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「大!今度の土曜日、練習午前?」
「おう、依紗は?」
幼馴染みがやけにはしゃぐ。
なんだよ、どうしたんだ。
「私も!帰り野球見てかない!?ヤクルト戦!つば九郎とドアラが外のミニステージに出て来るよ!」
「マッジかよ!?行く行く!」
それは見るしかねーだろ!
練習終わったら即だろ!
そんなことを話しながらテンション上げていたが、クラスメイトの視線に気付く。
「2人はさ、付き合ってないんだよね?」
依紗の親友が頬杖をついてこちらを見上げて来る。俺と依紗は両手を合わせて指を絡めているんだから、そう見えてもおかしくはない。
てゆーか、俺はそれでも全然構わない。
けど、目の前のこいつがどういうつもりなのか全っ然わからん。昔からこの調子だから本当にわからん。
「大の恋人はバスケなんでしょ?」
そう言って女の子の告白断ってんじゃん、と目の前の幼馴染みは笑い飛ばす。
そんなの方便に決まってんだろ。
真に受けるなよな。
「お前は野球が恋人だもんな。」
女子軟式野球部の正捕手は、まあね!と俺の手から指を外して親指を立てて片目を瞑った。
「すーげぇ人。」
「当たり前だよねぇ。整理券もらっといてもらって良かった。」
土曜の練習後、学校まで車で迎えに来てくれた依紗の兄さんから整理券を受け取り、ドーム前で降りる。
まだ時間前だというのに小さな野外ステージの周りにはファンと整理のスタッフがせめぎ合っている。大変な仕事だな…。
「飲み物買っとくか。あと、昼メシ。」
「そだね。イオン行こ、イオン。」
「うおー近い!」
「お兄ちゃんに感謝しなきゃだね〜」
スペース自体はとても狭いので、整理券さえもらえればかなり近くで見ることが出来るようだった。とはいえ、子供も多いので俺たちは後ろの方に陣取る。
「大は背が高いからよく見えていいなぁ。」
依紗は背伸びをしている。
脇に両手を差し入れ、持ち上げてやると、小さく悲鳴をあげる。
「俺の目線。」
「やめてよ、恥ずかしいよ!」
こちらに振り向き、かなりの至近距離に驚く。
近い近い、キス出来ちまいそう。
「悪かったって。」
そっと下ろすと依紗は、もう、と抗議しつつも耳まで赤かった。
「主役来たぞ!持ち上げるか!?」
「いらない!…予定!」
なんだよそれ、と笑いながらマスコットの文字の掛け合いに爆笑する。
背伸びする依紗がふらつくので腰の辺りを支えてやると、依紗が後ろから肩に手を掛ける。
ぎゅっと握ってくるその手が離れなければいいのに、とずっと思っていた。
「はーいいね、あの2人流石だね。」
「この後の試合も楽しみだなー。」
「練習見に行こうよ!」
「わかったわかった、慌てんなって。」
走り出そうとする依紗の手を握り、そのまま繋ぐ。指を絡めて、少し強く。
「人が多いんだ。はぐれんなよ。」
「チケット持ってるの私だしね。」
「そーそ。お前がいないと困るんだよ。」
「私も…大がいないと困るよ。」
その言葉に、のろのろと依紗を見下ろす。どういう意味だ?期待していいのか?
あんまり俺をからかうなよ。
「依紗、それどういう意味だよ。」
「大こそ、この手はどういう意味なの。」
互いに、繋いだ手に視線を落とす。
「バスケが恋人のくせに。」
「野球が恋人のくせに。」
む、と目を合わせる。しかしすぐに噴き出して、声を立てて笑う。
「俺、依紗が好きだぜ。」
「私も、大が好きだよ。」
「じゃあこれは?」
「デート!」
ドアラとつば九郎よろしく、テンポの良い掛け合いが心地いい。俺、コイツじゃなきゃだめだな!
じゃなきゃ全然幸せじゃない!
ハピネス!
(恋のキューピッドは2人のお茶目なマスコット。)
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※この2人(2体?)がドーム外ステージでトークショーはやりません…。
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