陵南
名前変換
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知らず溜息をついた時だ。
「スター選手はなにかとご苦労が多いようで。」
越野が小さく毒付く。
なんでそんなに当たりが強いかね。
俺、なんかしたっけ。
「別にお前がどこでなにしようが関係ないけど。巻き込まれるのは勘弁だからな。」
今度は越野が溜息をつく。
その表情は控えめにいってかなりお疲れだ。
キャットウォークを見上げると、そこに居た女子生徒が色めき立つ。
こういうの、正直疲れる。
俺はバスケがしたいだけなんだけど。
「お前の郵便受けかなんかと間違えられてんだけど、俺。」
「じゃあ受取拒否でいいよ、全部握り潰して。」
「そういうえぐい事サラッと言うなよ。」
「だって要らねーもん。」
ははっ、と笑うと越野がいかにも迷惑そうな顔をする。
「そういうのは全校放送で流せよ。」
「よくそんなこと思い付くな、お前怖いよ。」
「握り潰せって言う奴にそんなこと言われたかないね。」
越野はまたひとつ溜息をつく。
「お前、女に興味ねーの?」
いたってシンプルな質問に、答えが出ない。
興味がないわけじゃない。
それなりに付き合ってみたし、段階も踏んだ。
そりゃ俺だって健全な男子高校生だしね?
そういう事だってするけどね?
ただ、そう、しっくりこないんだよ。
「グッと来るのがいない。」
「いまの全校放送してやりたい。」
やめてくれよ、まだ2年なのに、流石に学校生活が送りづらくなる。
「どこかにいないもんかね、お前がガッチリ掴まえて離したくなくなるよーなやつ。」
「越野みたいな奴?」
「きっも。やめろよマジで。」
いるんだけどな。
運命を感じた子。
そういう子からは何もない。
不思議だよなぁ。
「依紗ちゃん、おはよ。」
「…仙道くん?おはよ。なんで急に名前?」
「んー、いい名前だなって思って。」
「本当?ありがと。自分の名前好きなんだ。」
ふわ、と溢れるその笑みは俺の心を騒つかせる。
女の子にそんなことを感じたのは初めてだった。
自分の名前を大切にしているということを、怖めず臆せず堂々と言えるのが素直にすごいと思った。
思春期真っ只中、なんとなく気恥ずかしくて素直に言えない気持ちの方が大きい。
「仙道くんは?」
「え?」
「自分の名前好き?」
「彰…だったよね。」
唐突に名前を呼ばれて、どきりとする。
その優しいソプラノはいとも簡単に俺の耳から侵入して、心を溶かしていく。
君が呼んでくれるなら、好きになるよ。
特別思い入れのあるわけではない、かといって、個を識別するだけ、とまで冷めたことを言うつもりもない、その名前の価値を見直してみようと思う。
「名前って、親がくれる最初のプレゼントなんだって。そう思うと素敵じゃない?」
「ねぇ、彰くん?」
天然なのか、計算なのか。
聡明なその瞳に射抜かれて以来、俺は中学生にでも戻ってしまったかのように感情が揺さぶられるんだ。
一度でいいから抱き締めさせてくれないか。
離すつもりはないけど。
セブンスターの憂鬱
(クセになる。)
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マイセン(現メビウス)の箱が陵南カラーっぽいなって思ったのと、
セブンスター…7番のスター選手…あっ!
みたいな。
強引。タイトル負け。