだけあってかなり気持ちが良い。
「干した人間の特権だよね…ふふ。」
そろそろ大が帰ってくる。お昼ごはんの支度しなきゃ。仕事が忙しい両親に代わって、歳の離れた弟の世話を焼くのもなれたものだった。でも、それももうすぐ終わる。結婚式は10月の終わり、この暑さを忘れる頃だ。式が終われば長らく住んだこの家ともお別れ。愛しの旦那様を追い掛けて上京だ。
「……布団よ、誘うわりには暑いな貴様。」
そんな文句をたれたくせに、気付けば眠ってしまっていた。玄関のドアが開く音がした気がしたが、そんなものお構いなしに睡魔は襲い掛かってくる。
「ただいまー…あ?」
姉は布団に埋もれるようにして寝ていた。大丈夫か、熱中症で倒れたとかじゃないよな。
「なー、生きてる?」
「んん…。」
「シャワー浴びてくる。」
「んん…。」
気のない返事に苦笑して、一旦自室に向かった。階段をのぼって、ドアが開いたままの姉の部屋を眺める。仕事が休みの時に少しずつ引越しの準備をすすめているらしく、たたんだままであったり、組み立てられて中身を詰められた段ボールがいくつも置かれている。いなくなっちまうんだなぁ、としみじみ実感した。
「まだ寝てるよ…。」
シャワーを済ませてきてもまだ眠る姉の姿にため息をついた。
「ねえちゃん、腹減った。」
「じぶんでつくれ…」
「出た。いいけど、ねえちゃんは?食った?」
「くってない」
「なに食いたい。」
「なんでもいい。」
「俺が言うと怒るくせに。」
そう言いながら、俺も隣に転がる。気持ちいいや。でも、
「……暑くない?」
「でーれ暑い。」
「うわやめろよ、でら、とか。彼氏びびるだろ。」
「アンタは私の彼氏じゃないがね。」
「そーだけど、絶対使ったらかんよ、それ。」
「布団がちんちんだで暑いんだわ、冷房つけて。」
「ほんとやめろって、ちんちんはかん。」
「ちんちこちん。」
「やめろて。言うほど熱くねえがや。」
笑いながら立ち上がって冷房のスイッチを入れる。開け放たれた縁側の戸を閉め、改めて布団に転がった。
「ねー、ほんとに結婚するの?」
「するよ。して欲しくないの?」
「して。じゃないともらい手なくなるから。」
その言葉に体を起こす。やたらと背の高い弟の頭がすぐそこにあったので両手でその頭をかき混ぜると、やめろよ!と非難の声を上げた。
「世界一のねえちゃん持って弟は嬉しいです、って言うまでやめん!」
「ぜーってえ言わねえ!いててててて!」
こんなでも、バスケでは全国区だし、顔はまあかっこいい方だし、同じ歳の頃の女の子たちはいつのまにか瞳奪われてしまうのだろう。わかる。私も弟じゃなく赤の他人で同世代なら、好きになるようなスペックだ。我が弟ながら出来が良い。
「愛知の星ねえ。」
「やめろよ、はずいんだってそれ。」
「いいじゃない。肩書きなんてそうそうつくもんじゃないよ。」
「それにしてもそれはないだろ…。」
口をとがらせるその顔はプレー中とは全くちがう「弟」の顔だった。一体何人が彼のこの表情を知っているのだろう。不思議な気分だ。
「こんなんに女の子が騒いでるなんて想像できんわ。」
「別にんなことねえて…。」
乱れた前髪を上げてその額に唇を寄せてみる。驚きに固まるその表情がおかしかった。
「ねえちゃんの熱いチュー。」
「きっっっっしょ!!!!やめろて!!!」
「あっはははははは!」
立ち上がり、キッチンの方に歩いていく。大は赤くなるくらい手の甲で額を擦りながら体を起こした。
「悪夢だがん……。」
「隙を見せた方が悪い。」
高笑いをしてやると、大は長く深いため息をつきながらとりこまれたそのなりの布団をきれいにたたむ。
「何食べたい?」
「なんでもいい。」
そんな不遜な態度がみられるのも、あと少しだね。
マリッジブルー行進曲
あなたのいない日々は、きっと少し物足りない。
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