大阪
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それ、言わす?
「おう依紗………おお?」
「実理、どしたの。」
近所の公園に向かう途中、実理が正面からやって来るのが見えた。なんだろ、なんか約束してたっけ。
「顔見にきただけ…暇やったら出掛けようかと。」
「そうなの?あ、ごめん、連絡くれてた?」
「まー…。え、なに、お前、それどういう」
「は?」
指差した先は、私が手を繋いでいるこびと。
「ああ、この子は」
「……隠し子か。」
「……はあ!?」
「とんでもない裏切りやな。」
「……実は。」
本気で言ってるわけないと思って、少し演技かかった風に俯いてトーンを落としてやれば、実理は黙ってしまった。
は?え?ちょっと、本気にした?嘘でしょ?
「とんでもないな。」
「待って待って、何言うとん」
「誰の子か知らんけど、俺になんでそんな大事なこと隠しとってん。」
「話を」
「ガキの恋やと思て侮っとんのか!」
「待ってよ!冗談やんけ!上のおねえちゃんの子や!!いま里帰り中やねん!!」
そこでようやく実理が黙る。こびとこと2歳になるちょっと手前の甥っ子はきょとんと見上げている。ああ、ごめんごめん。
しゃがんで抱き締めてやる。
「大体…こんな大きな子供おるわけあらへんやんけ。」
「そんなもん、わからんやろ。」
「あのねぇ…」
甥の頭を撫でて立ち上がり、今度は背伸びして実理の耳に口を寄せる。
「実理がはじめてやって、ご承知のところやろうが…!」
こんなこと言わすな、タコ!と小声で言い、肩をはたいてやる。実理はみるみるうちに顔を赤くする。ホンマにタコやんけ、タコ!
「…すまん。」
「私こそ。あと、…ありがとね。」
「なにが。」
「…真剣に、付き合うてくれてるんやなって。」
「…おう。」
「んっこ。」
「あ?うんこ?」
「アホ。抱っこや。」
甥は実理の足につかまると、見上げて抱っこをせがんだ。珍しいな、人見知りするのに。男ならなおさら。
「なんやそうか。ほら。」
「…髪が長いから平気なん?」
「あ?」
「女の人は大好きだけど、男の人は選ぶんよ。」
「見る目あるな。」
「いやだから男認識されてないんじゃないの。」
ひょいと抱き上げる実理に少し驚いた。え、なに、慣れてんの?あんたの方が隠し子疑惑やんけ。
「…なんか勘繰っとる顔やな。」
「べつに。」
「親戚に小さいのおんねん。おなじくらいの。」
「ほーん。」
「安心せえ、俺かてお前が最初や。」
「…そんなん、聞いてへんわ。」
うそ。ちょっと嬉しい。
たかが子供の恋だけど、その瞬間瞬間は真剣だし、目の前のこの景色が未来で待っていてくれたらと願ってしまうんだ。
with U
この後しばらく近所のおばちゃんたちの井戸端会議の主役になってしまった。
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