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夜になってもお盆の愛知は暑い。
いや、日本列島、北海道も含めて酷暑酷暑。沖縄が避暑地に、なんてニュースもやってたな、恐ろしい話だ。
そんな気だるい夜、私は友達と花火大会へ行って、地元の駅へ帰って来た。浴衣を着て行ったけど、暑い。本当に暑くて参る。
ホームに降り立ち、エスカレーターで改札階に向かう。ふと隣の階段に目をやると。
(あれ……見たことあるな、確か。)
中学の頃、隣の席になったことのある、諸星くん。
バスケがすごく上手くて、高校は愛和学院に行ったんだっけ。
大学はどこ行ったんだろ。愛学大?でもあそこは野球と剣道が強いんだったよね?
県外?あんまり詳しくないから見当もつかないな。
そんなことを考えているうちに颯爽と階段を上って行ってしまった。声を掛ける勇気もないし、そもそも今まで忘れていたくらいなんだから向こうだって私のことなんて覚えてないだろう。
甘酸っぱい記憶がふとよぎる。
あの頃は、片想いとかしてた、かな。
改札を出て、1階へ降りるためのエレベーターを待つ。浴衣で階段は少々しんどい。
ドアが開きます、と無機質な声が聞こえ、宣言通りドアが開く。カラン、と下駄を鳴らして乗り込んだその時、
「スミマセン、乗ります。」
諸星くんが乗り込んで来た。
あれ、先に改札出て行かなかったっけ。
おかしいな。
「…諸星、くん?」
思わず声を掛けていた。
彼は振り返り、こちらを見下ろすと、わ、と目を見開いて声を上げた。
「…徳重!?」
あれ、覚えててくれた。
「そ、そう!すごい、覚えてたんだ?」
「ったり前だろ、席隣になったし、結構世話になったぞ俺!」
そうだ。やれ課題をやってないやら、やれ教科書忘れただのと意外と抜け作な所もあった。
全く悪い印象ではないけど。
イケメンって得だな、全く。
「ねぇ、結構前に改札出てったよね?」
同時にエレベーターの扉が開いたので開くのボタンを押そうとすると、遮られて諸星くんがそれを押す。先に降りて、と促すので従った。
「ありがと。」
「どういたしまして。」
諸星くんは微笑んだ。
爽やかだなー。
「質問の答えなんだけど、」
「可愛らしい浴衣の女の子が目に入ったからICチャージしがてら待ってた。」
片手を腰に当てて、へへ、と首を傾げて照れたように笑う。
「まさか徳重だったとはなー。」
エレベーターで口説き文句考えるつもりだったんだぞ、と笑った。
まさか。
まさか、諸星くん、
「なあ徳重、時間、ある?」
良かったら少しお茶でも、と誘ってくれる。
それって、
それって。
「う、ん。ぜひ。」
アゲイン!
(また会えたね、片想いの人!)