翔陽
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「高野〜なに見てんの。」
部室から校門へ向かう途中、高野が雑誌を開いて永野と盛り上がってる。歩きながらはやめろよ、あぶねーだろ、お前ら足元見えてねえんだから。
「藤真はどの子がタイプ?」
水着グラビアか。こんな寒い時にまあ。つうか、ますますもってそんなもん歩きながら読むなよ。んー…俺はなぁ…。
「お前と違ってこいつは彼女がいるから必要ねーの。王子は散れ散れ。」
僻むなよ永野。ちなみに俺は右から2番目の子が好みだ。脹脛から踝のラインがたまんねえ。
胸の形ならその左の子。
「じゃ、ここで。」
「なんだよ、待ち合わせか。」
「徳重も物好きだよなぁ。なんでこんなエセ王子がいいんだか。」
好き勝手言いやがって。俺とアイツの勝手だろうが。
校門でむさ苦しい野郎どもと別れる。
冷え込んできたな、アイツちゃんと防寒してたか、いつもガンガンの薄着で見てるこっちがさみーんだよ。
口元までマフラーに埋めて、白い息を吐く。
携帯を見ると何分か前に入っていた『今片付け終わったからすぐ行くね』のメッセージ。早くしろよ、さみーよ。悪態をつきながら口元を緩ませる。
「藤真くん、お待たせ!」
……だから、なんでンな薄着なんだよ。
マフラーのひとつも巻けねーのかよ。
横目でその姿を見て、ひとつ溜息をつく。
そんな自分の気持ちとは裏腹に、上がる口角。
「帰るぞ。」
携帯をスラックスのポッケに滑り込ませると、巻いていたマフラーを依紗の首に巻いてやる。依紗は慌てて「大丈夫だって」と言ってマフラーを解こうとするが、その手を握って制止する。テナーサックスを操るその指先は冷たい。
「見てるこっちが寒いんだよ、バカ。」
スカートもみじけーし、なんなの女子って、なんかの能力者なの。その生足に温かい何かを纏ってんのか。羨ましいな。
ンなわけあるか。
「…あのさ、急にスイッチ変えるのやめてくれない?」
「はあ?」
「高野くんや永野くんと一緒にいる時と表情が全然違って心臓に悪いんだけど…。」
…あのなぁ。
「ったりめーだろ、あいつらとお前を一緒にすんな。」
彼女なんだから、と眉間を弾く。
いった!との抗議の声は無視だ。
「今度マフラー買いに行こうぜ。」
驚いてこちらを見上げる依紗。
その表情に首を傾げる。
なんか変なこと言ったか。
「なんだよ。」
「ううん、嬉しい、楽しみ!」
「じゃー今度の日曜な、空けとけよ。」
依紗はにこにこと笑って歩き出す。
「あ。」
「なんだよ。」
素っ頓狂な声を上げる依紗に、少し驚いた。急に変な声出すなよ。
「その日、演奏会だ。」
「じゃー明日だ明日、帰りにどっか寄るぞ。」
「お、ナイスタイミング!明日はミーティングで早上がりでーす。」
「はいはい。でも俺はいつも通り練習です、残念でした。」
すると依紗はこちらを見上げ、にんまり笑う。
「待たせて、さみーよ!なんて文句言われることないね。」
バーカ。
それも込みで冬満喫してるから良いんだよ。
君色スイッチ
(生足は寒々しくて嫌だけど、ジャージはかれたらもっと嫌だ。)(せめてタイツだな。)